【R18】夜の帳に聖なる契り 『転生後の異世界で、腐女子のわたしがBLネタにしていた推しに喰われる漫画を描く罰ゲーム』

DAKUNちょめ

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45話◆【サイモン回想2】薔薇の世界を伝えに転生した愛の伝道師。

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目が覚めたミランダ嬢、いやメグミンは、俺が彼女の描いた絵を見ていた事に驚き、混乱、興奮状態になった。

まるで、威嚇する猫のようにフーフー言っていて可愛くて面白い。



この頃、この国に害悪しかもたらさない害虫のような貴族達が捕らえられており、その罪を全て明らかにする為には時間を要するであろうと、メグミンに告げる。

自分には関係ないと、無関心な雰囲気の彼女に思わずほくそ笑んでしまう。


「それがすべて、うまく収まったら、また絵を見せて貰いに来る。」


「何でですか!!!!」


想像通りの答え。楽しくて笑える。

本当に、彼女は思った事がそのまま顔に、行動に出る。

しかも、面白い。

もっと色んな顔を見たい、知りたい、そして……



そんな彼女が俺以外の誰かの物になってしまうなんて許しがたい。



「今度来た時には、チュウの絵も見せてくれ。」



彼女の耳もとで囁く。

スゥと彼女の香りを吸い込み、彼女の耳に軽く吐息を吹き掛ける。

硬直した彼女を見て、そのうぶな姿に食らい付きたくなる俺が居る。……たまらない……。



もう、彼女が欲しいという思いが、いや、欲望が止まらない。

俺が仕事で忙しい間に彼女の両親がミランダ嬢の婚約を決め、彼女が俺以外の誰かと結婚なんて事になったら俺は…

彼女の両親と、相手を殺して彼女を奪い去ってしまう。





「……師匠、相談があります。」


俺はメグミンの部屋から戻ると、すぐジャンセン師匠の元に行った。

師匠は、全て知っているとばかりに相談をする前に頷き、協力するかわりに約束を守れと言った。



「彼女は、普通の少女ではありません。
……言動が変わっているという意味では無くてですね。」



彼女は普通の人間ではあるが前世の記憶があり、その前世では人々に愛を伝える聖書を描いていたと。


その前世の彼女の世界は此処とは異なる世界。


その世界には彼女同様、愛の伝道師である仲間が多くおり、メグミン先生と呼ばれていた彼女はこの世界に愛の書物を伝える使命をもって、この世界に転生なさったのだと。



「ですから、彼女の使命を妨げる事はなりません。
彼女の仕事や、彼女の伝える愛の世界を否定してもなりません…。

でないとメグミン先生は…この世界に愛を伝える事を断念し、元の世界へとお帰りになるかも知れません。」


「それは困ります!!俺は!俺はもう…
メグミンが…彼女が居なければ…!」



元の世界に帰る!?俺の手の届かない場所に行くだと!?

そんなのは駄目だ!



「ではサイモン…貴方に、メグミン先生の聖書を与えましょう…
彼女の伝える愛を…目を逸らさずに…
最後まで見る事が出来ますか?」



ジャンセン師匠は俺の手に、薄い本を渡した。

なんと薄くて上質の紙…そして、薄いがなんと見事に製本されているのだろう。端は綺麗に切り揃えられ、紙も毛羽立ちが無いため浮いた箇所が無い。このような本は見た事が無い。

まさに、神の技だ。



そして、本の中身は…これは、凄い!

何と躍動感のある絵だろう!白と黒だけの線画でありながら、何と迫力のある絵だ!

絵画のように一枚の絵で背景に馴染んで描かれた物とは違う。

最初はどこから見たら良いのか分からなかったが、師匠がコマの存在を教えてくれた。



なるほど、一枚の紙に連なる絵があり、事の経緯や動きがある。

そして、身体の回りにあるたくさんの線は、揺れや、身体の上下運動の効果だそうだ。



………上下運動をしている……うん、俺だな。



俺が…何故か分からないが裸だ。

そして、懐かしいアリエス先生が描かれている。

俺の下に。



ミランダ嬢はアリエス先生と面識は無い筈なのに、このように容姿を忠実に描けるという事は、愛の伝道師である前世の力なのだろうか。



アリエス先生も裸だな。俺が抱き締めてるし。

うん、口付けもしている。

実際にした事は無いが。



素晴らしい!

これを想像により描いたのか!!絵画のように、モデルが居た訳ではなく、想像だけで!



「俺は、このような…自由な世界を描けるメグミン先生を尊敬します…何て素晴らしい女性なんだ…。」

「そう、素晴らしい女性なんです。
……ですが、彼女自身は…前世が伝道師オタクであったゆえか、自身の恋には臆病なのです。
…私は…彼女がこの世界に転生したのは、神の意志によるものだと感じているのですよ…。
『恋せよ乙女!描くだけじゃなく、自分も経験すべし!!』彼女は、人を愛し、愛された経験が無いのです!
より素晴らしい聖書を描く為には、彼女自身が愛を知らないと!!」



ああ!師匠!!分かってます!!

これはもう、神が与えた運命だと!!



「俺はメグミン先生の全てを受け入れる自信があります!
だから俺が彼女に愛を与え、彼女の愛を得ます!!
その為にはまず、彼女の親を黙らせる所からですね!!
それから、彼女の家に婚約の申し込みをしている輩を黙らせます!!」



「そうですね!!黙らせるネタなら、いくらでも出せます!!
そして、メンタル強くなった貴方になら、メグミン先生が神と呼ぶサークルさんの聖書も読めるでしょう!
メグミン先生の求める愛を勉強して下さい!私の為にも!!」



私の為にも?師匠には、ちょっと気になる言い方をされたが…



後々師匠が

「聖書、夜の帳に聖なる契り2の中身は、サイモンの愛の深さとエロさによって変わるのですよ…。
よりハードな物にして貰わないと…。
私はミァの時からずっと、メグミン先生の描く18禁が見たかったのです…。」

と呟いていた。



エロ?18禁?ミァ?何だろう…。







「まぁ…何だ…
お前がミランダ嬢を妻にする為に、ジャンセンと組んで…かなり無茶をしたらしい事は聞き及んでいるが、ミランダ嬢の持つ、未知の力を手に入れる為とかではなさそうだな。」


スティーヴンに声を掛けられ、過去を思い出していたサイモンが首を傾げる。


「妻には未知の力などありませんよ?
愛の形は自由であり、それを、尊いと言う…
そんな自由な思想の持ち主なだけです。」



「…???そう…なのか???」



スティーヴンは意味が分からなかったが、これ以上サイモンに聞いても無駄だと判断した。

サイモンの視線が中庭の方を向いており、姿が見えないのにミランダ嬢の姿が見えているかのように、愛しい人を見ているかのような………



イッちゃった目をしていたので、諦めた。



「妻は……大丈夫でしょうか……ディアーナ様に、奪われたりしていないでしょうか……。」



「奪われるって……お前なぁ……
そりゃ、ディアーナ嬢はウィリアの胸も遠慮無しに揉んだりするア……困った人だが……。」



アホと素で言いかけ、何とか言い留まったスティーヴン。

王族の者として、そのような言葉遣いは好ましくないと自制した。



「妻は今、ディアーナ様に求められても拒絶するだけの体力と気力が無いかも知れません…。彼女は寝てないのです。
……可愛すぎて離せず、昨夜から今朝までずっと繋がったままだったので…。」



「ああ!サイモン、お前もアホなんだな!!!
つか、バケモンか!!」



言わずにはいられなかった。



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