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本篇・1年目後期
ラケットに願いを。葉月side
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「弥生」
「葉月、お疲れ様。次体育だよね?」
弥生に聞かれて、私は首を縦にふる。
(なんだか疲れが吹き飛ぶな...)
「葉月ちゃん!」
体育館へ向かうと、他の授業で同じだった半年先輩の人が立っていた。
「...」
取り敢えずお辞儀だけして、弥生の方へ駆け寄る。
(何を話したらいいか分からないし...そもそも向こうの名前も知らない)
そこから普通に体育の授業がはじまったのだけれど、やっぱり実技は苦手だ。
「ああ...」
「葉月、多分もう少し力を抜いて、なんというか、こう」
弥生はラケットをふるのがとても上手い。
「弥生って両利きなの?」
「...?うん、そうだけど...言ってなかったっけ」
前の授業のときは緊張していて、どんなことがあったのかあまり覚えていない。
...もしかすると、そのときにも聞いたのかもしれない。
「はい、それじゃあ試合してみましょう!」
(試合...!?)
ガチガチになっている私に、弥生はこそっと話してくれた。
「大丈夫。...負けたら死ぬわけじゃないし、楽しみながらやろう?」
「ありがとう...」
私はラケットを握り直す。
相手は勿論、全く知らないペアの人たちだ。
「...」
「...」
お互い何も言わず、取り敢えず礼をしてはじめる。
「よ、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
相手からも同じように返事がきて、なんだかよく分からない気持ちになった。
(とにかく、私にできることをやってみよう...)
けれど、思ったようにできなかった。
変な方向に羽根が飛んでいったりして、どうしても上手くいかないのだ。
試合はあっという間に終わってしまった。
「ありがとうございました」
「...ありがとうございました」
弥生に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
私以外とペアを組めば、もしかしたら勝てたかもしれないのに...。
「弥生...ごめ、」
「相手の人たち強かったね。...ちょっとラリーの練習してようか」
「う、うん...」
(弥生、私に気を遣わせまいとしてくれたんだ...)
私は少し疲れた体を動かして、コートの中に入る。
「葉月ってサーブが上手いよね。...私はサーブがなかなか入らないから」
苦笑しながらそう言って一緒に練習してくれる弥生の優しさに、私は温かさを感じる。
「...どうしよっか。少し疲れない?休んでもいいみたいだし、休憩しようか」
「あ、うん...!」
もっと上手くなりたい...本当はその為に練習したい。
けれど恐らく、体力がもたない。
私は弥生の好意に甘えることにした。
しばらくしてチャイムの音が聞こえる。
「お疲れ様」
「葉月もね」
そう言いあって、二人並んでラケットを片づけに行くのだった。
「葉月、お疲れ様。次体育だよね?」
弥生に聞かれて、私は首を縦にふる。
(なんだか疲れが吹き飛ぶな...)
「葉月ちゃん!」
体育館へ向かうと、他の授業で同じだった半年先輩の人が立っていた。
「...」
取り敢えずお辞儀だけして、弥生の方へ駆け寄る。
(何を話したらいいか分からないし...そもそも向こうの名前も知らない)
そこから普通に体育の授業がはじまったのだけれど、やっぱり実技は苦手だ。
「ああ...」
「葉月、多分もう少し力を抜いて、なんというか、こう」
弥生はラケットをふるのがとても上手い。
「弥生って両利きなの?」
「...?うん、そうだけど...言ってなかったっけ」
前の授業のときは緊張していて、どんなことがあったのかあまり覚えていない。
...もしかすると、そのときにも聞いたのかもしれない。
「はい、それじゃあ試合してみましょう!」
(試合...!?)
ガチガチになっている私に、弥生はこそっと話してくれた。
「大丈夫。...負けたら死ぬわけじゃないし、楽しみながらやろう?」
「ありがとう...」
私はラケットを握り直す。
相手は勿論、全く知らないペアの人たちだ。
「...」
「...」
お互い何も言わず、取り敢えず礼をしてはじめる。
「よ、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
相手からも同じように返事がきて、なんだかよく分からない気持ちになった。
(とにかく、私にできることをやってみよう...)
けれど、思ったようにできなかった。
変な方向に羽根が飛んでいったりして、どうしても上手くいかないのだ。
試合はあっという間に終わってしまった。
「ありがとうございました」
「...ありがとうございました」
弥生に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
私以外とペアを組めば、もしかしたら勝てたかもしれないのに...。
「弥生...ごめ、」
「相手の人たち強かったね。...ちょっとラリーの練習してようか」
「う、うん...」
(弥生、私に気を遣わせまいとしてくれたんだ...)
私は少し疲れた体を動かして、コートの中に入る。
「葉月ってサーブが上手いよね。...私はサーブがなかなか入らないから」
苦笑しながらそう言って一緒に練習してくれる弥生の優しさに、私は温かさを感じる。
「...どうしよっか。少し疲れない?休んでもいいみたいだし、休憩しようか」
「あ、うん...!」
もっと上手くなりたい...本当はその為に練習したい。
けれど恐らく、体力がもたない。
私は弥生の好意に甘えることにした。
しばらくしてチャイムの音が聞こえる。
「お疲れ様」
「葉月もね」
そう言いあって、二人並んでラケットを片づけに行くのだった。
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