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探索
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「…瑠璃、嫌な予感がするのは俺だけかな?」
『そ、そんなことないと思いますよ』
「棒読みってことは、やっぱり何かありそうに見えるってことか」
俺たちの前には、また見たことがない建物がいつの間にか出現している。
それも、また古びているにも関わらず知らない場所だ。
「入りたくないけど、行くしかないってことか…」
『どうせ入らなくても何らかの事象に巻きこまれてしまうなら行きましょう』
「それもそうか」
このやりとり自体珍しいと判断されてもおかしくない。
だが、俺からすればいつものこと程度にしか感じられなかった。
1歩足を踏み入れただけで雰囲気が変わるのが分かる。
『何かの工房のようにも見えますね』
「そうだな。それに、やっぱりこの場所は他の人たちには視えてないのか」
『私たちのことさえ認識できていないようでしたね』
たしかに通行人がいたのに、こちらに見向きもせず進んでいった。
もし危ない奴だと思われていたら、あんなふうに目が合う位置で逸らさないはずがない。
「ということは、俺たちがここから出るには何か条件があるってことになる。また探さなくちゃいけないのか…」
『まあまあ。楽しく探索できるくらいに思った方がきっと気が楽ですよ』
「それはそうだろうけど、」
そこまで話した瞬間、どこかで聞いたことがあるゆったりしたBGMが流れはじめた。
「…総合美術館」
『え?』
「今聞こえた音、多分取り壊しになった美術館のものだ」
『そんなことがあるんですか?』
「普通はありえないんだろうけど、今の状況ならそうも言えない」
つまりここは美術館の跡地を模したもので、絵が床に散らばっているのも頷ける。
「これって拾ってもいいものかな?」
『持って帰るつもりですか?』
「そうじゃなくて、調べてもいいかってこと。人の家のものをとったらそれは泥棒だろう?」
『たしかにそうですが、なかなか奥まで辿り着けませんね』
「そうだな」
できるだけ声を出さないように気をつけているが、万が一大声が出てしまったらどうなるんだろう。
『…八尋、あれ』
「曲がれってことだな、多分」
瑠璃が見つけたのは、順路はこちらと書かれた看板だ。
恐らくこれにも従っておいた方がいいだろう。
『どうやら私たちの判断は間違っていなかったようですよ』
「あれって、男性?」
話しかけてもいいのか分からないけど、ただの人間である可能性はほぼないと言っていい。
少しずつ近づいていると、相手が突然こちらを振り向いた。
『いらっしゃいませ、お客様。本日は寒いところをありがとうございます。こちらへどうぞ』
なんとなく嫌な予感がしたが、ここでついていかないと何も始まらない。
少しずつ近づき、半開きだった扉を両手で開ける。
そこには現実離れした光景が広がっていた。
『そ、そんなことないと思いますよ』
「棒読みってことは、やっぱり何かありそうに見えるってことか」
俺たちの前には、また見たことがない建物がいつの間にか出現している。
それも、また古びているにも関わらず知らない場所だ。
「入りたくないけど、行くしかないってことか…」
『どうせ入らなくても何らかの事象に巻きこまれてしまうなら行きましょう』
「それもそうか」
このやりとり自体珍しいと判断されてもおかしくない。
だが、俺からすればいつものこと程度にしか感じられなかった。
1歩足を踏み入れただけで雰囲気が変わるのが分かる。
『何かの工房のようにも見えますね』
「そうだな。それに、やっぱりこの場所は他の人たちには視えてないのか」
『私たちのことさえ認識できていないようでしたね』
たしかに通行人がいたのに、こちらに見向きもせず進んでいった。
もし危ない奴だと思われていたら、あんなふうに目が合う位置で逸らさないはずがない。
「ということは、俺たちがここから出るには何か条件があるってことになる。また探さなくちゃいけないのか…」
『まあまあ。楽しく探索できるくらいに思った方がきっと気が楽ですよ』
「それはそうだろうけど、」
そこまで話した瞬間、どこかで聞いたことがあるゆったりしたBGMが流れはじめた。
「…総合美術館」
『え?』
「今聞こえた音、多分取り壊しになった美術館のものだ」
『そんなことがあるんですか?』
「普通はありえないんだろうけど、今の状況ならそうも言えない」
つまりここは美術館の跡地を模したもので、絵が床に散らばっているのも頷ける。
「これって拾ってもいいものかな?」
『持って帰るつもりですか?』
「そうじゃなくて、調べてもいいかってこと。人の家のものをとったらそれは泥棒だろう?」
『たしかにそうですが、なかなか奥まで辿り着けませんね』
「そうだな」
できるだけ声を出さないように気をつけているが、万が一大声が出てしまったらどうなるんだろう。
『…八尋、あれ』
「曲がれってことだな、多分」
瑠璃が見つけたのは、順路はこちらと書かれた看板だ。
恐らくこれにも従っておいた方がいいだろう。
『どうやら私たちの判断は間違っていなかったようですよ』
「あれって、男性?」
話しかけてもいいのか分からないけど、ただの人間である可能性はほぼないと言っていい。
少しずつ近づいていると、相手が突然こちらを振り向いた。
『いらっしゃいませ、お客様。本日は寒いところをありがとうございます。こちらへどうぞ』
なんとなく嫌な予感がしたが、ここでついていかないと何も始まらない。
少しずつ近づき、半開きだった扉を両手で開ける。
そこには現実離れした光景が広がっていた。
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