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茶園 渚篇
第33話
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黒羽は家に戻ると、素早くメールを打った。
「渚...一人で頑張らないで?」
▼「...あいつら、あいつらは、俺を探して...。みんなが危険に...」
「一人で抱えこむ必要はないんだよ、渚」
いつもよりボロボロの渚を椅子に座らせ、黒羽は優しく抱きしめる。
▼「悪い...」
渚は掠れた声で呟いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
仕事帰り、雪は玲音たちのところにいた。
そこは、一件のバーだ。
◆「雪が飲みにくるの、久しぶりだな!」
◇「玲音うるさい」
◯「相変わらず仲がいいようですね...」
◇「何か嫌なことがあったの?」
美音は人一倍鋭い。
◯「いえ、ただ...」
携帯が鳴り響く。
◯「すいません」
◇「いいよ、気にしないで」
◯「メール...?」
その一文めを読んだだけで、雪には事態が把握できた。
《雪へ
今日、変な男の人たちにさがされていたみたいで、それから渚のようすがおかしいです。
ずっとふるえてて、なんだかいつもとちがっていて、私にできることって、なんですか?
この場合は、何をすればいいんですか?
渚が落ち着きそうなことを教えてください。
黒羽》
◯「...」
◇「...明日の朝までにみんなに連絡を入れておくから、行ってあげて」
メールを覗き見た美音が雪の肩を叩く。
◯「ありがとうございます」
雪は鞄だけ持ってタクシーを呼ぶ。
◆「どうしたんだよ?」
◇「明日、緊急会議をする」
美音はメールを一斉送信した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ピンポーン...
(誰だろう?)
「渚、少しだけ待っててね」
▼「...行くな」
「え?」
▼「もし開けて、敵が中に入ってきたらどうするんだ」
渚が不安そうに言う。
▼「もしおまえに何かあったら、俺は...」
「大丈夫だよ、なんとかなるから。私は渚のそばにいるから」
ドアを開けると、息を切らした雪が入ってきた。
◯「おまえはどうして大事なことを何も言ってくれないんだ」
▼「なんでおまえが...」
◯「黒羽さんが、教えてくれた」
▼「...どうしてきたんだ、もし家の場所まで知られていたらおまえまで...!」
雪は渚の手を握る。
◯「...みんなで一緒に乗り越えればいい。そうだろう?俺だって顔はバレてるからな」
▼「...悪い、雪。おまえまで巻き込んで...」
◯「悪いと思うなら、もう一人で苦労するな。...いいな?」
▼「...ああ」
二人のやり取りを、黒羽は少し離れた場所からいつのまにか起きた白玉と共に見つめていた。
「渚...一人で頑張らないで?」
▼「...あいつら、あいつらは、俺を探して...。みんなが危険に...」
「一人で抱えこむ必要はないんだよ、渚」
いつもよりボロボロの渚を椅子に座らせ、黒羽は優しく抱きしめる。
▼「悪い...」
渚は掠れた声で呟いた。
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仕事帰り、雪は玲音たちのところにいた。
そこは、一件のバーだ。
◆「雪が飲みにくるの、久しぶりだな!」
◇「玲音うるさい」
◯「相変わらず仲がいいようですね...」
◇「何か嫌なことがあったの?」
美音は人一倍鋭い。
◯「いえ、ただ...」
携帯が鳴り響く。
◯「すいません」
◇「いいよ、気にしないで」
◯「メール...?」
その一文めを読んだだけで、雪には事態が把握できた。
《雪へ
今日、変な男の人たちにさがされていたみたいで、それから渚のようすがおかしいです。
ずっとふるえてて、なんだかいつもとちがっていて、私にできることって、なんですか?
この場合は、何をすればいいんですか?
渚が落ち着きそうなことを教えてください。
黒羽》
◯「...」
◇「...明日の朝までにみんなに連絡を入れておくから、行ってあげて」
メールを覗き見た美音が雪の肩を叩く。
◯「ありがとうございます」
雪は鞄だけ持ってタクシーを呼ぶ。
◆「どうしたんだよ?」
◇「明日、緊急会議をする」
美音はメールを一斉送信した。
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ピンポーン...
(誰だろう?)
「渚、少しだけ待っててね」
▼「...行くな」
「え?」
▼「もし開けて、敵が中に入ってきたらどうするんだ」
渚が不安そうに言う。
▼「もしおまえに何かあったら、俺は...」
「大丈夫だよ、なんとかなるから。私は渚のそばにいるから」
ドアを開けると、息を切らした雪が入ってきた。
◯「おまえはどうして大事なことを何も言ってくれないんだ」
▼「なんでおまえが...」
◯「黒羽さんが、教えてくれた」
▼「...どうしてきたんだ、もし家の場所まで知られていたらおまえまで...!」
雪は渚の手を握る。
◯「...みんなで一緒に乗り越えればいい。そうだろう?俺だって顔はバレてるからな」
▼「...悪い、雪。おまえまで巻き込んで...」
◯「悪いと思うなら、もう一人で苦労するな。...いいな?」
▼「...ああ」
二人のやり取りを、黒羽は少し離れた場所からいつのまにか起きた白玉と共に見つめていた。
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