王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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青海錬 編

第14話

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♪「黒羽、それ...」
とうとう、錬にバレてしまった。
時は二時間前に遡る...。
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♪「黒羽、最近ズボン多いね...」
「え!?」
黒羽は肌の露出が少ない長いズボンを選んでいた。
「う、うん...」
♪「もしかして、悩みごと?」
「...」
♪「僕には、言えないの...?」
錬の悲しそうな顔を見て、黒羽は部屋に逃げてしまったのだ。
それから一人で泣いていると...
「...!?」
(あ、足が...)
「どうして...?」
♪「黒羽!」
「ダメ!今は入ってこないで...」
♪「そんなに困ってるのに放っておけないよ...」
そこで錬は、はじめてそれを目にしたのである。
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「...大丈夫、この間もらった薬で...」
黒羽の足は元通りになった。
♪「...!どういうこと?今のって...」
「錬、どうしよう...」
黒羽は正直に全てを話した。
「黙っててごめんなさい...。錬に、嫌われたく、ないって、そう思って...。ただでさえ、迷惑なのに...」
♪「ごめん!」
そう言って強く抱きしめられた。
「錬...?」
♪「一人でそんなになるまで抱えこませて...。僕はきみに何もできてない。僕なんか」
「やめて、錬!『僕なんか』は言わないでって約束したでしょ...?」
♪「黒羽...。ちくしょう、僕に何ができるんだ...」
「じゃあ、約束をもう一つ増やす」
♪「...なんだってするよ」
「悩んだら相談する。もう一人で抱えたりしない。約束する...」
♪「...うん、約束ね」
「それとね、」
♪「...『深海の魔王』を探さないといけないんだよね?」
「うん。瓶は同じだから多分何か使って陸に...」
♪「よし!じゃあ明日からは楽しくお出掛けしながら魔王を探そう!」
「いいの...?」
♪「うん。早く足、本調子に戻してもらおう?」
「ありがとう...」
この日から、思い出作りとともに二人の途方もない魔王探しの旅がはじまった。
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■「...薬を、真面目に塗っているようだ」
◇「よかった」
◆「二人は一応落ち着いた、と」
■「急いであの女を捕まえるぞ、手伝え」
◇「友だちのためなら」
◆「絶対捕まえてやるぜ!」
三人も動きはじめた。
しかし...
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~「...で?なんであんたは俺らをあそこから出した?」
□「...あの娘に、また怪我を負わせてほしい」
~「...いいだろう。おい、おまえら!」
~~「へい!」
□「あと一度刺せば、呪いは完成する...。あはははははははははは!」
黒い影が、二人に忍び寄ろうとしていた。

忍び寄る謎の黒い影。それを何故か追う三人...。
二人は果たして、気づけるのだろうか...。
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