王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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○○な2人

店員とお客な2人 ※黒羽が出現しません

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▲「ふう...」
真人はいつもどおり、花屋の仕事に勤しんでいた。
ようやく客足がなくなってきたそのとき、扉が開く音がした。
▲「いらっしゃいませ」
?「この時季おすすめの花は?」
聞き覚えのある声がしたような気がしながらも、真人は仕事に集中することにした。
▲「ジニアは如何でしょうか?花言葉は『幸福』、何方に贈るにもいいものだと思います」
?「では、それをいただこう」
そのお客の足元だけ見ると、明らかに高価な靴を履いていた。
▲「お客様、鉢植えになさいますか?」
?「ああ」
▲「かしこまりました。少々お待ちを...って、遥!」
☆「やっと気づいたか」
遥は笑いを堪えて立っていた。
☆「相変わらず一度集中すると気づかないんだな」
▲「当たり前でしょ...?お客様に失礼な態度はできないからね。ところで、今日はどうして花を買いにきてくれたの?」
遥は真人の元へ花束の依頼があってくることはあっても、普通に花を買いにきたのはこれがはじめてだった。
☆「約束を果たしにきた」
▲「約束...?あ、学生時代の約束!」
☆「懐かしいな」
ーーーーーーーーーーーーーーー【回想】ーーーーーーーーーーーーーーー
▲「遥!俺、花屋さんの勉強はじめたよ!」
真人は夢が決まったとき、遥に一番に話した。
☆「...そうか」
▲「でも、やっぱり『親が作ったレールをちゃんと走れ』って言われて今も反対されてる」
☆「...!」
▲「遥は自分がやりたいことをやっていいって言ってくれたけど、俺の親は...」
遥はしばらく黙っていたが、やがてこう切り出した。
☆「おまえは親に無理矢理歩かされたレールで満足なのか?」
▲「...嫌だ。俺は俺だから」
☆「それなら諦めるな。夢を捨てるな」
▲「遥...」
☆「一つ約束してやる。もしおまえが花屋になったら、俺が顧客になってやる。そしていつか、一個人としても花を買いに行くとしよう」
▲「うん!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
真人は約束を思い出して、目を細めた。
▲「これ、どうするの?」
☆「見舞いにやる花だ」
▲「禊ちゃんの?」
☆「...ああ」
遥の辛そうな表情を見て、真人はその手をそっと握った。
▲「遥にも、幸福が訪れますように」
真人は鉢植えとは別に、ジニアのミニブーケを用意した。
それを遥に渡したのだ。
☆「いいのか?」
▲「当店のサービスです」
真人はにこやかに微笑む。
☆「お気遣いどうも」
遥もふっと微笑んでいた。
▲「遥、ありがとう」
☆「それはこちらの台詞だろう」
二人は笑いあって別れた。
▲「みんなの心に幸福が訪れますように」
真人はそう小さく呟いて、花屋のお片づけをはじめた。
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