王子と内緒の人魚姫

黒蝶

文字の大きさ
586 / 732
赤城 玲音 続篇

第5話

しおりを挟む
その夜、黒羽は玲音に話をふった。
「玲音、今日どうしていつもと違ったのか聞いてもいい?」
◆「んー?」
玲音は惚けたように首を傾げた。
「何か気になってるのかなって...。違う?」
黒羽はじっと見つめた。
◆「...」
玲音は暫く考えたような仕草をみせたあと、ゆっくり話しはじめた。
◆「...黒羽も、思ったりするのかなって」
「?」
◆「黒羽も、海に戻りたいって思ったりするのか気になったんだよ」
玲音の率直な疑問に、黒羽はただただ驚いた。
◆「故郷に帰りたいって思わないわけないから...そしたら、黒羽がいなくなる気がしてさ。勝手に思ってるんだけどな」
玲音は寂しさを隠すような笑みを浮かべていた。
「玲音、私はたしかに海が好きだよ。でも...私は玲音が好きだから、帰りたいとは思わない。ずっと玲音の側で笑っていたい」
◆「でも、俺は...俺は、最近黒羽の側にいる時間が少ないだろ?だから、寂しい思いをさせてるんじゃない?」
「寂しくないって言ったら嘘になるけど、でも、玲音がなかなか帰ってこられないのはそれだけお仕事が忙しいってことでしょ?それなら、私は気にしないよ」
ふわり。
◆「...強いな、黒羽は」
玲音は消えそうな声で呟いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◇「...で、惨敗?」
美音がふう...とため息をついた。
数時間後、玲音は帰ってきた美音と話していた。
◆「上手くいかなかった...。黒羽は多分寝ちゃったし、これ以上何か言うのもと思ってさ」
◇「玲音は心配しすぎ。もっと黒羽を信じてもいいと思う」
美音がグラスを片手に、玲音の方を見る。
◆「どうしても重ねて見ちゃうんだよ。...母さんと」
◇「それは分からなくもない。でも、黒羽は黒羽だよ」
◆「でも、母さんも我慢してただろ?そんなことさせたくない...」
ゴト、と鈍い音がした。
二人がその方向を見ると、黒羽が落とした本を拾っていた。
「ごめんなさい、聞くつもりはなかったんだけど...」
◇「黒羽」
◆「寝たのかと思ってた」
「玲音がそんなふうに思ってくれていたなんて、全然知らなかった。私は無理なんてしてないよ。一人の時間があると、寂しいなとは思うけど、みんなが一生懸命お仕事しているのに、私だけ落ちこんではいられないから」
ふわり。
◆「黒羽...ありがとう」
「私はみんなみたいに色々なことはできないけど、それでも...みんなが優しくしてくれるから。ありがとう」
月が綺麗に輝くその夜、錬が帰ってくるまで三人で暫く談笑した。
♪「ただいま...ってみんなで仲良く話してたのか!僕も混ぜて!」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...