満天の星空に願いを。

黒蝶

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本篇・1年目前期

久しぶりのテスト勉強、味気なかった。

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記録
『もうすぐ前期が終わる時期だ。
...十月からはちゃんと行かなくちゃ。
けれど、ちゃんと行けるか自信がない。
やっぱり行くのは怖いし、ちゃんと授業を受けられるか考えると気分が悪くなってくる。
今週は久しぶりの病院だったけれど、医師せんせいの目を見られなかった。
...あまりの申し訳なさに、どうしたらいいのか分からない。
弥生...どうしてるかな』

「おはようございます」
「おう、おはよう。今日は会議室集合な」
この日、二週間のテスト期間に入る前の説明があった。
私は二教科だけれど、他の人たちは一日四教科みっちりなんていうことも少なくない。
(本当に大変だろうな...)
私だって、あの学校ではそうだった。
一日に四教科、それも三日連続。
理系クラスに進んだ私は、そういうことも少なくなかった。
『あいつ超馬鹿じゃん!』
...嫌なことを思い出してしまった。
何事もなかったかのように振る舞って、久しぶりにカフェに出掛けた。
「いらっしゃいませ」
「あの...この可愛いやつをください」
「かしこまりました」
その人は店長さんだったらしく、どの人よりも丁寧な所作だった。
「...」
情報処理も、体育も。
きちんと勉強すればきっと大丈夫だ。
...大丈夫なはずだ。
(こういうの、葉月が好きそうだな)
...葉月。
一体どうしているのだろう。
毎日何を過ごしているのだろう。
あれからまた、返信がこなくなってしまった。
一度そんなことを考えだすと、なかなか悪い考えが止まらなくなってしまう。
...結局、テスト勉強はほとんどせずにスマートフォンばかりを眺めていた。
(結局夜になってしまった...)
大木の下で、文字を打つ。
《葉月
今日はカフェに行ってきたよ。
新しいのが出てた。
可愛らしい猫のデザインで...》
そこまで打ちこんだとき、涙が止まらなくなったことに気づく。
...やっぱり、寂しくて。
ずっと独りは、少しだけ辛くて。
(友だちがいないのって、こんなに虚しくなるものだったっけ)
ぬくもりを知らなければよかった。
けれど、もし本当に知らなかったなら...今の私はいない。
胸が苦しくなって、溢れる涙をただ拭う。
風もふいていない、少し冷たい雰囲気だけが残る夜だった。
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