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本篇・1年目前期
久しぶりに、信じてみよう。
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記録
『近々、家庭訪問があるらしい。
...逃げ出したい。
けど、これからのことがあるから逃げたくない。
弥生と連絡を取らなくなって、どれくらいたっただろう。
いい加減返事をかえしたいのに、何を話せばいいのか上手くまとまらない。
打っては消し、打っては消しを繰り返す。
弥生...元気にしてるかな』
それからも連絡はこなくて、気づけば五月の新緑が色を変えはじめていた。
(やっぱり返事はなし、か)
そういう気分なのだろうと割りきることにする。
...私にも、そういう時期があったから。
既読がついているということは、読んではくれているということで...それならいいと思える。
「...おはようございます」
「おはよう。...今日時間あるか?」
「はい。お昼には帰るので、それまでに話せるとありがたいです」
「分かった」
教員たちは、私のことをかなり気にかけてくれている。
まさか、こんなふうになるとは思っていなかった。
(予想外どころのものじゃない...)
今まで、別の意味で気にかけてくる人間はいた。
けれど、こんなにも純粋に思われたことはない。
...恐らく、なかった。
けれど、この人たちは本気で生徒に向き合っている。
だからこそ、葉月のことも...嘘は話さない。
「はい、それでは体育はじめましょう!」
当然見学だ。
けれど、やっぱり片づけは人一倍やる気を出した。
いつも以上に、やる気を出せた。
葉月のことで話せることは少ない。
けれどもし、その少ない手がかりが先生たちの為に...葉月にまた会えるようになるなら。
できることを、何だってしよう。
心からそう思える。
(悪意も、損得感情の気配もない...)
この人たちなら、信じてみてもいいのかもしれない。
「弥生さん」
授業終わり、背筋にぞくっとしたものがはしる。
(どうしてこの人が...)
初老の教師。
相変わらずなれない、手の内に何を隠しているのか読めない...。
対応に困っていると、助け船を出してもらえた。
「...すいません、先生。弥生さんとはこれから話があるんです」
...元・担任の先生だ。
『私はあの先生が苦手です。多分、葉月も...』
先日呼ばれたとき、そんな話をしたような気がする。
あんな些細な一言まで覚えていてくれているのかと思うと、なんだか堪らない気持ちになる。
「大丈夫?」
「あ、はい。ありがとうございます...」
なんとか無事にやり過ごして、そのまま先生の後をついていく。
そして、もう何度目かになる話がはじまった。
『近々、家庭訪問があるらしい。
...逃げ出したい。
けど、これからのことがあるから逃げたくない。
弥生と連絡を取らなくなって、どれくらいたっただろう。
いい加減返事をかえしたいのに、何を話せばいいのか上手くまとまらない。
打っては消し、打っては消しを繰り返す。
弥生...元気にしてるかな』
それからも連絡はこなくて、気づけば五月の新緑が色を変えはじめていた。
(やっぱり返事はなし、か)
そういう気分なのだろうと割りきることにする。
...私にも、そういう時期があったから。
既読がついているということは、読んではくれているということで...それならいいと思える。
「...おはようございます」
「おはよう。...今日時間あるか?」
「はい。お昼には帰るので、それまでに話せるとありがたいです」
「分かった」
教員たちは、私のことをかなり気にかけてくれている。
まさか、こんなふうになるとは思っていなかった。
(予想外どころのものじゃない...)
今まで、別の意味で気にかけてくる人間はいた。
けれど、こんなにも純粋に思われたことはない。
...恐らく、なかった。
けれど、この人たちは本気で生徒に向き合っている。
だからこそ、葉月のことも...嘘は話さない。
「はい、それでは体育はじめましょう!」
当然見学だ。
けれど、やっぱり片づけは人一倍やる気を出した。
いつも以上に、やる気を出せた。
葉月のことで話せることは少ない。
けれどもし、その少ない手がかりが先生たちの為に...葉月にまた会えるようになるなら。
できることを、何だってしよう。
心からそう思える。
(悪意も、損得感情の気配もない...)
この人たちなら、信じてみてもいいのかもしれない。
「弥生さん」
授業終わり、背筋にぞくっとしたものがはしる。
(どうしてこの人が...)
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相変わらずなれない、手の内に何を隠しているのか読めない...。
対応に困っていると、助け船を出してもらえた。
「...すいません、先生。弥生さんとはこれから話があるんです」
...元・担任の先生だ。
『私はあの先生が苦手です。多分、葉月も...』
先日呼ばれたとき、そんな話をしたような気がする。
あんな些細な一言まで覚えていてくれているのかと思うと、なんだか堪らない気持ちになる。
「大丈夫?」
「あ、はい。ありがとうございます...」
なんとか無事にやり過ごして、そのまま先生の後をついていく。
そして、もう何度目かになる話がはじまった。
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