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黒い小包
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「八尋君、もっと休んでいいんだよ」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
心配してもらえるのはありがたいけど、今はそれどころではない。
まだ中身を確認できていないが、誰かが真っ黒な箱を家の前に置いていった。
なんとなく嫌な予感がして手をつけることができないまま家を出てしまったが、大丈夫だろうか。
万が一おかしなものが入っていた場合、どう対処するのが正解だろう。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様」
すれ違う瞬間、中津先輩がポケットに飴を入れてくれた。
ただお礼を伝えるのでせいいっぱいだったけど、気遣わせてしまった申し訳なさと同時に嬉しさがこみあげる。
『今日は随分ご機嫌ですね』
「そう見える?」
『はい。いつもより楽しそうです』
「飴をもらったからかな。…あと、深く考えないようにしているからかもしれない」
家にある箱のことなんて考えたくない。
できればずっと開けずにいられればいいと思っていたが、そういうわけにもいかないだろう。
『あの気味が悪い箱を開けるんですか?』
「何が入ってるか分からないし、危険物かどうかだけは確かめておきたいんだ」
誰かを巻きこむようなことになったらきっと悔やんでも悔やみきれない。
その為には危険を冒さなければいけないときもある。
『私も一緒にいます。…なんだか嫌な予感がするんです』
「ありがとう。心強いよ」
もし何かあったらと不安にならないわけじゃないが、誰かが一緒にいてくれるというのはとても心強い。
『その代わり、帰りにたまごボーロを買ってください』
「コンビニにもあるはずだし…分かった、探してみる」
どんどんあの男に近づいているような気がして、それに関しても不安になる。
何故この町に現れたのかも分からないうえ、先日見失って以来姿を見ていない。
それから、やっぱりあのサイトの存在が気になる。
噂を滅茶苦茶にするのが目的なら、この町じゃなくてもいいはずだ。
町自体に恨みがあると考えた方がいいのだろうか。
『…考えるだけでは、答えは出ませんよ』
「ごめん。それもそうだな…どうしようか」
『今は箱のことを考えましょう。実はお宝が入っているかもしれませんよ』
「だとしたら交番に届けないとな。ただ、今回の場合どう説明したらいいんだろう」
中身がお宝ということはないとは思うが、瑠璃が気を遣ってくれていることは分かっている。
ただ、なんだか照れくさくて上手くお礼を言えなかった。
『準備はいいですか?』
「うん。…そろそろ開けてみよう」
固唾をのんで箱に手をかける。
意外にも蓋はあっさり取れて、中身を確認しようと隙間から覗いた。
「…どうしてこんなものが入ってるんだ?」
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
心配してもらえるのはありがたいけど、今はそれどころではない。
まだ中身を確認できていないが、誰かが真っ黒な箱を家の前に置いていった。
なんとなく嫌な予感がして手をつけることができないまま家を出てしまったが、大丈夫だろうか。
万が一おかしなものが入っていた場合、どう対処するのが正解だろう。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様」
すれ違う瞬間、中津先輩がポケットに飴を入れてくれた。
ただお礼を伝えるのでせいいっぱいだったけど、気遣わせてしまった申し訳なさと同時に嬉しさがこみあげる。
『今日は随分ご機嫌ですね』
「そう見える?」
『はい。いつもより楽しそうです』
「飴をもらったからかな。…あと、深く考えないようにしているからかもしれない」
家にある箱のことなんて考えたくない。
できればずっと開けずにいられればいいと思っていたが、そういうわけにもいかないだろう。
『あの気味が悪い箱を開けるんですか?』
「何が入ってるか分からないし、危険物かどうかだけは確かめておきたいんだ」
誰かを巻きこむようなことになったらきっと悔やんでも悔やみきれない。
その為には危険を冒さなければいけないときもある。
『私も一緒にいます。…なんだか嫌な予感がするんです』
「ありがとう。心強いよ」
もし何かあったらと不安にならないわけじゃないが、誰かが一緒にいてくれるというのはとても心強い。
『その代わり、帰りにたまごボーロを買ってください』
「コンビニにもあるはずだし…分かった、探してみる」
どんどんあの男に近づいているような気がして、それに関しても不安になる。
何故この町に現れたのかも分からないうえ、先日見失って以来姿を見ていない。
それから、やっぱりあのサイトの存在が気になる。
噂を滅茶苦茶にするのが目的なら、この町じゃなくてもいいはずだ。
町自体に恨みがあると考えた方がいいのだろうか。
『…考えるだけでは、答えは出ませんよ』
「ごめん。それもそうだな…どうしようか」
『今は箱のことを考えましょう。実はお宝が入っているかもしれませんよ』
「だとしたら交番に届けないとな。ただ、今回の場合どう説明したらいいんだろう」
中身がお宝ということはないとは思うが、瑠璃が気を遣ってくれていることは分かっている。
ただ、なんだか照れくさくて上手くお礼を言えなかった。
『準備はいいですか?』
「うん。…そろそろ開けてみよう」
固唾をのんで箱に手をかける。
意外にも蓋はあっさり取れて、中身を確認しようと隙間から覗いた。
「…どうしてこんなものが入ってるんだ?」
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