王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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茶園 渚篇

第42話

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美音の怪我が治ったため、もう一度作戦をたてることになった。
「みんな、この前はごめんなさい」
◆「黒羽ちゃんが悪いわけじゃないでしょ?それより、なんで作戦が漏れてたんだ?」
▼「どうやらこれが原因だったようだ」
渚は黒いチップのようなものを差し出す。
♪「盗聴器か。いつ仕掛けられたのかな?」
▼「分からない」
▲「...それ、俺の花束に紛れてたやつだ!渚のだと思って置いて帰っちゃって...」
☆「その花束の送り主はどこに住んでいる?」
▲「東の方だよ。どうして?」
◯「送り主について調べましょう。なにか分かるかもしれません」
▼「...場所さえ分かれば吐かせてやる」
(渚、時々怖いよ)
黒羽は膝にのってきた白玉を撫でてやりながら思考を巡らせる。
「ねえ、その盗聴器?って、相手に声が聞こえるんだよね?だったら、逆にそれを使えないかな?」
◇「使うとは?」
「えっと、まず最初に、本物の作戦をたてるでしょ?それから偽物の作戦を話し合ってるふりをして相手の人たちに聞かせる、とか...無理かな?」
黒羽は不安だった。
(私じゃ、役に立てないのかもしれない)
誰も怪我をせず、犯人を無事に逮捕できる作戦...。黒羽には思いつかなかった。
▼「...いい考えだ」
「え?」
▼「これから本物の作戦をたてる。次は総力戦でいこう。港の近くは危険だから、やつの居場所を突き止める。その居場所を総攻撃だ」
◆「場所の特定はどうすんだ?」
▲「花の送り主を見つけよう。あとは彼から聞けばいい」
♪「居場所の特定は僕と美音、玲音、真人でできると思う。見つかってからのことは...渚や遥が手慣れてると思うから任せてもいい?」
☆「任せろ」
遥が余裕の笑みを浮かべる。
▼「なんとかしてやる。ここまできたらやるしかないだろ」
渚は真剣な顔だった。
♪「雪は引き続き敵のボスの情報を集めて」
◯「了解しました」
♪「雪にはもう一つ役を担ってもらう。黒羽にもだけど...二人は、ストッパーね」
「ストッパー?」
♪「見つかったあと吐かせるグループが暴走したときに止める役!一番厄介だけど、お願いできるかな?二人とも...特に渚はこの件ではすぐに我を失うからお願いしたいんだ」
(私に、できること)
「やってみるよ」
♪「ありがとう!」
▲「ともかく先に、彼を見つけないと」
▼「...あとはこの導線を繋げば直る。ダミーの会議、はじめるぞ」
みんなで全く関係のない話をして、作戦がまとまっていないように見せかけた。
そのあと渚がもう一度壊して作戦は完了、みんなは帰っていった。
▼「黒羽」
「なに?」
▼「外食しないか?」
「私はいいけど...渚、疲れてないの?」
▼「ああ、平気だ」
「それなら、連れていって!」
▼「ほら、行くぞ」
黒羽はさしのべられた渚の手をとり、白玉をハンドバッグの中に入れてそのまま渚に導かれるままについていった。
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