バッドエンド

黒蝶

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「……ここまで来たらきっと大丈夫ですね」
宵と名付けられた少女は小さく息を吐く。
「御子と神子、読み方はどっちも同じなのに綺麗な子でした。…僕とは違うんですね、おばあさん」
僕をお世話してくれていた人は死んでしまった。
希望を忘れず生きていけ、村の掟は古すぎるから気にしなくていい、自由になれ……そんなことを言っていた気がする。
「黒猫さん、こんにちは」
《あなたは私をいじめますか?》
「どういう意味ですか?」
災いの子の力なのか、別の何かが影響したのか。
僕には小さい頃から植物や動物の声が聞こえる。
黒猫は怯えた様子で僕を見ていた。
「大丈夫。何もしませんよ」
《私の声、聞こえるんですか?》
「はい!」
《そうですか…》
黒猫は覚悟を決めたように顔をあげ、僕の足にしがみついた。
《お願いします。山奥に妖がいて、そこに弟が…助けてください》
「つまり、相手をやっつけちゃえばいいんですね。案内してもらえますか?」
《ありがとうございます…!》
案内された洞穴には何かいて、真っ黒いものがけたけた嗤っていた。
《なんだ?この私に逆らうのか?》
「僕はあなたの部下とか家来とかじゃありませんから」
《ならば私の力を受け──》
「……うるさいなあ」
真っ黒のなかにきらきらしたものが広がるオーラみたいなもの。
それが目の前の相手のところまで伸びると、突然苦しみはじめた。
《な、何故……》
「あなたみたいに悪い人をやっつけるための力ですから」
相手の体は灰になり、跡形もなく散った。
一緒に来た黒猫は怖がる様子もなく僕に近づいてくる。
《とても美しい力をお持ちなのですね》
「そんなことありません。あ、あそこにいるのが弟さんじゃありませんか?」
《助けていただきありがとうございました!お礼ができればいいのですが……》
「それなら、ひとつ情報を教えてほしいんです。…泡沫の呪いについて何か知りませんか?」
泡沫の呪い。僕はそれを倒すために来た。…という名目だ。
だけど、黒猫は沢山の情報をくれた。
おかげで少し進むことができそうだ。
「ありがとうございました」
《いえ…。どうかお気をつけてください》
「色々とありがとうございます。それじゃあ僕は行きますね」
もっと置くまで進んで、それで──
「きゃあ!」
近くから誰かの声がする。
人間が入ってくるはずがない場所なのに何があったのか。
放っておくこともできたけど、なんだか気になって様子を見に行った。
「こ、来ないで……」
野良犬が真っ白な服を着た女の人を襲おうとしている。
小さく息を吐いて間に入った。
「駄目ですよ、その人を怖がらせたら」
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