38 / 49
38・2回目デートの朝。
しおりを挟む
金森の目論み通り、俺と金森の会話に聞き耳を立てていた奴等から俺のカノジョに関する話は噂となって教室内にまたたく間に広まった。
ホント数時間で。
遠距離恋愛だから簡単には会えないらしいって勝手に思い込んでくれたらしい。
それと、カノジョと会えない俺が普段は父親の友人である、子ども嫌いのコワモテのオッサンと一緒に修行をしているという話になっていた。
修行って何だ?と思ったけど、俺が少林寺拳法を習っている事と、そんな子ども嫌いのコワモテのオッサンに俺が会う理由を結び付けて、何だかそうなったらしい。
俺が会ってるオッサンの情報は、俺の父さんの友人で子ども嫌いのコワモテの中年男ってだけだ。
皆の中で、そのオッサンは少林寺拳法の先生みたいなイメージなのかも知れない。
真弓の姿は誰も知らないけど興味も無いだろうし誰も調べようとはしないだろう。
噂は流れるのも早ければ、忘れられるのも早い。
俺のカノジョを確認するのが無理だろうって噂が流れただけで、殆どが俺のカノジョに探りを入れる事から興味を無くした。
俺の後をつけ回した所で、オッサンと修行しているだけだから面白くも何とも無いと思った様だ。
下校時間の頃には、誰も俺の話に聞き耳を立てなくなった。
「金森、サンキュな。」
ランドセルを背負ってから、俺が金森に礼を言った。
「あ?何が。俺は別に何もしてねぇよ。」
金森は照れ臭がるでも無く、ごく普通にそう返した。
何だコイツ、イケメンぶりやがって。ムカつくな。
とは言え、金森のお陰で早々と煩わしい事が解決した。
真弓に会いに行く度に、クラスの奴等に後をつけられたりしたら面倒だし。
だからムカつくんだけど、メチャクチャ感謝している。
「御剣、先に言っとくが…澤田はお前の彼女を見るの諦めてないぞ。
何か……見ないと失恋したと納得出来ないらしくてな。」
「あー……」
澤田さんは、まだ俺に未練があるって事?
そう話す金森も、複雑な顔をしている。
俺としては、イケメンな金森を澤田さんに推したい。
ガサツで乱暴者だけど意外と気配りが出来るし、いい奴だ。
それに、乱暴者なくせに澤田さんにだけは頭が上がらない程、こんなに一途に澤田さんに片想いしてる金森。
かなり優良物件だと思う。
そんなオススメ優良物件の金森が口の横に手を当ててコソッと俺に耳打ちした。
「あとな…拳がさっきから、ずっと御剣の事を見ている」
マジで?でも、それがナニか?
いや、見られていてもな。
俺から話しかける気はサラサラ無いし。
話しかけて来たら普通に会話するけど見られているだけなら正直、知らん。勝手に見てろ。
「アイツの事だから、その内御剣の彼女を見た事あるとか言い出したりして。」
金森が拳をチラっと見て、ハッと小馬鹿にしたみたいに言った。
「やめろよ、フラグ立てるみたいな真似すんの。」
金森は冗談で言ったのかも知れないけど「確かに、拳ならやりかねない」と一瞬、素で同意してしまった。
せっかく沈静化した噂を再び盛り上げるような事を「ウソ」でされたらマジで冗談じゃない。
この日は校門まで金森と行って別れた。
校門を出てから一人で歩く俺の背後にヤツの気配が…。
離れた位置から拳の視線が刺さるが、話しかけて来る気配が無くてキモい。
ストーカーかよ。
俺と仲良くしたいのか、俺のカノジョの情報を得たいのか分からなくて、何だか気持ち悪い。
まぁ拳の方から話しかけて来るまでは無視しとく。
それより土曜日!早く来い!
真弓とのデートが待っている。
▼
▼
▼
待ちに待った土曜日の朝が来た。
今週一週間、本当に長かった……。
そして、色々と濃ゆかった……。
嫌な思いもたくさんしたし、泣いたり天に昇る気持ちになったり…感情のアップダウンで忙しかった。
ちょっと、お疲れムードな俺だけど、今日はとことん癒やされよう!
「行って来ます!」
バイクに乗る為にちゃんと長ズボンを履いた俺は、朝の7時に家を出た。
真弓は俺と出掛けると事前にお父さんに連絡していたらしく、早朝に家を出る俺にお父さんは「いってらっしゃい、真弓クンによろしくね」とだけ言って送り出してくれた。
帰りはウチまでバイクで送ってくれると言っていたから、走って真弓の家に行く。
真弓ンちの朝ごはんが待っている!
朝ごはんを食べる真弓の姿を見るのが、俺の朝ごはんじゃないだろうか。
「真弓、おはよう!」
真弓の家に着いた俺は、呼び鈴の無い玄関の引き戸をぺちぺち叩いた。
家の中が静かで何の反応も無い。
まさか、まだ寝てるのかな。
俺は玄関の脇から庭に入り、バイクを置いてある寝室側に向かった。
家の壁に沿って左側に行くと縁側の大窓が開いており、縁側に座って煙草を吸っているのだろう、浴衣を着た真弓の足が見えた。ん……?
真弓の足は庭の方に出て草履を履いており膝頭は見えるのに、煙草を吸っているであろう真弓の身体が見えない。
どういう事?
「真弓~……来ちゃったよ?」
そろそろと縁側に近付くと、真弓は庭に足を出して草履を履いた状態で、そのまま縁側の硬い板張りの上に上半身を倒して寝ていた。
煙草を消した灰皿が横にあるので、ついさっきまで煙草を吸っていたのかも知れない。
庭に足を出して座った状態のまま後ろに倒れて…そのまま寝ちゃったの?
「うグッ!!」
なにそれ…可愛い!
ご飯食べながら寝ちゃった子どもみたいじゃん!
俺の恋人が可愛すぎる…!
スマホで写真撮りたい…!あ、でも怒られそう。
「仕方ないな…
可愛い真弓の姿を目に焼き付けとくか。」
俺は庭先に足を出したままで縁側に寝転ぶ真弓の隣に、靴を脱いで足をプラプラさせながら並んで座った。
板張りの廊下の上に、浴衣姿の真弓がいびきをかいて寝そべっている。
「グガァ…ん厶………」
胸が痒くなったのか、真弓は浴衣の前に手を突っ込んで鎖骨の下辺りをボリボリ搔いた。
突っ込んだ手を抜いた浴衣の前は洞窟みたいに穴が開き大きくはだけ、その洞窟の奥の暗がりに真弓の胸の先が見えてしまった。
「!!!」
何だろう…女の子の裸を見てしまったみたいな、見ちゃいけないモノを見た気がした。
思わず目を逸らしてドキドキする胸を押さえる。
だって…暗がりの奥に見える胸って何だか凄くやらしい……。
「それにしても…このまま起きなかったら困るよな。
出掛ける予定なのに。」
俺は真弓の顔の横に行き、板張りの廊下で正座をして真上から真弓の顔を覗き込んだ。
ユサユサと身体を揺さぶって起こせばいいんだろうけど。
「……真弓」
真弓の寝顔をジッと見ていたら、ふと頭に「目覚めは王子様のキス」って言葉が浮かんだ。
童話だったか何だったか、お姫様を眠りから覚ますのは王子様のキスだって見たか聞いたか…。
そうだ、真弓におはようのキスをしよう!
口にキスするのは駄目だけど、おデコなら真弓も俺にしたし!
キスをする俺が王子様なら、真弓はお姫様か。
かなりゴツめのお姫様だけど、真弓は最高に可愛くてキレイでカッコいい、俺だけのお姫様だ。
真弓の顔の上に俺の顔を近付ける。
正座をした状態で、ゆっくりとお辞儀をするような感じで頭を下げていく。
何か、ぎこちなくてロボットみたいな動きになる。
うぁぁ、緊張し過ぎて正座した足が痺れた気がする!
いや足だけじゃなくて全身が痺れた気がしなくもない。
心臓もドキドキとうるさい。
真弓の髪の生え際や、眉毛が間近に見える。
あ…まつ毛が長い…金髪というか薄い茶色と灰色が混ざった様な不思議な色のまつ毛。
このまつ毛に縁取られた真弓の綺麗な目が俺は大好きだ。
「チュ」
唇が真弓の額に触れた瞬間、何か自分でも口で「チュ」と言ってしまった。
ガチガチに緊張してしまって、何の感想も出ない。
頭が真っ白過ぎて、唇を乗せたまま重心を預けて動けなくなってしまった。
「……頭、おも。こら、顔をどかせ。」
目を開けた真弓が仰向けに寝た状態で、額に唇を乗せたまま正座して固まった俺の肩を押し戻す様にして身体を離した。
俺は真弓の横に正座をした状態で膝に手の平を置き、何だかかしこまった姿勢になった。
それから真弓も身体を起こし、胸をポリポリ掻きながらぼんやりしていたが、段々と思考がクリアになってきた様で二度見する勢いで俺を見た。
「……おはよう、真弓。」
「お、おはようさん………え?デコにキスしてた?」
「おはようのキスをしたら目を覚ますかなって思って」
「普通に起こ……いや…寝坊した俺が悪いか。」
声を掛けるなり揺らすなり、普通に起こせば良かっただろうと言いたいんだろうなと思う。
何でキスなんかしやがったとか思ったかも知れない。
でも真弓は俺を責めなかった。
寝坊した自分が悪いとは言ったけど、本当はムカついたりしたのではないだろうか…。
「ごめん…」
「は?謝らんでもいい。
だが、不意打ちは程々にしてくれ。」
ヤレヤレとでも言うかの様に真弓が俺の頭に手を乗せ、クシャクシャッと髪を乱しながら撫でた。
その表情に不快感は全く無い。
もうやめろじゃなくて、程々に…なんだ。
またチャンスがあったらしよう。
ホント数時間で。
遠距離恋愛だから簡単には会えないらしいって勝手に思い込んでくれたらしい。
それと、カノジョと会えない俺が普段は父親の友人である、子ども嫌いのコワモテのオッサンと一緒に修行をしているという話になっていた。
修行って何だ?と思ったけど、俺が少林寺拳法を習っている事と、そんな子ども嫌いのコワモテのオッサンに俺が会う理由を結び付けて、何だかそうなったらしい。
俺が会ってるオッサンの情報は、俺の父さんの友人で子ども嫌いのコワモテの中年男ってだけだ。
皆の中で、そのオッサンは少林寺拳法の先生みたいなイメージなのかも知れない。
真弓の姿は誰も知らないけど興味も無いだろうし誰も調べようとはしないだろう。
噂は流れるのも早ければ、忘れられるのも早い。
俺のカノジョを確認するのが無理だろうって噂が流れただけで、殆どが俺のカノジョに探りを入れる事から興味を無くした。
俺の後をつけ回した所で、オッサンと修行しているだけだから面白くも何とも無いと思った様だ。
下校時間の頃には、誰も俺の話に聞き耳を立てなくなった。
「金森、サンキュな。」
ランドセルを背負ってから、俺が金森に礼を言った。
「あ?何が。俺は別に何もしてねぇよ。」
金森は照れ臭がるでも無く、ごく普通にそう返した。
何だコイツ、イケメンぶりやがって。ムカつくな。
とは言え、金森のお陰で早々と煩わしい事が解決した。
真弓に会いに行く度に、クラスの奴等に後をつけられたりしたら面倒だし。
だからムカつくんだけど、メチャクチャ感謝している。
「御剣、先に言っとくが…澤田はお前の彼女を見るの諦めてないぞ。
何か……見ないと失恋したと納得出来ないらしくてな。」
「あー……」
澤田さんは、まだ俺に未練があるって事?
そう話す金森も、複雑な顔をしている。
俺としては、イケメンな金森を澤田さんに推したい。
ガサツで乱暴者だけど意外と気配りが出来るし、いい奴だ。
それに、乱暴者なくせに澤田さんにだけは頭が上がらない程、こんなに一途に澤田さんに片想いしてる金森。
かなり優良物件だと思う。
そんなオススメ優良物件の金森が口の横に手を当ててコソッと俺に耳打ちした。
「あとな…拳がさっきから、ずっと御剣の事を見ている」
マジで?でも、それがナニか?
いや、見られていてもな。
俺から話しかける気はサラサラ無いし。
話しかけて来たら普通に会話するけど見られているだけなら正直、知らん。勝手に見てろ。
「アイツの事だから、その内御剣の彼女を見た事あるとか言い出したりして。」
金森が拳をチラっと見て、ハッと小馬鹿にしたみたいに言った。
「やめろよ、フラグ立てるみたいな真似すんの。」
金森は冗談で言ったのかも知れないけど「確かに、拳ならやりかねない」と一瞬、素で同意してしまった。
せっかく沈静化した噂を再び盛り上げるような事を「ウソ」でされたらマジで冗談じゃない。
この日は校門まで金森と行って別れた。
校門を出てから一人で歩く俺の背後にヤツの気配が…。
離れた位置から拳の視線が刺さるが、話しかけて来る気配が無くてキモい。
ストーカーかよ。
俺と仲良くしたいのか、俺のカノジョの情報を得たいのか分からなくて、何だか気持ち悪い。
まぁ拳の方から話しかけて来るまでは無視しとく。
それより土曜日!早く来い!
真弓とのデートが待っている。
▼
▼
▼
待ちに待った土曜日の朝が来た。
今週一週間、本当に長かった……。
そして、色々と濃ゆかった……。
嫌な思いもたくさんしたし、泣いたり天に昇る気持ちになったり…感情のアップダウンで忙しかった。
ちょっと、お疲れムードな俺だけど、今日はとことん癒やされよう!
「行って来ます!」
バイクに乗る為にちゃんと長ズボンを履いた俺は、朝の7時に家を出た。
真弓は俺と出掛けると事前にお父さんに連絡していたらしく、早朝に家を出る俺にお父さんは「いってらっしゃい、真弓クンによろしくね」とだけ言って送り出してくれた。
帰りはウチまでバイクで送ってくれると言っていたから、走って真弓の家に行く。
真弓ンちの朝ごはんが待っている!
朝ごはんを食べる真弓の姿を見るのが、俺の朝ごはんじゃないだろうか。
「真弓、おはよう!」
真弓の家に着いた俺は、呼び鈴の無い玄関の引き戸をぺちぺち叩いた。
家の中が静かで何の反応も無い。
まさか、まだ寝てるのかな。
俺は玄関の脇から庭に入り、バイクを置いてある寝室側に向かった。
家の壁に沿って左側に行くと縁側の大窓が開いており、縁側に座って煙草を吸っているのだろう、浴衣を着た真弓の足が見えた。ん……?
真弓の足は庭の方に出て草履を履いており膝頭は見えるのに、煙草を吸っているであろう真弓の身体が見えない。
どういう事?
「真弓~……来ちゃったよ?」
そろそろと縁側に近付くと、真弓は庭に足を出して草履を履いた状態で、そのまま縁側の硬い板張りの上に上半身を倒して寝ていた。
煙草を消した灰皿が横にあるので、ついさっきまで煙草を吸っていたのかも知れない。
庭に足を出して座った状態のまま後ろに倒れて…そのまま寝ちゃったの?
「うグッ!!」
なにそれ…可愛い!
ご飯食べながら寝ちゃった子どもみたいじゃん!
俺の恋人が可愛すぎる…!
スマホで写真撮りたい…!あ、でも怒られそう。
「仕方ないな…
可愛い真弓の姿を目に焼き付けとくか。」
俺は庭先に足を出したままで縁側に寝転ぶ真弓の隣に、靴を脱いで足をプラプラさせながら並んで座った。
板張りの廊下の上に、浴衣姿の真弓がいびきをかいて寝そべっている。
「グガァ…ん厶………」
胸が痒くなったのか、真弓は浴衣の前に手を突っ込んで鎖骨の下辺りをボリボリ搔いた。
突っ込んだ手を抜いた浴衣の前は洞窟みたいに穴が開き大きくはだけ、その洞窟の奥の暗がりに真弓の胸の先が見えてしまった。
「!!!」
何だろう…女の子の裸を見てしまったみたいな、見ちゃいけないモノを見た気がした。
思わず目を逸らしてドキドキする胸を押さえる。
だって…暗がりの奥に見える胸って何だか凄くやらしい……。
「それにしても…このまま起きなかったら困るよな。
出掛ける予定なのに。」
俺は真弓の顔の横に行き、板張りの廊下で正座をして真上から真弓の顔を覗き込んだ。
ユサユサと身体を揺さぶって起こせばいいんだろうけど。
「……真弓」
真弓の寝顔をジッと見ていたら、ふと頭に「目覚めは王子様のキス」って言葉が浮かんだ。
童話だったか何だったか、お姫様を眠りから覚ますのは王子様のキスだって見たか聞いたか…。
そうだ、真弓におはようのキスをしよう!
口にキスするのは駄目だけど、おデコなら真弓も俺にしたし!
キスをする俺が王子様なら、真弓はお姫様か。
かなりゴツめのお姫様だけど、真弓は最高に可愛くてキレイでカッコいい、俺だけのお姫様だ。
真弓の顔の上に俺の顔を近付ける。
正座をした状態で、ゆっくりとお辞儀をするような感じで頭を下げていく。
何か、ぎこちなくてロボットみたいな動きになる。
うぁぁ、緊張し過ぎて正座した足が痺れた気がする!
いや足だけじゃなくて全身が痺れた気がしなくもない。
心臓もドキドキとうるさい。
真弓の髪の生え際や、眉毛が間近に見える。
あ…まつ毛が長い…金髪というか薄い茶色と灰色が混ざった様な不思議な色のまつ毛。
このまつ毛に縁取られた真弓の綺麗な目が俺は大好きだ。
「チュ」
唇が真弓の額に触れた瞬間、何か自分でも口で「チュ」と言ってしまった。
ガチガチに緊張してしまって、何の感想も出ない。
頭が真っ白過ぎて、唇を乗せたまま重心を預けて動けなくなってしまった。
「……頭、おも。こら、顔をどかせ。」
目を開けた真弓が仰向けに寝た状態で、額に唇を乗せたまま正座して固まった俺の肩を押し戻す様にして身体を離した。
俺は真弓の横に正座をした状態で膝に手の平を置き、何だかかしこまった姿勢になった。
それから真弓も身体を起こし、胸をポリポリ掻きながらぼんやりしていたが、段々と思考がクリアになってきた様で二度見する勢いで俺を見た。
「……おはよう、真弓。」
「お、おはようさん………え?デコにキスしてた?」
「おはようのキスをしたら目を覚ますかなって思って」
「普通に起こ……いや…寝坊した俺が悪いか。」
声を掛けるなり揺らすなり、普通に起こせば良かっただろうと言いたいんだろうなと思う。
何でキスなんかしやがったとか思ったかも知れない。
でも真弓は俺を責めなかった。
寝坊した自分が悪いとは言ったけど、本当はムカついたりしたのではないだろうか…。
「ごめん…」
「は?謝らんでもいい。
だが、不意打ちは程々にしてくれ。」
ヤレヤレとでも言うかの様に真弓が俺の頭に手を乗せ、クシャクシャッと髪を乱しながら撫でた。
その表情に不快感は全く無い。
もうやめろじゃなくて、程々に…なんだ。
またチャンスがあったらしよう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
34
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる