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第四章【神の御子と月の聖女ディアーナの旅】

70#【完結】侯爵令嬢から聖女へ。

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「あ、ディングレイ侯爵夫妻に、跡継ぎが出来たようですよ。」


宿屋のベッドに腰掛けたジャンセンがサラリと言う。


「はやっ!!まだ、私達が実家出てから一時間経ってないじゃん!」


宿屋の一室で、ディアーナが思わず大きな声を出す。


「夫妻には6年経過してますがね。」


ジャンセンが笑って答える。


「最初の2年はろくに会話もしない状態でしたけど…
あの夫婦には互いを知るいい機会だったのかも知れませんね。
互いの本音をぶつけ合って、後は頑張ってくれましたし。」


「17歳年下の弟かーうーん」


ディアーナは少し考える素振りを見せ、ベッドのジャンセンの隣に腰掛けてジャンセンに寄り掛かる。


「私には、レオンハルトが居て…師匠もいる。
私にとってディングレイ侯爵家の家族はもう必要ないわ。
……と、言うよりは、あの家族に私の存在は必要無いと思う。」


ジャンセンはレオンハルトと目を合わせ、互いに頷く。


ディアーナを挟むようにジャンセンの反対側に腰掛けたレオンハルトが、ジャンセンに寄り掛かるディアーナの頭を自身の方に傾けさせ、ディアーナのつむじに口付け尋ねる。


「ディアはもう、ディングレイ侯爵令嬢はやらなくていいんだな?」

ディアーナが無言で頷く。

「分かりました。
聖女となったディアーナが深く関わった国王とスティーヴンから記憶を消す事は出来ませんが、その他の者の記憶からはディングレイ侯爵令嬢ディアーナの存在を無かった事にしましょう。」


ディアーナを自分の方に寄せた、レオンハルトの小さなジェラシーに笑ってジャンセンは答えた。


「うん、ありがとう!おとん!」









翌日

ラジェアベリア第二王子ピエール殿下と、ヒールナー伯爵家令嬢イライザの婚約御披露目の舞踏会が開かれ、ディアーナとレオンハルトは聖女の姿、御子の姿でそれに参加した。


確かに正装ではあるが、二人ビミョーに光を放っている上に人間離れし過ぎた神々しさがあり、主役の二人より目立つ。


普段のスティーヴンならば、「ちょっと…」と文句のひとつも言ったかも知れないが、今回に関しては衣装を変えて欲しいなんて言ったら「じゃあ、マッパで参加する」と答えそうなのでスルーした。


舞踏会の前に、国王とスティーヴンにはディアーナがもう、ディングレイ侯爵家の名を無くした事、二人から娘が居た記憶も消した事を告げた。

その場にはピエールにも居て貰って事の成り行きを説明したのだが、脳筋の彼には難しかったようだ。

ずっと笑っていた。


「では、舞踏会に参加した者達に、二人を神の御子とその妻の聖女だと言ってしまっても良いのか?」


ジャンセンからもお許しが出ているので、尋ねる国王に親指を立てる、中身は残念だが見目麗しく神々しい聖女。


「OKっす!」



会が始まり、ピエールとイライザが挨拶をし会場を回って行く。


二人がディアーナの前に立ち、イライザがカーテシーをする。


「神の御子様、月の聖女様、この度はわたくし達の会にご参加頂き……」


顔を上げたイライザとディアーナの目が合った。


「誠に光栄………ディアーナ…お姉さ…ま…?」


ディアーナがディングレイ侯爵家の者だった事実を無かった事にした為に、イライザにはディアーナと従姉妹だった記憶が無い…ハズ。


「イライザ、婚約おめでとう!」


神の力を以てしても、人の記憶や思考は全て思い通りに動かせるとは限らないのだったわねと、ディアーナは苦笑する。
記憶は無くしても、強い思いは、全て消し去れない。

ディアーナをお姉さまと呼んだイライザは、本当にディアーナを好いていたのだろう。


ディアーナがイライザを抱き締める。
そして耳元でコソっと囁いて、尻をパン!と叩いた。

「ちゃんと、ピーちゃんに可愛がって貰って…
たくさんいぢめて貰うのよ?…お兄様とも仲良くね…。」


「!!!はぅん…はい…」

腰の砕けたイライザを抱きかかえるようにして、ピーちゃんは笑いながらディアーナ達から離れて行った。

何で笑ってんだ…。

「イライザの伯父にあたる、ディングレイ侯爵夫妻も参加しているようだがディアーナは挨拶しなくて良いのか?」


レオンハルトに尋ねられ、ディアーナは頷く。


「さっき、姿を見たわ。
年をとってから出来た第一子に嬉しそうだった。
生まれるのは跡取りの男の子だし、私みたいな扱いは受けないでしょう?
夫婦も仲良かったし…幸せになってくれればそれでいいわよ。」


人付き合いが苦手であったあの父が妻を連れてパーティーに参加し、仲の良くなかった叔父のヒールナー伯爵や、他の貴族と楽しげに談笑する姿など初めて見たディアーナは、もう自分の知っているディングレイ侯爵は居ないのだと微笑む。


「姫さん」


黒い装束姿ではなく、ラジェアベリア国の紋章が胸に入った正式な騎士の衣装を身に着けたジャンセンが声を掛けてきた。


何で、まだ城で仕事してんすか、師匠。創造神よ。


「サイモンがモテモテでな、側に居ると俺にまで女が寄って来る。めんどくさい。」


「あら、良かったわね…
そういえばサイモンて、あまり良い身の上ではなかったと記憶しているのだけど…ヒールナー伯爵家の跡取りにはなれるの?
養子だとか、隠し子だとか色々言われてたけど。
師匠の乙女ゲームのメモでは後の伯爵になってませんでした?」


「サイモンはヒールナー伯爵夫妻の嫡男ですよ。
私が彼らにサイモンを預けたのですから。
ただ、力の配分間違えて…幼い頃のサイモンは、ミニレオンハルトだったので…回りには危なっかしく見えたらしく…しばらく実家から離されていたのですよね…。」



ミニレオンハルト?



「幼い頃から大人の持つ剣を振り回してましたし…
魔法は使えましたし…よく、プチプチ言ってましたし…
成長と共にレオンハルトのパーセンテージ下げて行きました。」


「「……………」」


そのまま成長していたら、本当にレオンハルトが二人になっていたかも知れないのか…何か色々危なかった…のか?


「私のちょっとした、可愛い失敗のせいで、ディアーナには迷惑を掛けてしまいましたが…
これでもうサイモンも、自身で人としての人生を歩んでいけます。僅かにあった、レオンハルトとしての記憶も消えつつありますし…。
あとは、彼自身が幸せになってくれたら嬉しいですね。」



可愛い失敗?可愛くはねえよ!!
とディアーナとレオンハルトは叫びたかったが、我慢した。
言った所で、どうしようもねぇ。この人には。


「ねえ、レオンハルト……私……あの……」


ディアーナはレオンハルトのマントの端を掴み、もじもじしながら熱のこもった瞳で見詰める。


「……ディアーナ……我慢出来ないのかい?…」


「ええ…もう…私…」


レオンハルトはディアーナの頬に手の平を当て、グイッと腰を抱き寄せると身体を密着させる。


「こんな所で、そんなおねだりをするなんで…可愛いディアーナ…。」


神の御子と聖女が抱き合うように互いを見詰める姿は、どんな宗教画や彫刻よりも美しく、神々しく、舞踏会に参加した者達の視線が集中する。


「さあ、言ってごらん…俺のディアーナ…。何を求める?」


唇が重なる程に顔を近付け問うレオンハルトに、回りの者達も唾を飲み、美しい月の聖女のおねだりを待つ。


「わたくし…私、ぜんぜん暴れ足りなくて!!!
もっと暴れたいのよね!!」

「だよな!俺も!」


二人は歯を見せてニカッと笑い、レオンハルトはディアーナを横抱きし、ホールのシャンデリアが輝く一番高い場所まで浮かび上がる。


「陛下!殿下!ごめんなさいね!私達、また旅を続けるわ!
面白い物も見れたし、このまま魔獣でも探してぶん殴って来ます!」


「俺も暴れ足りなくて身体がなまっちまいそう!だから、行くわ!」


宙に浮いたまま二人は旅人の装束に変わり、ディアーナはレオンハルトに横抱きされたまま会場に向け、両手でたくさん投げキッスを飛ばした。


「みんなが幸せになりますよぉに!」


やれやれと額に手を当て苦笑する国王と、その隣で無表情になっているスティーヴンとウィリア夫妻。


「はぁ~…ディアーナ嬢、神の世界に華麗が用意してある。
腹が減ったら温めて食べてくれ。」


スティーヴンがディアーナに声を掛けると、隣のウィリアも声を掛けた。


「わたくし達も、すぐ追い付きますわ!
しばらくは、お二人で旅を楽しんでいて下さいませ!」

「ありがとう!殿下!ウィリア!じゃ、また後で!」



レオンハルトとディアーナが光の粒子を散らしながら姿を消すと、辺りがざわめき立つ。



「本当に神の御子?」「本物の聖女?」「神の御子と対等に話す殿下は…」



その場に残った創造神本人は、騎士の姿のまま唇の前に指を一本立てスティーヴンの前にたった。


「もう、この先殿下を軽んじる者は出ないでしょう。…ウィリア、あなたの両親も安らかに眠ってくれると思いますよ。」


「…何か結局、いつも貴方達の手の平の上で転がされてるんですよね、国もひっくるめて私達は……
卿を捕らえる事が出来た事は、感謝する。
ジャンセン、この野郎…。」


スティーヴンはジャンセンに向かい聞こえる声でぼやき、ジャンセンは笑って拳を握ってスティーヴンを殴る仕草をした。


「違いますよ、私もひっくるめて、遊ばれているんですよ。馬鹿息子と馬鹿娘の馬鹿夫婦に。
私も…今回は心残りの後始末をしたかったんです…。」


「ディアーナ嬢に頼まれ作ってみたのですが………
…ジャンセン、華麗食べてみます?」


「………この世界初のカレー誕生ですね。」



後に、この世界でのカレーの生みの親となるラジェアベリア国の王太子、スティーヴン。


この日の婚約御披露目パーティーはカレーの匂いに包まれていたと、後の歴史に語られる。






夜の帳が降り、大きな月の輝く星空の下。


楽しげに魔獣を狩りながら森の中を縦横無尽に駆け回るディアーナと夫のレオンハルト。

「レーオーン!」

駆け回る途中でディアーナはタックルする勢いでレオンハルトの首に腕を回して抱き着いた。

「わ!急に…!!」

急に飛び付かれディアーナを抱き止めたまま仰向けに草むらに倒れたレオンハルトは、ディアーナを胸に乗せたまま空高く輝く白い月を見上げる。


「どうしたディアーナ、俺の愛しい月の聖女はとてもご機嫌だな」


レオンハルトの肩口に頭を預けるようにしてレオンハルトの隣に身を寄せたディアーナは、同じように月を仰ぐ。


「なあんか、スッキリしちゃって!ずっと、引っ掛かってたの!」


仲が良くなかったとは言え、自分を育ててくれた両親が幸せとは言い難い環境にあった事。
跡継ぎの居ないディングレイ侯爵家の今後や、叔父のヒールナー伯爵との不仲など。


もう、聖女になった自分には関係無いと切り捨てたつもりでいても、ディアーナの胸の奥底に残っていた家族であった事でのわだかまり。


「スッキリしちゃって……」


ポロポロとディアーナが涙を流す。


「……ディアーナ、頑張ったな……」


レオンハルトは月を見上げ寝転んだまま、優しく笑って胸の上に顔を乗せるディアーナを撫でる。


「寂しくないの!ただ、ただ…!良かったなぁって思っただけなの!」


「分かってるよ。」


レオンハルトは何度もディアーナを撫でた。優しく優しく。


少し寂しいけど辛く悲しい別れではない。

決別と言うよりは、巣立ちに近いのだと

ディアーナもレオンハルトも理解している。


「家族なんだから、もっと甘えてくれていいよ俺に。
…………少しだけなら親父にも…」


「これ以上甘えたらドロドロに溶ける…」


「トロけたら?俺は嬉しい。」


月の淡い光に包まれて、微笑む二人が口付けを交わした。









婚約御披露目パーティーから一年。


ディングレイ侯爵家には嫡男が生まれていた。


ディヴッドと名付けられたディングレイ侯爵家の跡取りは両親に溺愛され、邸の使用人達からも愛されており幸せそうだ。


ラジェアベリア第二王子のピエールとイライザは、来年正式な夫婦となるとの事。


イライザはピエールにたくさん愛されて、たくさんいぢめてもらい、サイモンにツラい態度を取る暇が無くなった。
兄妹仲は良い様だ。


サイモンは王城に勤めている中で、女性にはモテてはいるが今はまだ仕事に邁進したいと誰も相手にしていない。
………ワケでは無い様だ。


サイモンに師匠と呼ばれるジャンセンが、恋をしたら?と勧めた時に「彼女を越える女性が現れたら」と答えていた彼が、とうとうそんな女性を見つけたかも知れないとの事。


ディアーナが従姉妹であった記憶は消えつつあっても、恋い焦がれた初恋の相手は忘れられないようだ。


「ディアーナを越える…居るんですかね、あの馬鹿を越える女性。」


ジャンセンがそう答えたら、サイモンは笑ったらしい。


「いますよ、きっと。」


彼は彼で、ちゃんと前を向いて歩いて行けるだろう。







捕らえられたグイザール公爵は、爵位を剥奪された上で毒酒を渡され、賜死となった。


グイザール公爵とその庶子によって身内を殺されたり財を奪われた者達は、卿の公開処刑と斬首を要望したがスティーヴン王太子が反対した。


賜死とし、自らの手で毒杯で命を絶つ事によって、卿の犯罪を知らなかった卿の家族や、幼い庶子などを全て無罪とした。


卿と共に二人の貴族籍の者と、一人の庶子が同じように賜死となった。

リジィンを含む捕縛された庶子らは、貴族らと共に牢にいれられた後、厳しい地域へと移送された。



10年、労働者として従事した後は解放されるとの事。


貴族籍は剥奪されているので、解放された所で厳しい事に変わりはない。


恨みを抱いて、スティーヴンに報復を考える者も居るかも知れない。


「「「「そんな奴がいたらプチ決定」」」」


スティーヴン夫妻と、国王、ジャンセンが声を合わせる。


報復を考える者が現れた所で、ナニも起こらなそうだ。







「………とまあ、こんな感じにまとまったワケだな。」


「ほう…こんな感じスか。」


ジャンセンからの報告を受けながら、ほうと頷くディアーナは森の中、川の近くで昼食中で、カレーが入った皿を持っている。


「みんなが、それなりに幸せそうならいいわよ。
サイモンも過去を忘れて元気そうだし、カレーも美味しいし。
お米どうしようかと思っていたけど、殿下の機転に万歳だわ!」



創造神界でカレーを完成させたスティーヴンは、何にも無いけど望めば現れる世界で、ディアーナ嬢の…いや、ディアーナ嬢の前世、カヅキと呼ばれた少女の居た世界でのカレーに欠かせない物を幾つも所望し、ライスを導き出した。



最後に



「私に作らせなくても、この世界で華麗が食べたいと望めば良かったのでは?」



と、スティーヴンに言われたが、無理を承知で作らせてみたかったのだ。

スティーヴンオリジナルカレーを!


次はスティーヴン軒ラーメンを頼もうと思っている。


「親父、それより気になる事があるんだが…」


カレー皿を持ち、スプーンでジャンセンを指すレオンハルトが尋ねる。


「あの、乙女ゲームってスティーヴン、サイモンの他にも攻略対象居たよな?
もう、断罪シーンから2年は経ってるワケだし大丈夫とは思っているが…また、ややこしい縁「えにし」を作ってないだろうな。」


「………………ええ、大丈夫よ…多分…。」


ジャンセンはミァに変わり、汗をだらだら垂らしている。


「師匠……ミァちゃん?えー加減にしときなさいよ?鼻の穴にカレー突っ込むわよ?」


ミァはスカートを翻し、フワリと浮かぶと「えへ」と笑う。


「何かヘンな事に、なっちゃったらゴメンね!!」


舌を出し、ウインクをしたミァは、そのまま姿を消した。


「「バカーーーっ!!!」」


カレーを持ったまま、ジャンセンの消えた空間に向かって叫ぶ二人。



「まぁ…誰が、どんな風に現れた所で渡すつもりはない…ディアーナ…。」


レオンハルトが皿を地面に置き、ディアーナを背後から包むように抱き締める。


「……レオンハルトが私を渡さない…と言うよりは、
私がレオンハルトを取られないようにしないと…かもね。
基本、主人公はオフィーリアで、攻略対象はオフィーリアと結ばれるんだし。…ね?癒しの聖女オフィーリアさん。」


ディアーナはニヤリと笑ってレオンハルトを見る。

攻略対象の男性達と、レオンハルトを巡って恋敵となるディアーナ。

それはそれで、楽しそうだと。


「勘弁してくれ……。」


レオンハルトは頭を抱える。

ディアーナは笑う。



「私のレオンハルトですもの、誰にも絶対に渡さないから大丈夫よ!!!」



深く愛し合う二人の間には誰も入れない。


物理的に割り込んでくるジャンセン以外は……。




━━━終━━━

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