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日常篇
星の下、やっと渡せた贈り物
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望遠鏡の調節を終えると、七海は天窓から見える世界に魅いっているようだった。
「やっぱりここから見られる星って、私が知ってるなかで1番綺麗な気がする」
「そうかな?」
僕にとっては日常的に目にする景色だからか、それほど特別には感じられない。
ただ、隣に七海がいてくれるだけでいつも見ているものが輝いているのは事実だ。
「七海、あのね...」
やっとだ。やっと渡せる。
「これ、もしよかったらもらってほしいんだ」
「え、いいの?」
「勿論。それで、できれば今ここで開けてみてほしいな。感想を聞きたいから」
七海はわくわくした様子でラッピングに手をかける。
開かれた先には、星のネックレスと星空が閉じこめられたスノードーム...そして、テディベアが存在していた。
「全部すごい...。テディベアは可愛いし、スノードームもネックレスも綺麗...!ありがとう。
早速つけてみてもいい?」
「それ、僕がつけてもいい?」
「うん」
七海の首につう、と指が触れる。
彼女はとてもくすぐったそうにしていて、そんな姿を見ているとどきどきしてきた。
「よし、できたよ。やっぱりすごく似合ってるね」
「ありがとう」
首元で輝く小さな星は、七海の美しさをより一層引き立てている。
バカップルだと言われてしまいそうだが、僕はそんな彼女から目を離せない。
「星、綺麗だね」
「七海も綺麗だよ」
「今のはちょっと狡い...」
「だって本当のことなんだもん」
七海は顔を真っ赤にして俯いてしまう。
星が見られないよと声をかけて、なんとか上を向いてくれた。
ただ、視線が全く合わない。
星に集中しているのだから仕方ないと自分に言い聞かせてみたけれど、どうしても満足できなかった。
「...ねえ、七海」
「どうし...」
そっと唇を重ねる。
嫌がっているようならすぐやめようと思っていたが、そうでもないらしい。
しばらくキスを続けていると、七海の顔が火照っていることに気づく。
「ごめん、なんだか想いを抑えられなくて、その...」
「私は大丈夫だよ。ねえ、もう1回...キス、してもいい、ですか?」
ぎこちなく告げる七海に対するいとおしさがこみあげてきて、もう1度キスを贈った。
どうして彼女は、いつもこんなに可愛いのだろう。
「七海」
「どうしたの?」
「好きだよ」
「...うん、私も」
照れながらそう答えてくれる七海の顔はやっぱり赤い。
この時間を大切にしていこう、そう思いながらふたりで天窓の真下に寝転がる。
いつもよりベッドが温かく感じられて、いつの間にか深い眠りにおちていた。
「やっぱりここから見られる星って、私が知ってるなかで1番綺麗な気がする」
「そうかな?」
僕にとっては日常的に目にする景色だからか、それほど特別には感じられない。
ただ、隣に七海がいてくれるだけでいつも見ているものが輝いているのは事実だ。
「七海、あのね...」
やっとだ。やっと渡せる。
「これ、もしよかったらもらってほしいんだ」
「え、いいの?」
「勿論。それで、できれば今ここで開けてみてほしいな。感想を聞きたいから」
七海はわくわくした様子でラッピングに手をかける。
開かれた先には、星のネックレスと星空が閉じこめられたスノードーム...そして、テディベアが存在していた。
「全部すごい...。テディベアは可愛いし、スノードームもネックレスも綺麗...!ありがとう。
早速つけてみてもいい?」
「それ、僕がつけてもいい?」
「うん」
七海の首につう、と指が触れる。
彼女はとてもくすぐったそうにしていて、そんな姿を見ているとどきどきしてきた。
「よし、できたよ。やっぱりすごく似合ってるね」
「ありがとう」
首元で輝く小さな星は、七海の美しさをより一層引き立てている。
バカップルだと言われてしまいそうだが、僕はそんな彼女から目を離せない。
「星、綺麗だね」
「七海も綺麗だよ」
「今のはちょっと狡い...」
「だって本当のことなんだもん」
七海は顔を真っ赤にして俯いてしまう。
星が見られないよと声をかけて、なんとか上を向いてくれた。
ただ、視線が全く合わない。
星に集中しているのだから仕方ないと自分に言い聞かせてみたけれど、どうしても満足できなかった。
「...ねえ、七海」
「どうし...」
そっと唇を重ねる。
嫌がっているようならすぐやめようと思っていたが、そうでもないらしい。
しばらくキスを続けていると、七海の顔が火照っていることに気づく。
「ごめん、なんだか想いを抑えられなくて、その...」
「私は大丈夫だよ。ねえ、もう1回...キス、してもいい、ですか?」
ぎこちなく告げる七海に対するいとおしさがこみあげてきて、もう1度キスを贈った。
どうして彼女は、いつもこんなに可愛いのだろう。
「七海」
「どうしたの?」
「好きだよ」
「...うん、私も」
照れながらそう答えてくれる七海の顔はやっぱり赤い。
この時間を大切にしていこう、そう思いながらふたりで天窓の真下に寝転がる。
いつもよりベッドが温かく感じられて、いつの間にか深い眠りにおちていた。
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