【R18】夜の帳に聖なる契り 『転生後の異世界で、腐女子のわたしがBLネタにしていた推しに喰われる漫画を描く罰ゲーム』

DAKUNちょめ

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29話◆犬は悦び脳内駆け回り、ポジさんが田舎から帰る。

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わたしは、ゆっくりと湯に浸からせて貰った。

久しぶりに全力疾走した為、身体がビミョーに痛い。

早くも筋肉痛か?



二人の侍女が凝った身体を揉みほぐし、土を洗い流し綺麗にしてくれる。

湯に花の香りを付けてあるので、わたしの身体はほんのりと花の香りに包まれる。


「あ…香油は使わないで…強い香りは好きじゃないの。」


サイモンがね……ぶふぉ!!


自分で言って噴き出してしまった。

サイモンが、わたしのナマの匂いが好きだと言ったから…。


わたしの頭の中では、もう初夜って言葉がサンバ並みに踊っている。

ネガティブ大カーニバルの後の、ポジティブ大カーニバル?

わたしの頭の中、どピンクか!ど、どうした、わたし!



身体を綺麗にしてもらい拭いて貰う。

薄いナイトドレスを身に纏い、その上からガウンを掛けて貰い寝室に向かう。


本当の初夜って、こんな感じなのかしら?

これは、これで……ドキドキするわね~!

もう、経験済みのわたしでさえ緊張してしまうもの。

初夜が儀式だって何だか分かる気がするなぁ。



寝室のドアをノックして中に入る。

薄暗い部屋の中はベッドサイドに小さなランプが置かれ、カーテンを全開にした大きな窓からは半月の月明かり。



ベッドの横に置かれた椅子にガウンを羽織って腰掛けたサイモンがわたしに手を延ばす。


「おいで、メグミン。」

「……はい。」


芝居ではなく、本当に恥じらってしまうわたし。

シチュエーションに弱いのかしら?


頭の中では、すんごい尻尾振って、「ごはん!ごはんくれるの!?ナニかきっと、オイシイもの!」とばかりに、ハッハッハッと荒い息と共にサイモンに飛び付く駄犬みたいなわたしが居る。


差し出されたサイモンの手に、わたしが手を乗せる。

なんとなく、指輪のされた左手を差し出す。



サイモンがわたしの手に口付け、椅子から立ち上がりわたしを抱き上げ…。



ベッドに寝かせてくれた。

優しいキスをされ、髪を撫でられ………


「ゆっくりとおやすみ、メグミン……」


「………。」



キャイーーン!!ごはんはーー!?ごはん!ごはんはー!?



わたしの中の駄犬が自身の尻尾に噛みつく勢いでパニックを起こしている。


当のわたしは、ベッドの上で真っ直ぐ寝た状態で天井を眺めていた。


ポジティブカーニバルのポジさんが田舎に帰り、かわりに代理でネガさんが来そうだ。

いや!来させんな!解雇だ!解雇!ネガさんこそ田舎に帰れ!



「サイモンは…わたしを…抱きたく…なくなったのでしょうか…」



なるべく、なるべく感情的にならないように、サイモンの顔は見ず天井を見たままで隣のサイモンに語り掛ける。


「違う!そんな事は無い!!」


サイモン全力否定。

もしかして…閨を共にするのが嫌なら、もうしない的な事を言っていたアレか?

わたし、うん、そうして!なんて言ってないけど…
真面目なサイモンは、返事が無かったから逆にどうして良いか分からなくなってるのだろうか?


「だったら……」


抱いてくれても良くない?


「優しく出来る自信が無い!」


「………え?それって……どういう……」


俺は実はドSだから、叩かせてくれ的な??それは御免です。


「…俺は今、君に…飢えている…欲しくて欲しくて堪らない…
もう、欲望の赴くままに君を貪りたい…!
俺のものだと身体中に刻み付けたい…!
君の全てを喰らい尽くしたい!!
紳士では居られない、ケダモノのようにしかなれない!
だから……抱けない……」


わたしの頭の中で駄犬が尻尾を回転させる位に振っている。

飛び付く勢いだ。



オイシイごはーーーーん!!


ネガさんが解雇され、ポジさんが田舎から帰って来たようだ。

「やっぱ、あんたが居ないとカーニバルが成り立たねぇんだよ!」

泣きながら、ポジさんが仲間に迎え入れられる。



脳内妄想は置いといて!!望む所じゃない!?

サイモン専用ビッチ様のわたしとしては!!



「サイモン……わたし、貴方に…喰らい尽くされたいの……
わたしがカチュアに嫉妬したのは……貴方がわたし以外の人を同じように抱いてるかもと思ったからってのもあるのよ。」


「そんな事は絶対無い!君以外の女に触れるなど…!」


ガウンを脱いでベッドの下に落とす。

ガウンの下にはシースルーのナイトドレス一枚。

下履きも何も着けていない。



頭の中でビッチ様が手の平を上に向け、ウインクしながら指先を順に折って手招きする。


オーイェーカモン!ベイビー?


「壊れる位に激しく、抱いて下さい……サイモン……。」


サイモンが返事をする間も惜しむようにベッドに横たわるわたしの両脇に手をついて、真上からわたしを見下ろす姿勢で見詰める。

彼の膝がわたしの太ももの間に挟み込まれ、脚を閉じられない。

すべて暴かれ、隠す事を許されないわたしは、逆らえない事を悦びとする。



「ああ…君の全てを俺のものだと刻み付ける…
途中で逃げたくなっても逃がさない。」



サイモンの唇がわたしの口を塞ぐ、角度を何度も小刻みに変えながら、咥内余す所無くサイモンの舌先が舐め回して来る。

歯列の裏側も、舌の裏の付け根も、触れて無い場所を残さないように、全てを知るかのように。

そしてわたしの口中は、サイモンの味に満たされる。

僅かにワインの味がする。ほろ苦い香りに少し酔いそう。

クラリと視界が揺れる。


「ぷぁ…さ、サイモン…サイモンん…」


互いの舌先から唾液の糸を引かせて、わたしは甘ったるい声で夫の名を呼ぶ。


腕を延ばし、サイモンの両サイドの髪を耳に掛けるように彼の頭を撫で、濡れた舌先を下唇に乗せ舌っ足らずな発音で彼自身をねだる。


「サイモンがほしぃ…ねぇ、サイモン…ねぇ…」


ビッチ様が絶好調です。

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