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プロローグ
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深夜、私の怒りは夜空に溶けていく。
「私たちに関わるな。…次連絡してこようものなら警察に訴えてやる」
望まない場所からの連絡にただため息を吐く。
ぼんやり窓の外を眺めていると、後ろからぱたぱたと足音がした。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「なんでもないよ。明日も早いんだし、今日はもう寝た方がいいぞ」
「子どもじゃないんだから大丈夫だよ…」
「まだ小学生だろ?私からすればまだ子どもだよ。それに、夜ふかしは敵だぞ穂乃」
眠そうにしている穂乃の頭を撫でると、欠伸を噛み殺しながら純粋な瞳を向けてくる。
「お姉ちゃんはいいの?」
「私はいいんだよ。…もう寝てろ。じゃないと、授業中に眠くなったらまずいだろ?」
「そうかもしれないけど…お姉ちゃんと話したかったんだもん」
ぷくっと頬をふくらませる姿は、何度見ても微笑ましく感じる。
こんなに可愛い妹をあいつらなんかに傷つけさせはしない。
「おやすみ」
「お姉ちゃんも早く寝てね」
「これを片づけたらもう休むよ」
今でこそ笑っているが、はじめはもっと疲れきっていたように思う。
いつも泣き出しそうな穂乃に私ができたのは、こうしてあの場所から連れ出すことだけだった。
「…さて、もうひと頑張りするか」
高校2年生の春、私にできるのは監査部部長として新年度に向けた資料づくりだけだ。
あとはバイト先へのシフト相談に授業の予習、あいつらへの対処…他にも道具の手入れがある。
ひと息ついて、明日の弁当の下準備をすませることにした。
「私たちに関わるな。…次連絡してこようものなら警察に訴えてやる」
望まない場所からの連絡にただため息を吐く。
ぼんやり窓の外を眺めていると、後ろからぱたぱたと足音がした。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「なんでもないよ。明日も早いんだし、今日はもう寝た方がいいぞ」
「子どもじゃないんだから大丈夫だよ…」
「まだ小学生だろ?私からすればまだ子どもだよ。それに、夜ふかしは敵だぞ穂乃」
眠そうにしている穂乃の頭を撫でると、欠伸を噛み殺しながら純粋な瞳を向けてくる。
「お姉ちゃんはいいの?」
「私はいいんだよ。…もう寝てろ。じゃないと、授業中に眠くなったらまずいだろ?」
「そうかもしれないけど…お姉ちゃんと話したかったんだもん」
ぷくっと頬をふくらませる姿は、何度見ても微笑ましく感じる。
こんなに可愛い妹をあいつらなんかに傷つけさせはしない。
「おやすみ」
「お姉ちゃんも早く寝てね」
「これを片づけたらもう休むよ」
今でこそ笑っているが、はじめはもっと疲れきっていたように思う。
いつも泣き出しそうな穂乃に私ができたのは、こうしてあの場所から連れ出すことだけだった。
「…さて、もうひと頑張りするか」
高校2年生の春、私にできるのは監査部部長として新年度に向けた資料づくりだけだ。
あとはバイト先へのシフト相談に授業の予習、あいつらへの対処…他にも道具の手入れがある。
ひと息ついて、明日の弁当の下準備をすませることにした。
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