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茶園 渚 続篇
第7話
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▼「...」
渚は黙ったまま、目の前の具材を見ていた。
「渚?」
▼「もう平気か?」
「うん。心配かけてごめんなさい...」
▼「気にするな」
そのとき、黒羽の目には雪が白玉とじゃれている姿と、渚が悲しそうな表情をしている姿が映っていた。
(雪と白玉、仲良しだな。でも...どうして渚は寂しそうな表情をしているんだろう)
▼「今日はもう、大人しく座っておけ。いいな?」
「分かった」
黒羽は大人しく席につくことにした。
『くれは』
「白玉、心配かけちゃってごめんね」
○「今は痛みは...」
「全然ないよ!雪もありがとう」
○「いえ、私は何もしていませんから。それより...黒羽は行ってみたい場所はありますか?」
「やっぱり、海が見える所かな。渚と白玉と行った渚の別荘?とか...」
黒羽の声はだんだん小さくなっていった。
(でも、魔女に狙われているのにそんな贅沢はできないよね)
『たのしかった』
「そうだね」
黒羽は白玉に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
○「...」
その話を聞いて、雪は何かを考えているようだった。
▼「何の話で盛り上がっている?」
『なんでもない』
▼「まあ、無理に聞こうとは思ってない。雪、おまえも食べていけ」
○「ありがとう」
この日の食事は、なんだかいつもよりほろ苦い味がするような気がした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ぎこちない雰囲気が残ったまま、翌日をむかえた。
「おはよう」
▼「...ああ」
すると、黒羽の携帯にメールがきた。
「...雪」
《もしよろしければ、渚と一緒に某所へ行ってきてください。
チケットは後程お持ちします》
「え?」
▼「どうした?」
「これ...」
雪からのメールを見せると、渚は小さくため息をついた。
▼「何処へ行かせる気だ?」
「分からない」
▼「旅行か。おまえはどうしたい?」
本当は行きたい。
だが、黒羽には不安があった。
▼「みんなの迷惑になるとか魔女がどうとかは抜きだ。おまえが行きたいなら、俺は行ってもいい。だが、おまえが嫌なら断る」
(全部、お見通しなんだな...)
「私は、行きたい。どんな場所なのか分からないけど...渚と一緒なら、行ってみたい。でも、足が痛くなったら...また渚に嫌な思いをさせてしまう。それは嫌なの」
そこまで言い終わると、渚は黒羽を抱きしめた。
泣きそうな黒羽を、強く強く抱きしめた。
▼「どんなものからも俺が守ってやる。だから、迷惑とか嫌な思いをとか、そんなこと言うな。俺はおまえと思いが通じあって、一度も嫌だと思ったことはない」
「渚...」
黒羽は小さく声をもらしながら、ぽろりと涙を溢した。
渚は黙ったまま、目の前の具材を見ていた。
「渚?」
▼「もう平気か?」
「うん。心配かけてごめんなさい...」
▼「気にするな」
そのとき、黒羽の目には雪が白玉とじゃれている姿と、渚が悲しそうな表情をしている姿が映っていた。
(雪と白玉、仲良しだな。でも...どうして渚は寂しそうな表情をしているんだろう)
▼「今日はもう、大人しく座っておけ。いいな?」
「分かった」
黒羽は大人しく席につくことにした。
『くれは』
「白玉、心配かけちゃってごめんね」
○「今は痛みは...」
「全然ないよ!雪もありがとう」
○「いえ、私は何もしていませんから。それより...黒羽は行ってみたい場所はありますか?」
「やっぱり、海が見える所かな。渚と白玉と行った渚の別荘?とか...」
黒羽の声はだんだん小さくなっていった。
(でも、魔女に狙われているのにそんな贅沢はできないよね)
『たのしかった』
「そうだね」
黒羽は白玉に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
○「...」
その話を聞いて、雪は何かを考えているようだった。
▼「何の話で盛り上がっている?」
『なんでもない』
▼「まあ、無理に聞こうとは思ってない。雪、おまえも食べていけ」
○「ありがとう」
この日の食事は、なんだかいつもよりほろ苦い味がするような気がした。
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ぎこちない雰囲気が残ったまま、翌日をむかえた。
「おはよう」
▼「...ああ」
すると、黒羽の携帯にメールがきた。
「...雪」
《もしよろしければ、渚と一緒に某所へ行ってきてください。
チケットは後程お持ちします》
「え?」
▼「どうした?」
「これ...」
雪からのメールを見せると、渚は小さくため息をついた。
▼「何処へ行かせる気だ?」
「分からない」
▼「旅行か。おまえはどうしたい?」
本当は行きたい。
だが、黒羽には不安があった。
▼「みんなの迷惑になるとか魔女がどうとかは抜きだ。おまえが行きたいなら、俺は行ってもいい。だが、おまえが嫌なら断る」
(全部、お見通しなんだな...)
「私は、行きたい。どんな場所なのか分からないけど...渚と一緒なら、行ってみたい。でも、足が痛くなったら...また渚に嫌な思いをさせてしまう。それは嫌なの」
そこまで言い終わると、渚は黒羽を抱きしめた。
泣きそうな黒羽を、強く強く抱きしめた。
▼「どんなものからも俺が守ってやる。だから、迷惑とか嫌な思いをとか、そんなこと言うな。俺はおまえと思いが通じあって、一度も嫌だと思ったことはない」
「渚...」
黒羽は小さく声をもらしながら、ぽろりと涙を溢した。
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