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追暮篇(おいぐらしへん)
神様のお見舞い
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いつもどおり早く起きて、杖で歩く練習をする。
痛みは少しずつ引いてきてはいるものの、やっぱり1歩踏み出す度に体中に響くような感覚に陥ってしまう。
「痛っ...」
思わず膝をついてしまいそうになるけれど、どうしても木葉を起こしたくなくて自力でふんばった。
そのとき、インターホンが鳴り響く。
(...?)
こんな時間に来客があるとは思えない。
ただ、もし急ぎの用事なら出なかったことを後悔する。
恐る恐る扉を開けると、そこには見覚えのある女性が呆然と立ち尽くしていた。
「お邪魔しま...」
発していた言葉は途中で止まり、青ざめた顔を私に向けてきた。
「どうしてそんな怪我、酷い...」
「...美桜さん」
少し不便な生活を送りはじめて数日、その神様は真っ青な顔で私を見つめた。
そして、冷たい言葉を言い放つ。
「いつの時代も、人間は野蛮」
「そんな人ばかりじゃないんだよ。一緒にお仕事をしている人もそうだし、町でただ一言話しただけの人だって...」
そう、悪い人間ばかりではない。
分かってはいるけれど、どうしても割り切れないことがある。
私より長く生きている美桜さんなら、人間の嫌な部分も沢山見てきているのだろう。
「それも分からない訳ではない。でも、やっぱり人間は怖い」
「美桜さん...」
「私にできることはある?」
「それじゃあ、一緒に話をしない?」
「話?」
「最近、全然お社に行けてなかったから...」
「...あなたの呑気さは、少し心配」
そんなことを言いながらも、美桜さんは私のくだらない話を真剣に聞いてくれる。
「舞のおかげで木葉を助けられたんだ。だから、ありがとう美桜さん」
「それはあなたの実力で、私は何もできていない」
「そんなことないよ。教えてもらったからちゃんとできたんだし...」
しばらく話していると、木葉がゆっくりと起きてくる。
「おはよ...あれ、美桜さん?」
「お邪魔してます。...あなたは怪我しなかったの?」
「僕は平気だよ。でも、僕のせいで七海が傷ついた」
木葉はやっぱり自分自身を責めている。
今の発言だけで、それだけははっきりした。
「もう少ししたらまたくる」
美桜さんが帰っていった後、私は木葉にはっきりと告げた。
「誰かのせいじゃない。私の怪我は私のものだし、誰かのせいになんかしたくない」
「...ごめん」
「言ったでしょ、無茶をしないでくれるならそれでいいって。...もう離れないでね」
「ありがとう」
木葉とふたり、美桜さんがくるまでの間食事をしながらゆっくり過ごす。
こんな時間も好きだと、沁々と感じたのだった。
痛みは少しずつ引いてきてはいるものの、やっぱり1歩踏み出す度に体中に響くような感覚に陥ってしまう。
「痛っ...」
思わず膝をついてしまいそうになるけれど、どうしても木葉を起こしたくなくて自力でふんばった。
そのとき、インターホンが鳴り響く。
(...?)
こんな時間に来客があるとは思えない。
ただ、もし急ぎの用事なら出なかったことを後悔する。
恐る恐る扉を開けると、そこには見覚えのある女性が呆然と立ち尽くしていた。
「お邪魔しま...」
発していた言葉は途中で止まり、青ざめた顔を私に向けてきた。
「どうしてそんな怪我、酷い...」
「...美桜さん」
少し不便な生活を送りはじめて数日、その神様は真っ青な顔で私を見つめた。
そして、冷たい言葉を言い放つ。
「いつの時代も、人間は野蛮」
「そんな人ばかりじゃないんだよ。一緒にお仕事をしている人もそうだし、町でただ一言話しただけの人だって...」
そう、悪い人間ばかりではない。
分かってはいるけれど、どうしても割り切れないことがある。
私より長く生きている美桜さんなら、人間の嫌な部分も沢山見てきているのだろう。
「それも分からない訳ではない。でも、やっぱり人間は怖い」
「美桜さん...」
「私にできることはある?」
「それじゃあ、一緒に話をしない?」
「話?」
「最近、全然お社に行けてなかったから...」
「...あなたの呑気さは、少し心配」
そんなことを言いながらも、美桜さんは私のくだらない話を真剣に聞いてくれる。
「舞のおかげで木葉を助けられたんだ。だから、ありがとう美桜さん」
「それはあなたの実力で、私は何もできていない」
「そんなことないよ。教えてもらったからちゃんとできたんだし...」
しばらく話していると、木葉がゆっくりと起きてくる。
「おはよ...あれ、美桜さん?」
「お邪魔してます。...あなたは怪我しなかったの?」
「僕は平気だよ。でも、僕のせいで七海が傷ついた」
木葉はやっぱり自分自身を責めている。
今の発言だけで、それだけははっきりした。
「もう少ししたらまたくる」
美桜さんが帰っていった後、私は木葉にはっきりと告げた。
「誰かのせいじゃない。私の怪我は私のものだし、誰かのせいになんかしたくない」
「...ごめん」
「言ったでしょ、無茶をしないでくれるならそれでいいって。...もう離れないでね」
「ありがとう」
木葉とふたり、美桜さんがくるまでの間食事をしながらゆっくり過ごす。
こんな時間も好きだと、沁々と感じたのだった。
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