王子と内緒の人魚姫

黒蝶

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赤城玲音 篇

第28話

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(ん...スープの、香り...?)
目を開けるともう夕方だった。
(ご飯、作らなきゃ!)
◆「...れの、」
「?」
◆「俺の側にいてよ...」
そう言うと玲音は黒羽の身体を離してくれない。
「れ、玲音...。ご飯、作らなきゃいけないから...」
◆「んー...」
寝ぼけているのか答えが曖昧だ。
◆「んー...あれ?...!ごめん黒羽!」
「ふふ、気にしないで」
(寝ぼけたところも可愛いな...)
「ご飯作ってくるね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ごめんね、錬」
♪「気にしないで、玲音とゆっくりすればいいのに」
「そういうわけにはいかないよ」
♪「ありがとう」
ふわり。
お礼を言われるのが嬉しくて。
つい色々やってしまう。
◆「二人とも、飯飯!」
♪「...座ってて」
ひややかにながす錬の反応も面白くて。
二人の反応がとても楽しく、リビングは賑わった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その日、一通の手紙が届いた。
◆「...あの野郎」
玲音の様子がおかしかった。
いつもニコニコしているのに、声が低く、顔から笑顔も消えていた。
◆「ごめん、ちょっと出掛けてくる!」
「あ、玲音!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◆「おい!出てこいよ、これは一体どういうことなのか説明しろ!」
玲音は海に向かってそう叫んだ。
すると...
■「すまないな。...魔女が、動き出したようだ」
◆「黒羽は渡さない!怖い思いもさせない。黒羽は俺が守る!」
■「...分かっている」
◆「悪い、償いのつもりなんだろうけど...あの時みたいな思い、もうしたくないから」
歩いてその場を去っていく玲音に、彼はこう告げた。
■「あいつはおまえたちの前に姿を現すはずだ。気をつけろ。必要なら俺も呼ぶんだ。いいな?」
◆「...分かったよ」
玲音はそう吐き捨て、家路を急いだ。
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