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残ったもの
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「神様、どうかお願いします…」
『そうか。重い病にかかっているのか。善処する』
小さな神様のようなものが6柱いる。
彼らは口々に願いを叶えようと言った。
それから数日後、同じ女性がありがたいと何度もお礼を言っていたところからすると、きっと願いが叶ったのだろう。
もしかすると、そういう類のものだったのかもしれない。
だが、いつの時代も愚かな人間というものが生まれるものだ。
「どうかあいつがいなくなりますように」
『それは無理というものだ。業を背負うような真似はやめておけ』
「そうだ、どうせ食べられないだろうからもらってやるよ」
お供え物を勝手に食べた男がひとり、けたけたと笑いながらお地蔵様の頭を蹴飛ばした。
「願いを聞くだけで食べ物をもらえるなんて、楽な仕事だな」
男には彼らの怒りが視えていないらしい。
いらいらして人に当たり散らすなんて、あまりに酷すぎる。
人間に寄り添ってくれていたのに、身勝手なことばかり話す男に苛ついた。
「うわ、頭がないぞ」
「なんだか呪われそうだね…近づかないよう子どもたちに言っておかないと」
どうして砕かれた頭を直そうじゃなくて、今までありがたがっていたものをいきなり避けるなんて信じられない。
「すまなかった。直すのがすっかり遅くなってしまって…」
住職さんは綺麗に磨いて直していたけど、お地蔵様たちはその人以外に心を開かなかった。
それから数日後、彼は命を落とす。
…先日頭を壊した男が襲ったのだ。
「やはり呪われていたのか」
「なんて恐ろしい場所」
そんなふうに言われ続けるうち、ついに怒りが爆発してしまった。
『何故だ、あれだけありがたがっていたのに…最後はごみとと同じか。赦せない』
そんな声を発した1体の地蔵はそんなに大きくない。
だが、そこからどんどんどす黒いものが増えていった。
『我々のことを見ていたのは住職だけだったようだ。罪深き者たちよ、これが己らが招いた結果だ』
その闇は村を呑みこみ、そのまま絶望へと引きずり下ろした。
人間たちの悲鳴を聞く彼らはぽつりと呟く。
『本当にこれでよかったのだろうか』
『八尋』
「……ごめん」
俺は相変わらずかなりの時間倒れていたらしい。
いつの間にか外へ出られていたものの、心にもやもやしたものが残る。
「あの人たちは、ただ住職さんと仲良く暮らしたかっただけなんだ。それを護れなかった悲しみを背負ってたんだと思う。
俺にはそれくらいしか分からなかったけど、大切なものを護れなかったときの悔しさは分かるよ」
『あなたらしい感想ですね。ただ、あの煙に関しては謎ばかりが残りました』
顔を上げると煙はすっかりおさまっている。
ただ、あの地蔵たちがやったことだとはとても思えない。
本当に謎ばかりが残ってしまった。
『そうか。重い病にかかっているのか。善処する』
小さな神様のようなものが6柱いる。
彼らは口々に願いを叶えようと言った。
それから数日後、同じ女性がありがたいと何度もお礼を言っていたところからすると、きっと願いが叶ったのだろう。
もしかすると、そういう類のものだったのかもしれない。
だが、いつの時代も愚かな人間というものが生まれるものだ。
「どうかあいつがいなくなりますように」
『それは無理というものだ。業を背負うような真似はやめておけ』
「そうだ、どうせ食べられないだろうからもらってやるよ」
お供え物を勝手に食べた男がひとり、けたけたと笑いながらお地蔵様の頭を蹴飛ばした。
「願いを聞くだけで食べ物をもらえるなんて、楽な仕事だな」
男には彼らの怒りが視えていないらしい。
いらいらして人に当たり散らすなんて、あまりに酷すぎる。
人間に寄り添ってくれていたのに、身勝手なことばかり話す男に苛ついた。
「うわ、頭がないぞ」
「なんだか呪われそうだね…近づかないよう子どもたちに言っておかないと」
どうして砕かれた頭を直そうじゃなくて、今までありがたがっていたものをいきなり避けるなんて信じられない。
「すまなかった。直すのがすっかり遅くなってしまって…」
住職さんは綺麗に磨いて直していたけど、お地蔵様たちはその人以外に心を開かなかった。
それから数日後、彼は命を落とす。
…先日頭を壊した男が襲ったのだ。
「やはり呪われていたのか」
「なんて恐ろしい場所」
そんなふうに言われ続けるうち、ついに怒りが爆発してしまった。
『何故だ、あれだけありがたがっていたのに…最後はごみとと同じか。赦せない』
そんな声を発した1体の地蔵はそんなに大きくない。
だが、そこからどんどんどす黒いものが増えていった。
『我々のことを見ていたのは住職だけだったようだ。罪深き者たちよ、これが己らが招いた結果だ』
その闇は村を呑みこみ、そのまま絶望へと引きずり下ろした。
人間たちの悲鳴を聞く彼らはぽつりと呟く。
『本当にこれでよかったのだろうか』
『八尋』
「……ごめん」
俺は相変わらずかなりの時間倒れていたらしい。
いつの間にか外へ出られていたものの、心にもやもやしたものが残る。
「あの人たちは、ただ住職さんと仲良く暮らしたかっただけなんだ。それを護れなかった悲しみを背負ってたんだと思う。
俺にはそれくらいしか分からなかったけど、大切なものを護れなかったときの悔しさは分かるよ」
『あなたらしい感想ですね。ただ、あの煙に関しては謎ばかりが残りました』
顔を上げると煙はすっかりおさまっている。
ただ、あの地蔵たちがやったことだとはとても思えない。
本当に謎ばかりが残ってしまった。
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