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日常篇
夜空の色
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これだけ晴れていれば、きっといいものを見せられるはずだ。
「さあ、どうぞ」
「...すごい」
「七海?」
「天窓がついてるお部屋なんて初めて見た...!」
七海は空を見上げ、目をきらきらとさせていた。
そんな姿を見られただけで、僕の計画は成功だったと言える。
「ここに寝転がってみて」
「それは、その、」
「照れてる?...実は僕もちょっと恥ずかしいけど、ふたりで同じ景色を見たいんだ。...駄目?」
こう話して断れないのを知っていながら言った僕は、もしかすると狡いのかもしれない。
七海は少しだけ迷った素振りをしながら、顔を真っ赤にしてベッドに横になってくれた。
「沢山の星が広がって見えるんだね...!」
「この景色を一緒に見たかったんだ」
「ありがとう。...今まで見た中で1番綺麗な景色だよ」
七海の瞳を覗きこんでみると、夜空に散りばめられた星々が輝いていて...吸いこまれそうなほど美しかった。
彼女の瞳には僕がうつりこみ、頬に熱を感じる。
「木葉...照れてる?」
「こういうのって初めてだから照れちゃうんだ」
「初めて?」
七海は体を起こし、僕を真っ直ぐ見つめる。
咄嗟に出た言葉を引っこめたかったが、やはり嘘を吐きたくはない。
「友だちを作ったことがなくて...いや、いたこともあったんだけど、家に呼んだことがなかったんだ」
「木葉...」
「だからね、こうやって人と一緒に過ごせるのはすごく幸せだなって思うんだ」
誰にも気づかれてはいけない...そう思うと、人と親密になるのが怖かった。
ただ仲良くすることはできても、そこから先の関係にはなれないのだ。
恋人は勿論、親友も作れない。
ずっとそう思っていたのに、僕にとっての月はある日突然現れた。
「...『月が綺麗ですね』」
「木葉、今のってどっち?」
「どっちも」
七海を抱きしめて、ふと空を見上げる。
それは独りで何気無く目にはいるものの何倍も美しく、いつも以上に輝きを増していた。
夜空がこんなにも綺麗なものだったなんて、僕はこのときまで知らなかったのかもしれない。
...独りで見るより誰かと一緒の方が輝くものもあるのだと、改めて実感した。
「七海?」
腕が少しだけ重くなったので視線を下にやると、すやすやと寝息が聞こえてきた。
何だか微笑ましくて...少し噛みたくて。
なんとか衝動を抑えながら、彼女をベッドに寝かせ再び上を向く。
やはりいつも以上に彩づいて見えて、長い夜を温かい気持ちで過ごせたのだった。
「さあ、どうぞ」
「...すごい」
「七海?」
「天窓がついてるお部屋なんて初めて見た...!」
七海は空を見上げ、目をきらきらとさせていた。
そんな姿を見られただけで、僕の計画は成功だったと言える。
「ここに寝転がってみて」
「それは、その、」
「照れてる?...実は僕もちょっと恥ずかしいけど、ふたりで同じ景色を見たいんだ。...駄目?」
こう話して断れないのを知っていながら言った僕は、もしかすると狡いのかもしれない。
七海は少しだけ迷った素振りをしながら、顔を真っ赤にしてベッドに横になってくれた。
「沢山の星が広がって見えるんだね...!」
「この景色を一緒に見たかったんだ」
「ありがとう。...今まで見た中で1番綺麗な景色だよ」
七海の瞳を覗きこんでみると、夜空に散りばめられた星々が輝いていて...吸いこまれそうなほど美しかった。
彼女の瞳には僕がうつりこみ、頬に熱を感じる。
「木葉...照れてる?」
「こういうのって初めてだから照れちゃうんだ」
「初めて?」
七海は体を起こし、僕を真っ直ぐ見つめる。
咄嗟に出た言葉を引っこめたかったが、やはり嘘を吐きたくはない。
「友だちを作ったことがなくて...いや、いたこともあったんだけど、家に呼んだことがなかったんだ」
「木葉...」
「だからね、こうやって人と一緒に過ごせるのはすごく幸せだなって思うんだ」
誰にも気づかれてはいけない...そう思うと、人と親密になるのが怖かった。
ただ仲良くすることはできても、そこから先の関係にはなれないのだ。
恋人は勿論、親友も作れない。
ずっとそう思っていたのに、僕にとっての月はある日突然現れた。
「...『月が綺麗ですね』」
「木葉、今のってどっち?」
「どっちも」
七海を抱きしめて、ふと空を見上げる。
それは独りで何気無く目にはいるものの何倍も美しく、いつも以上に輝きを増していた。
夜空がこんなにも綺麗なものだったなんて、僕はこのときまで知らなかったのかもしれない。
...独りで見るより誰かと一緒の方が輝くものもあるのだと、改めて実感した。
「七海?」
腕が少しだけ重くなったので視線を下にやると、すやすやと寝息が聞こえてきた。
何だか微笑ましくて...少し噛みたくて。
なんとか衝動を抑えながら、彼女をベッドに寝かせ再び上を向く。
やはりいつも以上に彩づいて見えて、長い夜を温かい気持ちで過ごせたのだった。
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