王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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緑川真人 篇

第39話

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しばらくして真人の頭の傷が治ったとき、みんなで集まることになった。
黒羽はまだ歩くことができず、車椅子だ。
真人がおしてやってくる。
▲「お待たせ。...じゃあ、はじめようか」
中庭のテーブルを囲んで話し合いがはじまった。
☆「まず...錬」
♪「あの日のことを近所の人に聞いてみて、不審者がいなかったか聞き込みをしたんだけど...不審なマントを羽織った女がいたらしい」
○「マント、ですか...」
雪が丁寧にメモをとっていく。
「いつも思っていたけど、錬って一体...」
♪「簡単に言うと、お巡りさんかな」
「お巡りさん!?初めて知ったよ...」
♪「黙っててごめんね」
☆「話を元に戻すぞ」
▲「あの...実は、犯人に心当たりがあるんだ」
▼「なんだと...」
▲「実は...店に嫌がらせを仕掛けそうな人がいる。お客さんとしてきたんだけど...」
(もしかして)
「真人、それって...」
▲「うん、あのお客さんだ。街の噂で少し聞いたんだけど...」
真人が聞いた話によると、プロポーズは無事に成功したらしい。
しかし、あの男の横暴な性格により、結婚生活は長く続かなかったそうだ。
▲「ブーケに不満を持っていたし、あんまり疑いたくはないんだけど...意識が飛ぶ前に、声を聞いたんだ。...『あの花さえなければ』って」
「そんな、だって真人は必死に作っていたのに」
▲「本当は...黒羽が狙われているのかもしれない」
☆「どういうことだ?」
真人はみんなに説明した。
自分が作ったブーケを散々バカにされたこと。あの男が真人が作ったブーケを悪く言わないでほしい、真人の努力を無駄にするような言い方はしないでほしいと言った黒羽を殴ったこと。

その時の男がすごい形相だったこと。そのあと真人が適当に法律用語を並べて追い返したこと...。
♪「その男の人相、覚えてる?」
☆「待て、真人に絵を描かせるのは...」
(...そうだ)
「あの、私にできるか分からないけれど...私も、あの人の絵を描いてみてもいいかな?」
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