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茶園 渚 続篇
第9話
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▼「食事を持ってくる、待ってろ」
「渚、」
黒羽は私も行くと言いかけていたのだが、ばたんと勢いよく扉が閉まった。
「白玉も食べられるもの、あるかな?」
『あるよ たぶん』
「そうだね」
白玉とわいわい話していると、コンコンと扉がたたかれた。
「...白玉」
黒羽は人差し指を口の前にたてた。
(渚ならきっと、ノックせずにカードを使うはず。だから...)
この船の部屋はオートロックというものなのだと渚に教えてもらっていた黒羽は、扉を開けようと思わなかった。
▼「僕の部屋に、何かご用ですか?」
ー「な、なんでもねえよ!」
ドタバタと走り去った音がしたあと、ドアがぱたんと開く。
▼「大丈夫か?」
「うん、部屋のドアを開けなかったから...」
『にんじん』
白玉がずいっと隣から出てきて、一生懸命紙を渚に見せている。
▼「俺はカードキーで入るから開けるな、って言ったことを覚えていたのか」
「うん」
渚は白玉を撫でながら、黒羽にトレーを渡した。
「ありがとう」
『にんじん』
▼「分かったからちょっと待て」
最近、少しだけ変わったことがある。
それは、白玉が渚の手からも人参を食べるようになったこと。
▼「...野菜スティックとパンの耳をもらってきたから、これなら食べられるだろ」
白玉は鼻をふんふんとさせ、もぐもぐと食べはじめた。
だが、その姿は恐る恐るといった感じだ。
▼「そんなに怖がらなくても、毒なんか入ってないぞ。...ほら」
渚は生野菜をかじってみせる。
▼「なんともないだろ?」
白玉はそれを見て、いつものペースで食べるのを再開した。
「渚はすごいね」
▼「...そうか?俺は俺がやりたいようにやっただけだ」
渚はふい、と顔を逸らした。
(どうしよう、渚が子どもらしく見えてしまう...)
そんなことを考えつつ、黒羽も食事をはじめた。
「渚、」
黒羽は私も行くと言いかけていたのだが、ばたんと勢いよく扉が閉まった。
「白玉も食べられるもの、あるかな?」
『あるよ たぶん』
「そうだね」
白玉とわいわい話していると、コンコンと扉がたたかれた。
「...白玉」
黒羽は人差し指を口の前にたてた。
(渚ならきっと、ノックせずにカードを使うはず。だから...)
この船の部屋はオートロックというものなのだと渚に教えてもらっていた黒羽は、扉を開けようと思わなかった。
▼「僕の部屋に、何かご用ですか?」
ー「な、なんでもねえよ!」
ドタバタと走り去った音がしたあと、ドアがぱたんと開く。
▼「大丈夫か?」
「うん、部屋のドアを開けなかったから...」
『にんじん』
白玉がずいっと隣から出てきて、一生懸命紙を渚に見せている。
▼「俺はカードキーで入るから開けるな、って言ったことを覚えていたのか」
「うん」
渚は白玉を撫でながら、黒羽にトレーを渡した。
「ありがとう」
『にんじん』
▼「分かったからちょっと待て」
最近、少しだけ変わったことがある。
それは、白玉が渚の手からも人参を食べるようになったこと。
▼「...野菜スティックとパンの耳をもらってきたから、これなら食べられるだろ」
白玉は鼻をふんふんとさせ、もぐもぐと食べはじめた。
だが、その姿は恐る恐るといった感じだ。
▼「そんなに怖がらなくても、毒なんか入ってないぞ。...ほら」
渚は生野菜をかじってみせる。
▼「なんともないだろ?」
白玉はそれを見て、いつものペースで食べるのを再開した。
「渚はすごいね」
▼「...そうか?俺は俺がやりたいようにやっただけだ」
渚はふい、と顔を逸らした。
(どうしよう、渚が子どもらしく見えてしまう...)
そんなことを考えつつ、黒羽も食事をはじめた。
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