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そこは家というより倉庫のようだった。
(ずっとこんな奥地に、たったひとりで……)
ここより奥の場所にいたであろう宵は、きっともっと寂しかった。
「宵は大丈夫かな?」
「流石に自分たちがあの山へ行かせておいて、こんなときだけ……ありえる」
「え?」
「動物殺しも殺人も、犯人に心当たりがあるんだ。証拠不十分だろうからまだ話せないが」
穂高は自分で色々なことを調べていたらしかった。
私が知らないだけで、今までもきっと沢山のことを調べてきたんだろう。
外へ出ようとした穂高を黒狐が引き止めた。
「どうしたんだ、御影」
私には何も聞こえないけど、きっと何か大切なことを話しているに違いない。
「そうは言っても……。一旦外へ出る。おまえはここにいろ」
「あ、穂高!」
服を掴む前に穂高たちは出ていってしまった。
その直後、鈍い音がして古い扉が壊される。
「探しておりましたよ、神子様」
「何をしたんですか?」
「黒狐憑きにかまっている場合ではありません。あなた様を待っていらっしゃる方が沢山いらっしゃるのですよ」
「逃げ──」
穂高の体に蹴りが入り、激しく咳きこむ。
「やめて!穂高は、」
「これだから子どものお守りなんて嫌だったのよ」
「え──」
それから眼の前が真っ暗になって、気づいたときには体を縛られていた。
(何、ここ……)
「おまえは神子様なんだから、これくらい我慢できるよなあ?」
いきなり髪を切られ、相手の顔を見て呆然とした。
「……あなたたちは家族なんかじゃない」
「暁美、これは立派なおつとめよ」
「親の言うことを聞くのが子どもだろうが」
こんな人たちの血が流れているなんて考えなくない。
村長が近づいてきて、ぐっと顔を掴まれた。
「痛い!」
「村に祝福をもたらさないなら、最後くらい役に立ちなさい」
「生、贄……」
ろくでもない人生だった。
勝手に崇められて、疲れていても無理矢理力を使わされて……人間として扱ってもらえなかった生活。
(こんなことが続くの?これから先も、誰かが祝福の子で誰かが災いの子にされる?)
絶望したまま目を閉じようとすると、周りが騒がしくなった。
「うわ!こ、黒狐だ!」
村人たちが騒ぐのを無視して穂高が遠くから刀を投げてくれたおかげで、すぐ動けるようになった。
「いい加減にしろよ。祝福の神子も災の御子も、人と違った力を持っただけのただの人間だぞ」
「穢れた貴様が何を言う!」
「そうだな。俺の心は真っ黒だ。……けど、おまえたちほど他人に責任を押しつけたりしない」
何をするつもりなのかと思っていたら、黒狐が紫の炎を吐き出した。
その炎は真っ直ぐある人物へ向かう。
「事件の被害者たちの恨みを受けきれるか?……祝福の神子様の親族というだけで慢心した親父様」
(ずっとこんな奥地に、たったひとりで……)
ここより奥の場所にいたであろう宵は、きっともっと寂しかった。
「宵は大丈夫かな?」
「流石に自分たちがあの山へ行かせておいて、こんなときだけ……ありえる」
「え?」
「動物殺しも殺人も、犯人に心当たりがあるんだ。証拠不十分だろうからまだ話せないが」
穂高は自分で色々なことを調べていたらしかった。
私が知らないだけで、今までもきっと沢山のことを調べてきたんだろう。
外へ出ようとした穂高を黒狐が引き止めた。
「どうしたんだ、御影」
私には何も聞こえないけど、きっと何か大切なことを話しているに違いない。
「そうは言っても……。一旦外へ出る。おまえはここにいろ」
「あ、穂高!」
服を掴む前に穂高たちは出ていってしまった。
その直後、鈍い音がして古い扉が壊される。
「探しておりましたよ、神子様」
「何をしたんですか?」
「黒狐憑きにかまっている場合ではありません。あなた様を待っていらっしゃる方が沢山いらっしゃるのですよ」
「逃げ──」
穂高の体に蹴りが入り、激しく咳きこむ。
「やめて!穂高は、」
「これだから子どものお守りなんて嫌だったのよ」
「え──」
それから眼の前が真っ暗になって、気づいたときには体を縛られていた。
(何、ここ……)
「おまえは神子様なんだから、これくらい我慢できるよなあ?」
いきなり髪を切られ、相手の顔を見て呆然とした。
「……あなたたちは家族なんかじゃない」
「暁美、これは立派なおつとめよ」
「親の言うことを聞くのが子どもだろうが」
こんな人たちの血が流れているなんて考えなくない。
村長が近づいてきて、ぐっと顔を掴まれた。
「痛い!」
「村に祝福をもたらさないなら、最後くらい役に立ちなさい」
「生、贄……」
ろくでもない人生だった。
勝手に崇められて、疲れていても無理矢理力を使わされて……人間として扱ってもらえなかった生活。
(こんなことが続くの?これから先も、誰かが祝福の子で誰かが災いの子にされる?)
絶望したまま目を閉じようとすると、周りが騒がしくなった。
「うわ!こ、黒狐だ!」
村人たちが騒ぐのを無視して穂高が遠くから刀を投げてくれたおかげで、すぐ動けるようになった。
「いい加減にしろよ。祝福の神子も災の御子も、人と違った力を持っただけのただの人間だぞ」
「穢れた貴様が何を言う!」
「そうだな。俺の心は真っ黒だ。……けど、おまえたちほど他人に責任を押しつけたりしない」
何をするつもりなのかと思っていたら、黒狐が紫の炎を吐き出した。
その炎は真っ直ぐある人物へ向かう。
「事件の被害者たちの恨みを受けきれるか?……祝福の神子様の親族というだけで慢心した親父様」
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