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本篇・1年目後期
入学式に願いを。・其の弐 葉月side
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「弥生...?」
なんだか弥生の調子が悪そうに見える。
「ん?どうかした?」
「ううん、なんでもない」
(緊張しているのかな?それとも...)
それとも、嫌なことを思い出したのだろうか。
聞かれたくないことなのかもしれないから、私は何でもないと笑うことしかできなかった。
...笑って誤魔化してはいけなかったのかもしれないのに。
久しぶりに足を踏み入れた『学校の教室』はなんだか新鮮で、思わずきょろきょろと見回してしまった。
「僕はこのクラスの担任になる佐藤です。何か困ったことがあればすぐに相談しにきてください。今日は八時間目に簡単な学校案内をしますので、途中で授業が終わった人も時間になったら戻ってきてください」
途中で終わる人...もしかすると、弥生以外にもいるのかもしれない。
「それじゃあ、これから授業です。各自そこに書かれているこの表や時間割りに書かれてあるのを参考に教室移動してください」
生徒同士の自己紹介がないことに、私はすごく安心した。
...そこで弥生が着替えていた理由に気づく。
「弥生も体育とってるんだね」
「うん。葉月もでしょ?」
「い、一応は」
久しぶりの体育館がやけに広く感じる。
私は体を動かすのが得意ではない。
もし失敗してしまったら...?
「葉月、大丈夫?」
「え、あ、うん...」
不安を押し殺して笑うと、弥生にぽんぽんと頭を撫でられる。
「大丈夫。そんなにがちがちにならなくても、私がいるから」
「ありがとう。そうだね、きっと大丈夫...」
「後期の体育二の実技は、バドミントンです」
先生の簡単な説明からはじまり、体操をして...私は弥生とペアを組んでバドミントンの練習をはじめる。
「はい、じゃあまずはサーブの練習から!」
「さ、サーブってどうやってやるの?」
「葉月、先に打ってみてもいい?」
私が頷くと、弥生がラケットを軽めにふっていた。
(すごい...羽根がちゃんと飛んでいってる)
「葉月もやってみて?なんかこう、多分こういう感じで...」
弥生は左手でラケットをぶんぶんとふりながら教えてくれた。
(ん?左手...?)
「弥生、左利きなの?」
「両利きです」
「知らなかった...」
しばらく練習していると、そこに先生がやってきた。
「そこ二人、ちょっと打ってみ?」
「は、はい!」
「そこはもうちょっと力抜いて...」
先生はすごく丁寧に教えてくれた。
ただ、やっぱり体が追いつかない。
「はい、じゃあ次はそっちいくよー」
「...はい」
そんな調子で、体育でヘトヘトになりながら次の授業へと向かう。
「それじゃあ葉月、また後で」
「う、うん...」
弥生がもう一時間受けてから一度帰ると言っていたのを思い出す。
私はこの後四時間みっちり弥生とは別の授業...。
(私...やっていけるのかな)
不安に思いながらも、私はホームの教室を出たのだった。
なんだか弥生の調子が悪そうに見える。
「ん?どうかした?」
「ううん、なんでもない」
(緊張しているのかな?それとも...)
それとも、嫌なことを思い出したのだろうか。
聞かれたくないことなのかもしれないから、私は何でもないと笑うことしかできなかった。
...笑って誤魔化してはいけなかったのかもしれないのに。
久しぶりに足を踏み入れた『学校の教室』はなんだか新鮮で、思わずきょろきょろと見回してしまった。
「僕はこのクラスの担任になる佐藤です。何か困ったことがあればすぐに相談しにきてください。今日は八時間目に簡単な学校案内をしますので、途中で授業が終わった人も時間になったら戻ってきてください」
途中で終わる人...もしかすると、弥生以外にもいるのかもしれない。
「それじゃあ、これから授業です。各自そこに書かれているこの表や時間割りに書かれてあるのを参考に教室移動してください」
生徒同士の自己紹介がないことに、私はすごく安心した。
...そこで弥生が着替えていた理由に気づく。
「弥生も体育とってるんだね」
「うん。葉月もでしょ?」
「い、一応は」
久しぶりの体育館がやけに広く感じる。
私は体を動かすのが得意ではない。
もし失敗してしまったら...?
「葉月、大丈夫?」
「え、あ、うん...」
不安を押し殺して笑うと、弥生にぽんぽんと頭を撫でられる。
「大丈夫。そんなにがちがちにならなくても、私がいるから」
「ありがとう。そうだね、きっと大丈夫...」
「後期の体育二の実技は、バドミントンです」
先生の簡単な説明からはじまり、体操をして...私は弥生とペアを組んでバドミントンの練習をはじめる。
「はい、じゃあまずはサーブの練習から!」
「さ、サーブってどうやってやるの?」
「葉月、先に打ってみてもいい?」
私が頷くと、弥生がラケットを軽めにふっていた。
(すごい...羽根がちゃんと飛んでいってる)
「葉月もやってみて?なんかこう、多分こういう感じで...」
弥生は左手でラケットをぶんぶんとふりながら教えてくれた。
(ん?左手...?)
「弥生、左利きなの?」
「両利きです」
「知らなかった...」
しばらく練習していると、そこに先生がやってきた。
「そこ二人、ちょっと打ってみ?」
「は、はい!」
「そこはもうちょっと力抜いて...」
先生はすごく丁寧に教えてくれた。
ただ、やっぱり体が追いつかない。
「はい、じゃあ次はそっちいくよー」
「...はい」
そんな調子で、体育でヘトヘトになりながら次の授業へと向かう。
「それじゃあ葉月、また後で」
「う、うん...」
弥生がもう一時間受けてから一度帰ると言っていたのを思い出す。
私はこの後四時間みっちり弥生とは別の授業...。
(私...やっていけるのかな)
不安に思いながらも、私はホームの教室を出たのだった。
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