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異変
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洋館での一件から数日後、俺は本屋でのある出来事が気になっていた。
「瑠璃」
『どうかしましたか?』
「あの洋館について、おかしな噂は流れてない?」
『今のところは大丈夫そうです。何か気になることでもありましたか?』
「最近、町の様子がちょっとおかしい気がするんだ」
いくら噂が流れやすい場所とはいえ、これだけ短期間に複数の怪異たちの噂が流れたことは俺が知る限りない。
「栞奈からも連絡が来たし、ちょっと行ってみようと思う」
『まだ傷が癒えていないのに、ですか?』
「…ごめん」
本当はもう少し休んだ方がいいと分かっている。
分かってはいるけど悠長にしていられない。
『あなたをひとりで放っておくわけにはいきません。仕方がないので手伝ってあげます』
「ありがとう」
まずは【カミキリさん】がいる廃墟まで向かう。
これでいいのかなんて分からないが、呼ばれたからには行くしかない。
『あ、八尋』
「久しぶり、栞奈。何かあったのか?」
『最近、変な噂が流行ってるみたいだから…話しておきたかった』
「【皮剥さん】の話?」
『やっぱりもう知ってた』
洋館を出た日の夜から間髪入れずに流行りはじめた噂だ。
本屋でしょっちゅう耳にするとはいえ、こんなにも大量の噂が流れるのは本当に珍しい。
誰かが完成させようとしているのか、何か目的があるのか…まだまだ分からないことだらけだ。
『噂のサイトがどうのって話していたけど、全部は聞き取れなかった』
「サイト…ありがとう、ちょっと調べてみるよ」
サイトというのは、おかしな噂を流していたサイトのことだろうか。
あんな全国に知れ渡るような都会ではないのに、何故か様々な書き込みが残され、その怪異たちは形を変えてこの町に現れている。
『何が起こるか分からない。気をつけて』
「栞奈は大丈夫なのか?またおかしな話に変えられたりしてない?」
『大丈夫。八尋のおかげ』
「それならよかった。また何かあったら知らせてくれ」
そのまま廃墟を出ると、たまたま目が合った通行人がぎょっとした顔でこちらを見る。
顔を触ると、前髪が乱れてしまっていた。
『あんなの、気にしなくても大丈夫です』
「ありがとう瑠璃。だけどどうしても気になるんだ。それに、悪目立ちしたくない」
本心だった。今更理解を求めようとは思っていない。
ただ、その為には隠し通すしかないのも事実だ。
左眼を隠すように前髪を整え、そのまま家路を急ぐ。
『サイトというのは、もしかして…』
「その可能性が高いと思う。ただの都市伝説書き込みサイトなら削除されないだろうし、普通に生活している人たちからすればただの娯楽なんじゃないかな」
『最悪ですね』
「だから噂が広がるのが早くて、暴走する怪異が多くなってるのかもしれない」
それがおこるのが何故この町なのかは分からないが、とにかく最近町の様子が少しおかしく見える。
…そう見えているのは俺だけだろうか。
「瑠璃」
『どうかしましたか?』
「あの洋館について、おかしな噂は流れてない?」
『今のところは大丈夫そうです。何か気になることでもありましたか?』
「最近、町の様子がちょっとおかしい気がするんだ」
いくら噂が流れやすい場所とはいえ、これだけ短期間に複数の怪異たちの噂が流れたことは俺が知る限りない。
「栞奈からも連絡が来たし、ちょっと行ってみようと思う」
『まだ傷が癒えていないのに、ですか?』
「…ごめん」
本当はもう少し休んだ方がいいと分かっている。
分かってはいるけど悠長にしていられない。
『あなたをひとりで放っておくわけにはいきません。仕方がないので手伝ってあげます』
「ありがとう」
まずは【カミキリさん】がいる廃墟まで向かう。
これでいいのかなんて分からないが、呼ばれたからには行くしかない。
『あ、八尋』
「久しぶり、栞奈。何かあったのか?」
『最近、変な噂が流行ってるみたいだから…話しておきたかった』
「【皮剥さん】の話?」
『やっぱりもう知ってた』
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『噂のサイトがどうのって話していたけど、全部は聞き取れなかった』
「サイト…ありがとう、ちょっと調べてみるよ」
サイトというのは、おかしな噂を流していたサイトのことだろうか。
あんな全国に知れ渡るような都会ではないのに、何故か様々な書き込みが残され、その怪異たちは形を変えてこの町に現れている。
『何が起こるか分からない。気をつけて』
「栞奈は大丈夫なのか?またおかしな話に変えられたりしてない?」
『大丈夫。八尋のおかげ』
「それならよかった。また何かあったら知らせてくれ」
そのまま廃墟を出ると、たまたま目が合った通行人がぎょっとした顔でこちらを見る。
顔を触ると、前髪が乱れてしまっていた。
『あんなの、気にしなくても大丈夫です』
「ありがとう瑠璃。だけどどうしても気になるんだ。それに、悪目立ちしたくない」
本心だった。今更理解を求めようとは思っていない。
ただ、その為には隠し通すしかないのも事実だ。
左眼を隠すように前髪を整え、そのまま家路を急ぐ。
『サイトというのは、もしかして…』
「その可能性が高いと思う。ただの都市伝説書き込みサイトなら削除されないだろうし、普通に生活している人たちからすればただの娯楽なんじゃないかな」
『最悪ですね』
「だから噂が広がるのが早くて、暴走する怪異が多くなってるのかもしれない」
それがおこるのが何故この町なのかは分からないが、とにかく最近町の様子が少しおかしく見える。
…そう見えているのは俺だけだろうか。
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