満天の星空に願いを。

黒蝶

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後日譚

その後の日常。

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「はあ...」
相変わらず、苦手な先生に話し掛けられることが多い。
けれど、そんなことは言っていられない。
「篠塚」
「は、はい!」
「なんかあったらいつでも相談して」
「あ、ありがとうございます」
少し慌ただしいけど、私はそこそこ元気にやってます。...多分。
(いけない、もう行かないと!)
そうしていつもの場所に向かう。
「東雲、三番テーブルに持っていってくれる?」
「はい」
カフェでの仕事は楽しい。
けれど、私がやりたいのはやっぱり物語を綴る仕事だ。
休憩時間にテキストを解いて、帰りに郵便ポストに提出課題を入れる。
(...そろそろきてるかもしれない)
そうして夜、いつもの場所で会う。
「弥生!」
「葉月...」
相変わらず二人で会う日は多い。
けれど、その時間がとても楽しくて仕方がない。
「ごめん、またレポート分からなくて...」
「どこの問題?」
こうしてレポートを進めて、なんとか提出して。
それが日常になっている。
「これでここにこっちの公式を持ってくると...」
「わあ、ありがとう!」
こうして友人の笑顔を見ながら、次の仕事の日のことと物語を考える、それが日常。
「カツサンド持ってきたよ!」
「ありがとう」
前よりも上手く作れるようになったかもしれない。
「いちご大福持ってきたよ」
「やった、すごく美味しそう」
前よりも二人で食べる日が増えたような気がする。
「今度一緒に出掛けない?」
葉月から誘ってくるのは珍しい。
「どこか行きたい場所はある?」
弥生はいつもこうして聞いてくれる。
「二人でこうしていられるの、やっぱりいいね」
「うん!」
二人一緒なら、きっとどこまでだって最強でいられる。
「一緒に洋服買いに行きたいな...」
「分かった、それで決まり」
二人一緒なら、どんな時間だって楽しく過ごせる。
「そういえば、小説出したんだったよね?」
「うん。二人の思いを載せた話...に、したつもり」
「タイトルなんていうの?ペンネームは...?」
「ん?それはね...」


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『満天の星空に願いを。 篠塚弥生』
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