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第一章【悪役令嬢ディアーナに転生】
7#殿下…
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「まあ、俺の存在は極一部の王族とかしか知らない訳だから…馬の骨とか言われても仕方ないんだけどさ。うーん…。」
侯爵の拘束を解いたレオンハルトは思案顔になり、暫し顎に指の背を当て考え込む。
「別に極秘事項って訳でもないし、言っちゃうか!
俺、あんたらが崇める創造主とか言う神さんの息子でね、この世界の歪みとか破損した箇所を直して旅してんの。
ほら瘴気とかのせいで災害あったり病気が蔓延ったり、魔物出たりするじゃん?
あれ、原因の瘴気は俺しか浄化出来ないから。
俺が浄化しないと、世界が滅びちゃうんだよな!あはは!」
サラっと軽く言ってのけるレオンハルトにざわつくホール内。
「御子様!!それは世界各国の王しか知らぬ極秘事項です!
貴方様の存在は、遥か昔より各国の頂点の者だけに伝えられ、代々隠すように言われているのです!」
王が真っ青な顔をして慌てると、そんな王を見た回りの貴族達も聞いてはならぬ事を聞いてしまったとおろおろしだす。
一方レオンハルトは、さして気にする様子も無く。
「あ、そうなんだ?でも言っちゃったな……
じゃあ、ここに居る人だけ限定って事で!
もし、この場に居ない他の誰かに俺の正体がバレたら…
バラしたヤツはプチって事で!」
指先で小さな虫をにじり潰すような仕草を見せニッコリ頬笑む超絶イケメンのレオンハルト。しかしチャラい。
そんな神の御子とやらの軽い口調で語られる重い内容に、皆が固まった。
そんな中、ずっとレオンハルトに抱き寄せられている私は……
レオンハルトの身体を押しやるように離し、上背のある彼を見上げ質問を投げ掛ける。
「あなた様の事は分かりましたわ、畏れ多くも神に名を連ねるレオンハルト様……
ですが貴方様がおっしゃる、わたくしが聖女であるというのが理解出来ませんの。」
オフィーリアの立場でゲームをしていた私としては、聖女は主人公のオフィーリアだ。
少し離れた場所で同じ疑問を持つスティーヴンも答えを待っているように顔を上げている。
「ああ、それはな神に愛され神を愛した乙女が聖女になるからだよ!
まぁ俺は神ではないんだけど神の一族で、親父は神だしな!
だから、そんな俺と君が愛し合えば、君が聖女になる。」
愛し合えば…でしょう?愛し合える気がしない…。
「じゃぁ…オフィーリアはなぜ自分を聖女だと…言って…」
ぶつぶつと青ざめたスティーヴンが呟く声を拾ったレオンハルトは、ふんぞり返って偉そうに言った。
「俺は自分が聖女だなんて言ってないだろ!
オフィーリアで『聖女の魂を感じますの』って言ったら、お前が『君の中に聖女の魂が?君は癒しの聖女なのか』とか勝手に言い出しただけだろうが!」
やめたげて!
スティーヴン殿下、人前で自作の愛のポエムを音読されているような顔になってるから!
魂が口から出てきてるから!
もうこれ以上、傷口えぐらないであげて!
「胃だけでなく頭も痛くなってきたな…。
それで御子様は、聖女になり得る可能性のあるディアーナ嬢を連れて旅を続けたいと…。」
王が深い溜息と共に呟き、畏れ敬うのも少しばかり馬鹿馬鹿しくなったのか主賓席に戻り、やれやれと椅子に腰掛けた。
「では、創造主の御子レオンハルト様……あなた様を疑っている訳ではないが、我が息子もディアーナ嬢の護衛として旅に同行させて貰いたい。」
「あ゛?何だと?」
国王の提案にレオンハルトの眉がピクリと動き、今までで一番不愉快そうな顔をする。
「婚姻前の令嬢に何かあってはな…まして、我が息子の元婚約者ともなれば、スティーヴンにも責任をとって貰わねばならぬしの。」
王がニヤニヤと笑みながらレオンハルトを見る。
人の身でありながら神の一族の旅に同行出来るなど、これ程光栄な事は無い。
スティーヴン王太子にも、この国にも箔が付く。
「…このクソ狸め…。」
目尻に青筋を立てながら、口元にひきつった笑みを浮かべたレオンハルトだったが、やがて諦めたように腰に手を当て溜息をついた。
「分かったよ、ならディアーナは連れてくからな、王子サマは勝手に着いて来い。」
「はぁあ!?」
いえ、私分かりたくありません。
なぜ私を無視して話が進んでますの?
殿下も、良い笑顔をしないでいただきたい。
自分を散々馬鹿にした男と旅をするなんて…無理でしょう?
「光栄です!!神の御子様の旅に同行させて頂き、未熟な自分を鍛え直します!」
ああ、そう言えば殿下ってば思い込み激しいタイプでした…。
侯爵の拘束を解いたレオンハルトは思案顔になり、暫し顎に指の背を当て考え込む。
「別に極秘事項って訳でもないし、言っちゃうか!
俺、あんたらが崇める創造主とか言う神さんの息子でね、この世界の歪みとか破損した箇所を直して旅してんの。
ほら瘴気とかのせいで災害あったり病気が蔓延ったり、魔物出たりするじゃん?
あれ、原因の瘴気は俺しか浄化出来ないから。
俺が浄化しないと、世界が滅びちゃうんだよな!あはは!」
サラっと軽く言ってのけるレオンハルトにざわつくホール内。
「御子様!!それは世界各国の王しか知らぬ極秘事項です!
貴方様の存在は、遥か昔より各国の頂点の者だけに伝えられ、代々隠すように言われているのです!」
王が真っ青な顔をして慌てると、そんな王を見た回りの貴族達も聞いてはならぬ事を聞いてしまったとおろおろしだす。
一方レオンハルトは、さして気にする様子も無く。
「あ、そうなんだ?でも言っちゃったな……
じゃあ、ここに居る人だけ限定って事で!
もし、この場に居ない他の誰かに俺の正体がバレたら…
バラしたヤツはプチって事で!」
指先で小さな虫をにじり潰すような仕草を見せニッコリ頬笑む超絶イケメンのレオンハルト。しかしチャラい。
そんな神の御子とやらの軽い口調で語られる重い内容に、皆が固まった。
そんな中、ずっとレオンハルトに抱き寄せられている私は……
レオンハルトの身体を押しやるように離し、上背のある彼を見上げ質問を投げ掛ける。
「あなた様の事は分かりましたわ、畏れ多くも神に名を連ねるレオンハルト様……
ですが貴方様がおっしゃる、わたくしが聖女であるというのが理解出来ませんの。」
オフィーリアの立場でゲームをしていた私としては、聖女は主人公のオフィーリアだ。
少し離れた場所で同じ疑問を持つスティーヴンも答えを待っているように顔を上げている。
「ああ、それはな神に愛され神を愛した乙女が聖女になるからだよ!
まぁ俺は神ではないんだけど神の一族で、親父は神だしな!
だから、そんな俺と君が愛し合えば、君が聖女になる。」
愛し合えば…でしょう?愛し合える気がしない…。
「じゃぁ…オフィーリアはなぜ自分を聖女だと…言って…」
ぶつぶつと青ざめたスティーヴンが呟く声を拾ったレオンハルトは、ふんぞり返って偉そうに言った。
「俺は自分が聖女だなんて言ってないだろ!
オフィーリアで『聖女の魂を感じますの』って言ったら、お前が『君の中に聖女の魂が?君は癒しの聖女なのか』とか勝手に言い出しただけだろうが!」
やめたげて!
スティーヴン殿下、人前で自作の愛のポエムを音読されているような顔になってるから!
魂が口から出てきてるから!
もうこれ以上、傷口えぐらないであげて!
「胃だけでなく頭も痛くなってきたな…。
それで御子様は、聖女になり得る可能性のあるディアーナ嬢を連れて旅を続けたいと…。」
王が深い溜息と共に呟き、畏れ敬うのも少しばかり馬鹿馬鹿しくなったのか主賓席に戻り、やれやれと椅子に腰掛けた。
「では、創造主の御子レオンハルト様……あなた様を疑っている訳ではないが、我が息子もディアーナ嬢の護衛として旅に同行させて貰いたい。」
「あ゛?何だと?」
国王の提案にレオンハルトの眉がピクリと動き、今までで一番不愉快そうな顔をする。
「婚姻前の令嬢に何かあってはな…まして、我が息子の元婚約者ともなれば、スティーヴンにも責任をとって貰わねばならぬしの。」
王がニヤニヤと笑みながらレオンハルトを見る。
人の身でありながら神の一族の旅に同行出来るなど、これ程光栄な事は無い。
スティーヴン王太子にも、この国にも箔が付く。
「…このクソ狸め…。」
目尻に青筋を立てながら、口元にひきつった笑みを浮かべたレオンハルトだったが、やがて諦めたように腰に手を当て溜息をついた。
「分かったよ、ならディアーナは連れてくからな、王子サマは勝手に着いて来い。」
「はぁあ!?」
いえ、私分かりたくありません。
なぜ私を無視して話が進んでますの?
殿下も、良い笑顔をしないでいただきたい。
自分を散々馬鹿にした男と旅をするなんて…無理でしょう?
「光栄です!!神の御子様の旅に同行させて頂き、未熟な自分を鍛え直します!」
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