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第六章【異世界にて悪役令嬢再び。】
107#【完結】一般人から英雄に。そして神になりました。
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ゆっくり、ゆっくりと、藍のまつ毛に縁取られたまぶたが開かれる。
薄く細く、月の様に現れる金の瞳が満月のように丸くなる。
眠り姫しかり、白雪姫しかり、物語の中で眠りから覚めた姫君と同じ様に美しい、この姫君の薔薇の唇が薄く開かれる。
「つっめてっ!なんじゃこりゃ!磯くさっ!!」
物語の姫君と同じ様に美しいのは、見てくれだけであった。
口は汚い。態度は悪い。
溶ける事の無い、レオンハルトの魔法により作られた氷の棺の中で目を覚ましたディアーナ姫君が、ガバッと身体を起こす。
「磯くっさっ!!てゆーか、何でタコと一緒に入ってんのよ!
私は冷凍マグロか!!」
上体を起こしたディアーナは、両手に煮タコを握りしめてワナワナと震えている。
片方のタコにはかじられた跡がある。
「え…ディアーナ嬢、怒ってる?」
「違うわ!寒いんじゃあ!!そして腹減った!!」
スティーヴンの問い掛けに、両手にタコを握りしめたディアーナが言えば、スティーヴンの後ろに居たジャンセンとレオンハルトがディアーナの元に来た。
「おはよ、姫さん。やっと目ぇ覚ましたな。覚えてっか?」
「師匠!!はぁはぁ師匠!!な、舐めたり触ったり!!」
「……いや、それいーから……リュシーの事とか覚えてっか?」
大好物である影口調のジャンセンに興奮気味のディアーナに、うんざり顔のジャンセンが訊ねると、ディアーナは少し考え、手をパンと叩いた。
「ケモミミのリュシーね!思い出したわ!長い夢を見てたのよ!」
「ディアーナ、それ夢じゃないから…俺の偽物、かなりボコッていたよな。おはよう、俺の女神…。」
「レオン…本物のレオンなのね…。やっと会えた…。」
レオンハルトが、ディアーナの身体を氷の棺から抱き上げる。
ディアーナがレオンハルトの首に腕を回し、頬を擦り寄せた。
「スティーヴンにも聞いといて貰いたいし、説明するわ。
めんどくせぇけどテーブルと椅子を出す。」
ジャンセンが説明をする為にと、テーブルと椅子を創造魔法で出す。
「……玉座の間に棺やらテーブルセットやら……しかも、やる気無しでイビツ…」
スティーヴンが嘆くように呟けば、ジャンセンがシレッと呟く。
「後から纏めて消すからいーだろうが。黙ってろ。
めんどくせぇ。」
▼
▼
ディアーナが眠りについてから今に至る経緯を説明したジャンセンに、ディアーナが気付いた事を補足してゆく。
「俺も今回は少し焦った。
全く知らない異世界からの介入だと思っていたし…俺自身が気付かない内に、もう1つショボい世界を作ってるとは思わなかったし。」
脚と腕を組んだジャンセンがため息混じりに言うと、レオンハルトがジャンセンに意見する。
「親父、ショボい言うなよな。
あっちはあっちで、ちゃんと生きてる世界なんだから。
それに…あっちは世界が小さな分、個々の魔力が強いよな?」
「そ、だから、こっちの世界の被害者達の僅かに残った虫食い状態の魂をアッチで面倒見て貰う事にした。
豊富な魔力を持って魂が形成されればとは思うが…元に戻るか分からない……。
それと、アッチの世界の被害者の魂は最後の犠牲者のシャル以外、完全に消失してるから何もしてやれなかった。」
「師匠…おとんは、優しくないフリが下手ね。」
めんどくせぇと言いながらも、何だかんだと手を焼いてしまうジャンセンにディアーナが笑う。
「ディアーナもな。
あの森の中でシャルとリュシーの声を聞いて、いち早く反応しただろ?
女神の記憶を封印して自らが食い付かれる為のエサになった。
優しい女神だよ…ディアは。」
レオンハルトも笑う。その頬には張り手の痕が付いている。
優しい??スティーヴンは複雑な顔で、それを見ていた。
さっき、抱き上げたディアーナに「プリン返せやぁ!」と張り手を受けていたレオンハルトを見てしまったので。
「僅かに繋がれた道を辿り、この世界からリュシー達の世界に魔物が行ったように、逆の場合もあるかも知れない。
それこそ、もっと強いヤツがコッチの世界に手ぇ出して来るとかな。ちょっとした課題だよな。」
「………楽しそうね、それ。
百年先か、二百年先か…もっと先かも知れないし、もっと早いかも知れないし。」
ディアーナがほくそ笑み、レオンハルトが頷く。
「そう言うと思って…戦力は増やしておきたいんだよね。」
遥か先を見据えて話される神の会話を、たかだか数十年しか生きない人の身である自分には関係無いな、とスティーヴンは聞き流しながらテーブルに2回目の試作品であるプリンを並べた。
「………ずっと殿下の作る料理が食べたいわね……」
ディアーナの呟きによりフラグが立った事を、スティーヴンは気付かなかった。
▼
▼
▼
これは異世界での話。
ディアーナと夢の世界を旅したリュシーは自身の世界に戻り、英雄リュシーとして、妹でもある女神シャルと旅をした。
ディアーナ達と繋がりを持った事により、こちらの世界に流れて来る魔物の数が増えたが、今のリュシーとシャルには全く脅威とはならなかった。
やがて、こちらの世界にディアーナ達の世界の魂の欠片を握りしめた女児がたくさん生まれ、前世の記憶は無いものの皆無事に育っていった。
一人を除いて。
レイラと名付けられたヒョウの獣人の少女は記憶の一部を有していた。
そして、リュシー達が旅を始めて17年目に見付けて後継者として共に旅をしていた黒豹の少年レイリも。
リュシー達の世界で巡り会った二人は、すぐに互いに気付き、今度は何にも臆する事なく互いの気持ちを伝え合った。
「……レイリとレイラが羨ましいな……。
リュシー兄さん、私ね……
兄さんの事……本当は好きだったんだ……。」
「……ん、知ってた……………」
リュシーの最期の言葉だった。
レイリとレイラを巡り合わせ、姉弟としてではなく生まれた二人を結び付け夫婦としたリュシーは、胸の支えが取れたかのように安堵し、二人を巡り合わせてから数年後、四十代の若さで息を引き取った。
そして、リュシーもシャルと同じく死んだ早々に、こちらの世界の神となる。
「………………死んだ気がしない。寝て起きた位の感覚だ。
しかも二十代の姿になってる…。」
「でしょ?で?ん、知ってた…の続きは?」
「!!!き、聞かれるのか?その後を!!」
「だって聞きたいじゃないの!」
「言わん!つか、言えん!!聞くな!!」
「もう!兄さんたら!
妹に良からぬ感情持っちゃったんじゃないの!?
なにしろ私、かなりな美少女だからね!?
実の兄でも好きになっちゃっても仕方がないわよ!!」
「自画自賛にも程があるだろう!少しは遠慮しろよ!少しは!」
リュシーは今更ながら気付く。
ああ、ディアーナ様は……シャルに少し似てたんだな。と。
「……そんなに聞きたいなら、また、あちらの世界の神達と会えたら、話してやるよ。」
なにしろ俺達には無限の時間がある。
やれやれ、本当に、とんでもなく、ご都合主義の神達に巻き込まれたもんだ……。
また、いつか…何かに巻き込まれそうな嫌な予感がするよ。
楽しみだよな。
━━━終わり━━━
薄く細く、月の様に現れる金の瞳が満月のように丸くなる。
眠り姫しかり、白雪姫しかり、物語の中で眠りから覚めた姫君と同じ様に美しい、この姫君の薔薇の唇が薄く開かれる。
「つっめてっ!なんじゃこりゃ!磯くさっ!!」
物語の姫君と同じ様に美しいのは、見てくれだけであった。
口は汚い。態度は悪い。
溶ける事の無い、レオンハルトの魔法により作られた氷の棺の中で目を覚ましたディアーナ姫君が、ガバッと身体を起こす。
「磯くっさっ!!てゆーか、何でタコと一緒に入ってんのよ!
私は冷凍マグロか!!」
上体を起こしたディアーナは、両手に煮タコを握りしめてワナワナと震えている。
片方のタコにはかじられた跡がある。
「え…ディアーナ嬢、怒ってる?」
「違うわ!寒いんじゃあ!!そして腹減った!!」
スティーヴンの問い掛けに、両手にタコを握りしめたディアーナが言えば、スティーヴンの後ろに居たジャンセンとレオンハルトがディアーナの元に来た。
「おはよ、姫さん。やっと目ぇ覚ましたな。覚えてっか?」
「師匠!!はぁはぁ師匠!!な、舐めたり触ったり!!」
「……いや、それいーから……リュシーの事とか覚えてっか?」
大好物である影口調のジャンセンに興奮気味のディアーナに、うんざり顔のジャンセンが訊ねると、ディアーナは少し考え、手をパンと叩いた。
「ケモミミのリュシーね!思い出したわ!長い夢を見てたのよ!」
「ディアーナ、それ夢じゃないから…俺の偽物、かなりボコッていたよな。おはよう、俺の女神…。」
「レオン…本物のレオンなのね…。やっと会えた…。」
レオンハルトが、ディアーナの身体を氷の棺から抱き上げる。
ディアーナがレオンハルトの首に腕を回し、頬を擦り寄せた。
「スティーヴンにも聞いといて貰いたいし、説明するわ。
めんどくせぇけどテーブルと椅子を出す。」
ジャンセンが説明をする為にと、テーブルと椅子を創造魔法で出す。
「……玉座の間に棺やらテーブルセットやら……しかも、やる気無しでイビツ…」
スティーヴンが嘆くように呟けば、ジャンセンがシレッと呟く。
「後から纏めて消すからいーだろうが。黙ってろ。
めんどくせぇ。」
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ディアーナが眠りについてから今に至る経緯を説明したジャンセンに、ディアーナが気付いた事を補足してゆく。
「俺も今回は少し焦った。
全く知らない異世界からの介入だと思っていたし…俺自身が気付かない内に、もう1つショボい世界を作ってるとは思わなかったし。」
脚と腕を組んだジャンセンがため息混じりに言うと、レオンハルトがジャンセンに意見する。
「親父、ショボい言うなよな。
あっちはあっちで、ちゃんと生きてる世界なんだから。
それに…あっちは世界が小さな分、個々の魔力が強いよな?」
「そ、だから、こっちの世界の被害者達の僅かに残った虫食い状態の魂をアッチで面倒見て貰う事にした。
豊富な魔力を持って魂が形成されればとは思うが…元に戻るか分からない……。
それと、アッチの世界の被害者の魂は最後の犠牲者のシャル以外、完全に消失してるから何もしてやれなかった。」
「師匠…おとんは、優しくないフリが下手ね。」
めんどくせぇと言いながらも、何だかんだと手を焼いてしまうジャンセンにディアーナが笑う。
「ディアーナもな。
あの森の中でシャルとリュシーの声を聞いて、いち早く反応しただろ?
女神の記憶を封印して自らが食い付かれる為のエサになった。
優しい女神だよ…ディアは。」
レオンハルトも笑う。その頬には張り手の痕が付いている。
優しい??スティーヴンは複雑な顔で、それを見ていた。
さっき、抱き上げたディアーナに「プリン返せやぁ!」と張り手を受けていたレオンハルトを見てしまったので。
「僅かに繋がれた道を辿り、この世界からリュシー達の世界に魔物が行ったように、逆の場合もあるかも知れない。
それこそ、もっと強いヤツがコッチの世界に手ぇ出して来るとかな。ちょっとした課題だよな。」
「………楽しそうね、それ。
百年先か、二百年先か…もっと先かも知れないし、もっと早いかも知れないし。」
ディアーナがほくそ笑み、レオンハルトが頷く。
「そう言うと思って…戦力は増やしておきたいんだよね。」
遥か先を見据えて話される神の会話を、たかだか数十年しか生きない人の身である自分には関係無いな、とスティーヴンは聞き流しながらテーブルに2回目の試作品であるプリンを並べた。
「………ずっと殿下の作る料理が食べたいわね……」
ディアーナの呟きによりフラグが立った事を、スティーヴンは気付かなかった。
▼
▼
▼
これは異世界での話。
ディアーナと夢の世界を旅したリュシーは自身の世界に戻り、英雄リュシーとして、妹でもある女神シャルと旅をした。
ディアーナ達と繋がりを持った事により、こちらの世界に流れて来る魔物の数が増えたが、今のリュシーとシャルには全く脅威とはならなかった。
やがて、こちらの世界にディアーナ達の世界の魂の欠片を握りしめた女児がたくさん生まれ、前世の記憶は無いものの皆無事に育っていった。
一人を除いて。
レイラと名付けられたヒョウの獣人の少女は記憶の一部を有していた。
そして、リュシー達が旅を始めて17年目に見付けて後継者として共に旅をしていた黒豹の少年レイリも。
リュシー達の世界で巡り会った二人は、すぐに互いに気付き、今度は何にも臆する事なく互いの気持ちを伝え合った。
「……レイリとレイラが羨ましいな……。
リュシー兄さん、私ね……
兄さんの事……本当は好きだったんだ……。」
「……ん、知ってた……………」
リュシーの最期の言葉だった。
レイリとレイラを巡り合わせ、姉弟としてではなく生まれた二人を結び付け夫婦としたリュシーは、胸の支えが取れたかのように安堵し、二人を巡り合わせてから数年後、四十代の若さで息を引き取った。
そして、リュシーもシャルと同じく死んだ早々に、こちらの世界の神となる。
「………………死んだ気がしない。寝て起きた位の感覚だ。
しかも二十代の姿になってる…。」
「でしょ?で?ん、知ってた…の続きは?」
「!!!き、聞かれるのか?その後を!!」
「だって聞きたいじゃないの!」
「言わん!つか、言えん!!聞くな!!」
「もう!兄さんたら!
妹に良からぬ感情持っちゃったんじゃないの!?
なにしろ私、かなりな美少女だからね!?
実の兄でも好きになっちゃっても仕方がないわよ!!」
「自画自賛にも程があるだろう!少しは遠慮しろよ!少しは!」
リュシーは今更ながら気付く。
ああ、ディアーナ様は……シャルに少し似てたんだな。と。
「……そんなに聞きたいなら、また、あちらの世界の神達と会えたら、話してやるよ。」
なにしろ俺達には無限の時間がある。
やれやれ、本当に、とんでもなく、ご都合主義の神達に巻き込まれたもんだ……。
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楽しみだよな。
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