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本篇・2年目後期
用事 弥生side/プレゼント選び 葉月side
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「失礼します...」
どうして呼び出されたのか分からないまま、取り敢えず案内された場所に入る。
そこは、いつも人がこないようにして話をしてもらえる空き教室だった。
「わざわざすまんね」
「いえ、それは別にいいんですけど...どうして私は呼ばれたんでしょうか?」
その場には、他に先生が二人。
生活指導の先生と、元・担任だ。
「お礼が言いたくて」
「お礼、ですか?」
「葉月さんのこと、本当にありがとう」
まさか先生たちからそんなことを言われるとは思っていなかったので、何も反応できずに呆然としてしまう。
「私は私にできることをしただけです。それに、葉月と一緒にいたかったので...」
「葉月さんの親御さんもすごくお礼を言っていたよ」
...猫かぶり。
そんな言葉を呑みこんで、私はただ笑った。
勿論、心からではなく表面上だけだけれど。
「ところで、将来の夢の話だけど...」
ありそうなことを書いて提出した覚えがある。
けれどそのとき、うっかり本当は少し違うのだと口にしてしまったのだ。
「私、作家になりたいんです。けど、結果が出ている訳じゃないし...」
「もうコンテストとか出してるのか。...そうか。話してくれてありがとう」
否定されると思っていた。
おまえには無理だと、何を言っているんだと馬鹿にされると思っていたのに...予想外だ。
(やっぱり、いい先生だな)
「それでは、失礼します」
少しだけいい気分になって、校舎から出る。
できるだけ長く楽しい時間を過ごしたいと、早足で丘に向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(一人でお買い物、久しぶりだな...)
今日は弥生に贈り物がしたくて、ショッピングセンターにきている。
けれど、予想外の混み具合に圧倒されてしまった。
「あ、あの...!」
「何かお探しですか?」
店員さんに自分から話しかけたことはあまりない。
けれど、今回はそんなことを言っている場合じゃない。
「ぷ、プレゼントにおすすめのものって、ありますか...?」
「ああ、それでしたら...」
なんとか店員さんと話をして、一緒に決めてもらった。
「ありがとうございます」
「いえいえ、是非またいらしてくださいね」
たとえそれが決まっている言葉だったとしても、私はすごく嬉しかった。
次は自分のものを買いにこよう、そう思いながら店を出て電車に乗る。
早く丘に行って、弥生に会いたい。
どうして呼び出されたのか分からないまま、取り敢えず案内された場所に入る。
そこは、いつも人がこないようにして話をしてもらえる空き教室だった。
「わざわざすまんね」
「いえ、それは別にいいんですけど...どうして私は呼ばれたんでしょうか?」
その場には、他に先生が二人。
生活指導の先生と、元・担任だ。
「お礼が言いたくて」
「お礼、ですか?」
「葉月さんのこと、本当にありがとう」
まさか先生たちからそんなことを言われるとは思っていなかったので、何も反応できずに呆然としてしまう。
「私は私にできることをしただけです。それに、葉月と一緒にいたかったので...」
「葉月さんの親御さんもすごくお礼を言っていたよ」
...猫かぶり。
そんな言葉を呑みこんで、私はただ笑った。
勿論、心からではなく表面上だけだけれど。
「ところで、将来の夢の話だけど...」
ありそうなことを書いて提出した覚えがある。
けれどそのとき、うっかり本当は少し違うのだと口にしてしまったのだ。
「私、作家になりたいんです。けど、結果が出ている訳じゃないし...」
「もうコンテストとか出してるのか。...そうか。話してくれてありがとう」
否定されると思っていた。
おまえには無理だと、何を言っているんだと馬鹿にされると思っていたのに...予想外だ。
(やっぱり、いい先生だな)
「それでは、失礼します」
少しだけいい気分になって、校舎から出る。
できるだけ長く楽しい時間を過ごしたいと、早足で丘に向かった。
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(一人でお買い物、久しぶりだな...)
今日は弥生に贈り物がしたくて、ショッピングセンターにきている。
けれど、予想外の混み具合に圧倒されてしまった。
「あ、あの...!」
「何かお探しですか?」
店員さんに自分から話しかけたことはあまりない。
けれど、今回はそんなことを言っている場合じゃない。
「ぷ、プレゼントにおすすめのものって、ありますか...?」
「ああ、それでしたら...」
なんとか店員さんと話をして、一緒に決めてもらった。
「ありがとうございます」
「いえいえ、是非またいらしてくださいね」
たとえそれが決まっている言葉だったとしても、私はすごく嬉しかった。
次は自分のものを買いにこよう、そう思いながら店を出て電車に乗る。
早く丘に行って、弥生に会いたい。
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