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本篇・1年目後期
ボールペンに願いを。弥生side
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「私...本当はあの人たちのことが苦手なんだ」
「そうなんだ」
やっぱりそうだったのかと思うと、だんだん申し訳なくなってくる。
どうしてもっと早く気づけなかったのか。
何か行動できたはずなのに...そう思う反面、やっぱり葉月は強いなと思った。
「やっぱりすごいね、葉月は」
「弥生...?」
「私ならきっと逃げ出してる」
【ねえ、仲良くしようよ】
...そんな言葉が信用できるほど、私はもう優しくない。
(また嫌なことを思い出してきた)
「弥生?」
「ごめん、なんでもない」
葉月に余計な心配をかけたくない。
(これは心に留めておこう)
月が上の方にのぼってくる。
のぼってきたとはいえ、冷えてくるような時季だ。
「そういえばここの桜、季節外れに咲いちゃったけど大丈夫かな?」
「...この桜、どうしてか毎年秋に咲いてるんだよ」
「そうなの...!?」
「私が知る限りでは、そう」
いつもどおりに話が盛りあがったけれど、葉月小さくくしゃみをした。
「今日はもうお開きにしよう。...また明日」
「うん、また明日」
葉月の後ろ姿を見送って、その場に残ったものを片づけた。
その夜、私はレポートに向かっていた。
レポートやどこかへ行くときの支度、その他諸々のことをいつだって予定より早く済ませる派だ。
今回もそうしようと思っていたのだけれど、なかなか思ったように書けない。
(駄目だ、考えれば考えるほど分からなくなってきた...)
結局手を止め、無言でキッチンへと向かう。
『私...実はあの人たちが苦手なんだ』
それが聞けただけでも大収穫だったわけだけれど、これからどうやってあの人たちに立ち向かっていくかを考えるとだんだん頭が痛くなってきた。
「どうしようかな...」
何もかもが噛み合わないような気がして、最終的にこの日はそこまでで手を止めた。
【あいつ本当に何もできないよね】
【馬鹿だからじゃない?】
少し意見が違うだけで、あっという間に扱いが変わる。
...もしかすると、もっと反論すればよかったのだろうか。
一人になると、最近はそんなことばかり考えてしまう。
「...」
ふと窓から空を見てみると、月が雲ですっかり隠れてしまっていた。
(今の私の心みたい)
私の心には、ずっと光が射していない。
本当はいつだって雨が降っている。
「...止まない雨はここにあるよ」
小さめのぬいぐるみを抱きしめながら、布団のなかで目を閉じる。
言葉では表現できないような孤独と寂しさが、いつまでも消えてくれなかった。
「そうなんだ」
やっぱりそうだったのかと思うと、だんだん申し訳なくなってくる。
どうしてもっと早く気づけなかったのか。
何か行動できたはずなのに...そう思う反面、やっぱり葉月は強いなと思った。
「やっぱりすごいね、葉月は」
「弥生...?」
「私ならきっと逃げ出してる」
【ねえ、仲良くしようよ】
...そんな言葉が信用できるほど、私はもう優しくない。
(また嫌なことを思い出してきた)
「弥生?」
「ごめん、なんでもない」
葉月に余計な心配をかけたくない。
(これは心に留めておこう)
月が上の方にのぼってくる。
のぼってきたとはいえ、冷えてくるような時季だ。
「そういえばここの桜、季節外れに咲いちゃったけど大丈夫かな?」
「...この桜、どうしてか毎年秋に咲いてるんだよ」
「そうなの...!?」
「私が知る限りでは、そう」
いつもどおりに話が盛りあがったけれど、葉月小さくくしゃみをした。
「今日はもうお開きにしよう。...また明日」
「うん、また明日」
葉月の後ろ姿を見送って、その場に残ったものを片づけた。
その夜、私はレポートに向かっていた。
レポートやどこかへ行くときの支度、その他諸々のことをいつだって予定より早く済ませる派だ。
今回もそうしようと思っていたのだけれど、なかなか思ったように書けない。
(駄目だ、考えれば考えるほど分からなくなってきた...)
結局手を止め、無言でキッチンへと向かう。
『私...実はあの人たちが苦手なんだ』
それが聞けただけでも大収穫だったわけだけれど、これからどうやってあの人たちに立ち向かっていくかを考えるとだんだん頭が痛くなってきた。
「どうしようかな...」
何もかもが噛み合わないような気がして、最終的にこの日はそこまでで手を止めた。
【あいつ本当に何もできないよね】
【馬鹿だからじゃない?】
少し意見が違うだけで、あっという間に扱いが変わる。
...もしかすると、もっと反論すればよかったのだろうか。
一人になると、最近はそんなことばかり考えてしまう。
「...」
ふと窓から空を見てみると、月が雲ですっかり隠れてしまっていた。
(今の私の心みたい)
私の心には、ずっと光が射していない。
本当はいつだって雨が降っている。
「...止まない雨はここにあるよ」
小さめのぬいぐるみを抱きしめながら、布団のなかで目を閉じる。
言葉では表現できないような孤独と寂しさが、いつまでも消えてくれなかった。
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