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追暮篇(おいぐらしへん)
神子の力
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「おはよう、七海」
「おはよう。美桜さん、あのね、」
「...分かってる。木葉は寝かせておかないといけない。
無理矢理起こしたら、体が重くて動けないから」
昨日私が寝てから何を話したのか気になって仕方がない。
けれど、それを訊いてしまってもいいのか迷っている自分がいる。
「昨日は楽しい話を聞かせてもらった。彼はあなたを大事にしているんだね」
「木葉は優しいよ。でも、時々優しすぎて心配になる」
「それは、ちゃんと本人に伝えた方がいい。...ご飯を作っておいた」
美桜さんの料理を食べるのは久しぶりで、どんなものが出てくるのかとわくわくしてしまう。
そんな私を見つめて、彼女はただ優しく笑った。
(子どもっぽかったかな...)
だんだん恥ずかしくなっていると、美桜さんが隣に座ったことに気づく。
「...七海、後で一緒にお守り作ってくれる?」
「あの頃より少しは上手くできるといいんだけど、もしかしたら下手になってるかもしれない」
「それでもいい。私はあなたと作りたい」
美桜さんがそう望んでくれるのならと、昔から使っている裁縫道具を手に持つ。
「その前にご飯にしよう。私も食べるのは久しぶりだから」
「...うん」
美桜さんはきっと、寂しさから何も食べていなかったのだろう。
『神様はご飯を食べなくてもお腹が空かないけど、力が出なくなる』...まだ小さい頃、そう答えてくれたのを覚えている。
それでも私と一緒にご飯を食べてくれるのは、すごく嬉しい。
「美味しい?」
「うん、すごく美味しい」
「よかった。料理は久しぶりだから、自信がなかった」
どうやって過ごしてきたのか、どれだけの苦しみに耐えてきたのか...訊いていいのか分からない。
「片づけは私にやらせて」
「ありがとう。それじゃあ、布の準備をしておく」
美桜さんから教わったお守りというのは、綺麗な着物の端切れを使って作るものだった。
針が壊れてしまわないように作るのが大変だったことはよく覚えているけれど、作り方が少しあやふやになっているような気がする。
「美桜さん、一応できたよ」
「...すごい」
「え?」
「すごい量の力がこめられている。他の神子でもこんなふうになったことないのに...」
確かに少し光ってはいるけれど、他のお守りとどう違うのか分からない。
けれど、不安そうな声で目の前の神様は渡したお守りを握りしめる。
「...木葉がいっていたことは理解できた」
「木葉とどんな話をしたの?」
「あなたが作ったミサンガのおかげで自分の命が助かったけれど、あなたの体にそれだけ力があるのなら負担がかかるんじゃないかって、心配していた」
木葉らしい話だと思う。
自分のことよりもまずは周りの心配をするのが彼のすごいところだ。
けれど、もっと自分のことも大切にしてほしい。
(なんて、欲張りかな?)
「七海」
「どうしたの?」
美桜さんは自分が作ったお守りを私の手に握らせて、不安そうな声で告げた。
「...あなたの神子としての力はとても強い。気をつけて」
「おはよう。美桜さん、あのね、」
「...分かってる。木葉は寝かせておかないといけない。
無理矢理起こしたら、体が重くて動けないから」
昨日私が寝てから何を話したのか気になって仕方がない。
けれど、それを訊いてしまってもいいのか迷っている自分がいる。
「昨日は楽しい話を聞かせてもらった。彼はあなたを大事にしているんだね」
「木葉は優しいよ。でも、時々優しすぎて心配になる」
「それは、ちゃんと本人に伝えた方がいい。...ご飯を作っておいた」
美桜さんの料理を食べるのは久しぶりで、どんなものが出てくるのかとわくわくしてしまう。
そんな私を見つめて、彼女はただ優しく笑った。
(子どもっぽかったかな...)
だんだん恥ずかしくなっていると、美桜さんが隣に座ったことに気づく。
「...七海、後で一緒にお守り作ってくれる?」
「あの頃より少しは上手くできるといいんだけど、もしかしたら下手になってるかもしれない」
「それでもいい。私はあなたと作りたい」
美桜さんがそう望んでくれるのならと、昔から使っている裁縫道具を手に持つ。
「その前にご飯にしよう。私も食べるのは久しぶりだから」
「...うん」
美桜さんはきっと、寂しさから何も食べていなかったのだろう。
『神様はご飯を食べなくてもお腹が空かないけど、力が出なくなる』...まだ小さい頃、そう答えてくれたのを覚えている。
それでも私と一緒にご飯を食べてくれるのは、すごく嬉しい。
「美味しい?」
「うん、すごく美味しい」
「よかった。料理は久しぶりだから、自信がなかった」
どうやって過ごしてきたのか、どれだけの苦しみに耐えてきたのか...訊いていいのか分からない。
「片づけは私にやらせて」
「ありがとう。それじゃあ、布の準備をしておく」
美桜さんから教わったお守りというのは、綺麗な着物の端切れを使って作るものだった。
針が壊れてしまわないように作るのが大変だったことはよく覚えているけれど、作り方が少しあやふやになっているような気がする。
「美桜さん、一応できたよ」
「...すごい」
「え?」
「すごい量の力がこめられている。他の神子でもこんなふうになったことないのに...」
確かに少し光ってはいるけれど、他のお守りとどう違うのか分からない。
けれど、不安そうな声で目の前の神様は渡したお守りを握りしめる。
「...木葉がいっていたことは理解できた」
「木葉とどんな話をしたの?」
「あなたが作ったミサンガのおかげで自分の命が助かったけれど、あなたの体にそれだけ力があるのなら負担がかかるんじゃないかって、心配していた」
木葉らしい話だと思う。
自分のことよりもまずは周りの心配をするのが彼のすごいところだ。
けれど、もっと自分のことも大切にしてほしい。
(なんて、欲張りかな?)
「七海」
「どうしたの?」
美桜さんは自分が作ったお守りを私の手に握らせて、不安そうな声で告げた。
「...あなたの神子としての力はとても強い。気をつけて」
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