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本篇・2年目後期
久しぶりの体調不良、通院さえ辛い。
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「...っ」
頭がずきずきする。
自分が真っ直ぐ歩けているのかどうかさえ分からない。
ふらふらしているような気がするけれど、何も考えられない。
「...さん、葉月さん」
「あ、ごめんなさい...」
「血圧測ろうか。それから、大丈夫?頭痛い?」
私はその問いに、ただ頷くことしかできない。
「...ちょっと注射してもらえるように頼んでみるね」
いつも担当してくれる真面目な看護師さんは、医師に私の状態を細かく連絡してくれたようだった。
わいわいと子どもがやってきて、少しだけ気分が悪くなる。
子どもが嫌いなわけじゃない。
寧ろ好きな方だと思う。
...ただ、頭痛のときに高い声を出されてしまうと、かなり響く。
「葉月さん、ちょっとこっちの部屋で寝てましょうか」
「...ごめんなさい」
「体調が悪いときは、静かで灯りがそんなに強くないところがいいもんね。子どもさんには悪気はないし...」
「...すごく、分かります」
そう、大人が病院で騒いでいればそれはただの迷惑だけれど、子どもたちには悪気がない。
「ここで横になっててね。...血液検査して、その後少し点滴しましょう」
どこか悪かったのだろうか。
それとも、朝から何も食べられなかったからだろうか。
(...駄目、ちょっと吐きそう...)
「吐き気止めも点滴しますね」
「すみません...」
『あんたどうせ、仮病なんでしょう!早く起きなさい!』
家ではよくそう言われた。
がんがん音が響くのに、全然静かにしてくれなかった。
それだけならよかったけれど、いつも罵倒された。
(もっと分かりあえる家に生まれればよかったのかな...)
微睡みに落ちて、いつの間にか眠ってしまっていたようだった。
目を開けるともう点滴が終わる頃で、頭痛は少し楽になっていた。
「葉月さん、大丈夫かな?」
「あ、はい、すみません...」
「気にしなくてもいいからね。あ、でももうちょっと水分補給はこまめにした方がいいかな」
血液検査の結果を見せてもらうと、水分が足りていないことは明らかだった。
「脱水症状になったら危ないから、気をつけようね」
「はい」
「...薬はちゃんと効いてる?」
「えっと、あの薬は...」
そんな話をして、お会計をして、薬局へ行って...。
なかなか順番がまわってこなかったけれど、だいぶよくはなった。
...ただ、弥生には今日は行けそうにないと連絡した。
頭がずきずきする。
自分が真っ直ぐ歩けているのかどうかさえ分からない。
ふらふらしているような気がするけれど、何も考えられない。
「...さん、葉月さん」
「あ、ごめんなさい...」
「血圧測ろうか。それから、大丈夫?頭痛い?」
私はその問いに、ただ頷くことしかできない。
「...ちょっと注射してもらえるように頼んでみるね」
いつも担当してくれる真面目な看護師さんは、医師に私の状態を細かく連絡してくれたようだった。
わいわいと子どもがやってきて、少しだけ気分が悪くなる。
子どもが嫌いなわけじゃない。
寧ろ好きな方だと思う。
...ただ、頭痛のときに高い声を出されてしまうと、かなり響く。
「葉月さん、ちょっとこっちの部屋で寝てましょうか」
「...ごめんなさい」
「体調が悪いときは、静かで灯りがそんなに強くないところがいいもんね。子どもさんには悪気はないし...」
「...すごく、分かります」
そう、大人が病院で騒いでいればそれはただの迷惑だけれど、子どもたちには悪気がない。
「ここで横になっててね。...血液検査して、その後少し点滴しましょう」
どこか悪かったのだろうか。
それとも、朝から何も食べられなかったからだろうか。
(...駄目、ちょっと吐きそう...)
「吐き気止めも点滴しますね」
「すみません...」
『あんたどうせ、仮病なんでしょう!早く起きなさい!』
家ではよくそう言われた。
がんがん音が響くのに、全然静かにしてくれなかった。
それだけならよかったけれど、いつも罵倒された。
(もっと分かりあえる家に生まれればよかったのかな...)
微睡みに落ちて、いつの間にか眠ってしまっていたようだった。
目を開けるともう点滴が終わる頃で、頭痛は少し楽になっていた。
「葉月さん、大丈夫かな?」
「あ、はい、すみません...」
「気にしなくてもいいからね。あ、でももうちょっと水分補給はこまめにした方がいいかな」
血液検査の結果を見せてもらうと、水分が足りていないことは明らかだった。
「脱水症状になったら危ないから、気をつけようね」
「はい」
「...薬はちゃんと効いてる?」
「えっと、あの薬は...」
そんな話をして、お会計をして、薬局へ行って...。
なかなか順番がまわってこなかったけれど、だいぶよくはなった。
...ただ、弥生には今日は行けそうにないと連絡した。
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