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青海錬 編
第3話
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♪「今日は仕事が休みなんだ。だから...」
「それなら、休んだ方が...」
♪「ううん、町を案内するよ。それと、買いたいものがあるしね。黒羽もいつも家事をしてくれてありがとう。助かってるよ」
「大したことはできてないよ...」
黒羽にできるのは、海にいた頃にしていた洗濯・掃除・裁縫・料理。
料理の知識は魔王にも少し教わった。
♪「あれだけできれば、充分な気もするけど...」
「あ、ところで、何を買いにいくの?」
♪「ん?色々」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「わあ...」
錬が黒羽をはじめに連れてきたのは、洋服屋だった。
♪「好きなの、買ってあげる」
「いいの!?」
♪「うん、勿論だよ!」
「えっと、う~ん...」
♪「...僕が決めてもいい?」
「お願いしてもいいかな?いっぱいありすぎて選べないよ...」
錬が選んだのは...グレーの羽織・青地に白い水玉のトップス・薄い生地のジーンズ・そして黒いシューズ。
♪「この靴なら、あまり足が痛くならないと思うよ!それと...」
「...?」
耳元がくすぐったかった。イヤリング、というものらしい。
♪「はい」
「わあ...綺麗!ありがとう、錬」
ふわり。いつものように笑顔を見せる黒羽。
♪「じゃあ、次行こうか」
「うん!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次にきたのは、
「...本屋さん?」
♪「うん。きみは、知らないことが多くあるでしょ?だから、僕がいない間に分からないことができたらいけないから...」
辞書、というものを買ってくれた。
「あの、錬...。その、お金が」
♪「お金より大切なものがあるから。気にしなくていいよ」
「ありがとう...」
♪「あ、でも僕がいる前では僕に聞いてね?辞書は僕がいない時にだけ使って」
「う、うん...」
♪「じゃあ最後!僕のとっておきの場所を教えてあげる」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
空には、綺麗な星。
「すごい...!」
♪「ここは、僕ときみだけの秘密の場所。でも、女の子が一人で行くのは危ないから、行きたいときは僕に言って?」
「うん!」
(どうして錬は、私に優しいんだろう...)
その答えを聞くと、すべてが壊れてしまう気がして。
黒羽は口を閉じた。
(錬にいつまでも迷惑かけられないよ...)
王子様を探さなくては。
ここにきてようやく目的を思い出した黒羽。
(でも私は、もしかしたら...)
錬といると鼓動がおかしい。
体が熱くなる。
黒羽は広告で見たのだった。
(これってもしかして、)
...『恋』?
「それなら、休んだ方が...」
♪「ううん、町を案内するよ。それと、買いたいものがあるしね。黒羽もいつも家事をしてくれてありがとう。助かってるよ」
「大したことはできてないよ...」
黒羽にできるのは、海にいた頃にしていた洗濯・掃除・裁縫・料理。
料理の知識は魔王にも少し教わった。
♪「あれだけできれば、充分な気もするけど...」
「あ、ところで、何を買いにいくの?」
♪「ん?色々」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「わあ...」
錬が黒羽をはじめに連れてきたのは、洋服屋だった。
♪「好きなの、買ってあげる」
「いいの!?」
♪「うん、勿論だよ!」
「えっと、う~ん...」
♪「...僕が決めてもいい?」
「お願いしてもいいかな?いっぱいありすぎて選べないよ...」
錬が選んだのは...グレーの羽織・青地に白い水玉のトップス・薄い生地のジーンズ・そして黒いシューズ。
♪「この靴なら、あまり足が痛くならないと思うよ!それと...」
「...?」
耳元がくすぐったかった。イヤリング、というものらしい。
♪「はい」
「わあ...綺麗!ありがとう、錬」
ふわり。いつものように笑顔を見せる黒羽。
♪「じゃあ、次行こうか」
「うん!」
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次にきたのは、
「...本屋さん?」
♪「うん。きみは、知らないことが多くあるでしょ?だから、僕がいない間に分からないことができたらいけないから...」
辞書、というものを買ってくれた。
「あの、錬...。その、お金が」
♪「お金より大切なものがあるから。気にしなくていいよ」
「ありがとう...」
♪「あ、でも僕がいる前では僕に聞いてね?辞書は僕がいない時にだけ使って」
「う、うん...」
♪「じゃあ最後!僕のとっておきの場所を教えてあげる」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
空には、綺麗な星。
「すごい...!」
♪「ここは、僕ときみだけの秘密の場所。でも、女の子が一人で行くのは危ないから、行きたいときは僕に言って?」
「うん!」
(どうして錬は、私に優しいんだろう...)
その答えを聞くと、すべてが壊れてしまう気がして。
黒羽は口を閉じた。
(錬にいつまでも迷惑かけられないよ...)
王子様を探さなくては。
ここにきてようやく目的を思い出した黒羽。
(でも私は、もしかしたら...)
錬といると鼓動がおかしい。
体が熱くなる。
黒羽は広告で見たのだった。
(これってもしかして、)
...『恋』?
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