王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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茶園 渚篇

第9話

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「おはよう」
▼「...おはよう」
「えっ」
(いつも、ああとかだったのに...)
「昨日はありがとう」
ふわり。
▼「...別に」
(渚は、嫌われるのが怖いって言ってた。でもきっと、この突き放すような態度にも何かあるんだろうな...)
黒羽が立っていると、白玉がジャンプしてきた。
「白玉!?きゃあっ」
▼「...!」
黒羽はバランスを崩し、転び...そうになったところを渚が支える。
▼「おい白玉!急にこいつに飛びつくな」
「渚、そんなに怒らなくても...」
黒羽の腕のなかで白玉はしゅんとしている。
「白玉も、いつもありがとう。昨日の林檎、美味しかったよ」
白玉は頭を撫でられて嬉しそうにしている。
▼「...怪我は、してないみたいだな。それより...」
「?」
▼「いつまで人に抱き止められておくつもりだ?」
「...!ごめんなさい!」
黒羽は顔を真っ赤にして自分の足で立つ。
▼「...別に、悪くはなかった」
「え?」
▼「なんでもねえ。仕事に行ってくる。...なんかあったらすぐに呼べ。いいな?」
「うん」
▼「そういえばおまえ...洋服、それしかないのか?」
「うん。私はお金を持っていないし、渚がいない間に洗濯してるから大丈夫だよ」
▼「...明日は店が休みだ。だから...出掛けるぞ」
「お出掛けできるの!?」
黒羽はぱあっと表情が明るくなる。
▼「...っ。色々、買い揃えねえといけねえだろ?だから、」
「でも、白玉は...」
▼「...っ、白玉も入れる店を知ってる。そこへ行けば問題ないだろ」
「ありがとう、渚」
ふわり。
▼「...取り敢えず仕事に行くからな」
渚は仕事へと行ってしまった。
(今日は、私がご飯を作ってあげよう)
黒羽は白玉を連れて買い出しに出掛けた。
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