668 / 732
茶園 渚篇
第15話
しおりを挟む
次の日。
黒羽は近くの海にきていた。
(メモ書きをしてきたから、きっと大丈夫だよね...?)
鞄の中には、勝手に入り込んだ白玉がいる。
「白玉、潮風にやられたりしないの?」
白玉はぴょんぴょんと跳ねている。
「ふふ、そっか」
(魔王、私...幸せになれるかな?)
黒羽は海のことを少し思い出していた。
『いいか、黒羽...人は一人では生きていけないんだよ』
「一人では、生きていけない...」
(どうして、私に頼ってくれないんだろう...)
「白玉、私じゃ頼りないのかな?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家へ戻ると、メモが1枚ある。
▼「勝手に出掛けたのか...?」
《渚へ
少し近くの海にいってきます。
あんまりおそくならないように帰ります。
心配しないでね。
黒羽》
▼「あいつ...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
渚は海まできて黒羽の姿を見つけ、
▼「おい、何また一人で...」
注意しかけてやめた。
「...っ」
黒羽は泣いていた。
海のことを思い出してではなく...
「どうして何も話してくれないの...?」
渚の事で泣いていた。
渚はこっそり背後から近づき...
▼「...そんなの、おまえを巻き込みたくないからに決まってるだろ」
「渚...」
▼「白玉と仲がいいのはけっこうな事だが、俺に直接言え。...いいな?」
「私は、渚のことを聞きたい。教えて、渚...」
▼「黒羽...」
しばらく見つめあったあと、
「んっ...」
▼「俺の負けだ。ちゃんと話す。覚悟を、決める」
そっとキスしたあと、耳許で囁いた。
▼「ほら、泣くな...」
あふれでる涙を、渚は必死に拭っている。
「渚...」
▼「大丈夫だから」
渚は頭をぽん、と撫でた。
再び涙を拭おうとした時、
「渚、後ろ!」
黒羽は悲鳴に近い声で叫んだ。
ー「ぐっ...。『鍵』を寄越せ。あいつらを滅茶苦茶に...」
男に蹴りを喰らわせたあと、渚は強く言い放った。
▼「それは言ったろう。あんたには俺の『鍵』を使う資格はない。売る気もねえ。帰れ」
ー「ちっ...」
男は退散していった。
▼「怪我はないか?」
「うん...」
(鍵って、何?売るとか使うとか...分からない)
▼「...半分くらい知られてしまったか」
渚はため息をつく。
「どういうこと?」
▼「帰ってから説明する。...取り敢えず今は、」
「わっ...」
白玉と一緒に抱きかかえられる。
▼「足、痛むんだろ?試しに使ってほしい薬がある。それに...ここじゃ話せねえよ」
「うん、分かった。ありがとう、渚」
ふわり。
▼「走るぞ」
渚は少しずつ歩調を早め、家路を急いだ。
黒羽は近くの海にきていた。
(メモ書きをしてきたから、きっと大丈夫だよね...?)
鞄の中には、勝手に入り込んだ白玉がいる。
「白玉、潮風にやられたりしないの?」
白玉はぴょんぴょんと跳ねている。
「ふふ、そっか」
(魔王、私...幸せになれるかな?)
黒羽は海のことを少し思い出していた。
『いいか、黒羽...人は一人では生きていけないんだよ』
「一人では、生きていけない...」
(どうして、私に頼ってくれないんだろう...)
「白玉、私じゃ頼りないのかな?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家へ戻ると、メモが1枚ある。
▼「勝手に出掛けたのか...?」
《渚へ
少し近くの海にいってきます。
あんまりおそくならないように帰ります。
心配しないでね。
黒羽》
▼「あいつ...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
渚は海まできて黒羽の姿を見つけ、
▼「おい、何また一人で...」
注意しかけてやめた。
「...っ」
黒羽は泣いていた。
海のことを思い出してではなく...
「どうして何も話してくれないの...?」
渚の事で泣いていた。
渚はこっそり背後から近づき...
▼「...そんなの、おまえを巻き込みたくないからに決まってるだろ」
「渚...」
▼「白玉と仲がいいのはけっこうな事だが、俺に直接言え。...いいな?」
「私は、渚のことを聞きたい。教えて、渚...」
▼「黒羽...」
しばらく見つめあったあと、
「んっ...」
▼「俺の負けだ。ちゃんと話す。覚悟を、決める」
そっとキスしたあと、耳許で囁いた。
▼「ほら、泣くな...」
あふれでる涙を、渚は必死に拭っている。
「渚...」
▼「大丈夫だから」
渚は頭をぽん、と撫でた。
再び涙を拭おうとした時、
「渚、後ろ!」
黒羽は悲鳴に近い声で叫んだ。
ー「ぐっ...。『鍵』を寄越せ。あいつらを滅茶苦茶に...」
男に蹴りを喰らわせたあと、渚は強く言い放った。
▼「それは言ったろう。あんたには俺の『鍵』を使う資格はない。売る気もねえ。帰れ」
ー「ちっ...」
男は退散していった。
▼「怪我はないか?」
「うん...」
(鍵って、何?売るとか使うとか...分からない)
▼「...半分くらい知られてしまったか」
渚はため息をつく。
「どういうこと?」
▼「帰ってから説明する。...取り敢えず今は、」
「わっ...」
白玉と一緒に抱きかかえられる。
▼「足、痛むんだろ?試しに使ってほしい薬がある。それに...ここじゃ話せねえよ」
「うん、分かった。ありがとう、渚」
ふわり。
▼「走るぞ」
渚は少しずつ歩調を早め、家路を急いだ。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる