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第一章【悪役令嬢ディアーナに転生】
5# 何だか申し訳ございません
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「お前は誰だ!オフィーリアをどこへやった!」
レオンハルトと名乗る青年を指差し、青ざめた表情で大声をあげるスティーヴンは、速足でこちらの方へ近付いて来る。
「俺が誰かなんて、お前に関係無いだろ?
それにオフィーリアなんて女は最初っから何処にもいやしないんだよ、王子サマ。」
レオンハルトという名の旅の剣士とやらはディアーナの手をとったまま立上がり、面倒そうに大きな溜息をつく。
「俺はディアーナ嬢に逢う為だけに、ここに居る。」
スティーヴン殿下の質問への答えになってません。
それに、一介の旅の剣士が王族に対し、かなり不敬。
わたくしは今回の断罪では被害者の筈なのに、何だか王子に対して申し訳無く、いたたまれなくなる。
だって、さっきまで二人愛を囁き合う関係だったのでは?
わたくしが殿下から元オフィーリアを奪い取った感じになってません?
「あ、言っとくけどオフィーリアの姿も、甘い会話も全て俺の幻覚魔法だから!」
トドメを刺すようにさらり暴露するレオンハルト。
殿下があまりにも不憫!!
「その方は、何者だ!どうやってこの場に現れた!」
魂抜けかけている息子に替わってか、国王陛下の怒気を含んだ声がホールに響く。
陛下の声に、剣を構えた衛兵達がレオンハルトとわたくしを囲む。
「どうやってって…オフィーリアをこの場にエスコートしたのは、あんたの息子じゃないか。」
勝手に侵入したんじゃないよ?的な、人を馬鹿にしたような表情でレオンハルトがスティーヴンを顎で指す。
レオンハルトの不遜な態度に、激昂した王が命令を下した。
「無礼な!その者を捕らえよ!」
取り囲んだ衛兵達がジリジリと距離を詰め寄ろうとする中でレオンハルトは私を庇うように抱き寄せた。
わたくし、巻添え!?
衛兵に捕らえられる様な事はしてないんだけど!
レオンハルトは焦る様子も無く、ニッと不敵な笑みを溢した。
「王よ、俺は勇者だ……と言っても分からないか、修復人と言えば分かるか?」
━━勇者?このゲームに勇者なんて居たっけ?
聖女なら居るらしいけど……
て言うか修復人の方が意味が分からんわ!修理屋さんか?━━
彼の腕の中から、私を抱き寄せる彼の顔を見上げる。
レオンハルトは揺るぎ無い信念を持っているかのような強い眼差しを王に向け、その眼差しを受けた王もまた、畏怖にも似た眼差しを此方に向けている。
「…!!修復……創造主の御子……此度の戯れは一体……。」
主賓席の椅子から立上がった王が、自らの脚でレオンハルトの前に赴く。
ダンスフロアを埋めつくす人達が海が割れるように王とレオンハルトの間に道を作った。
レオンハルトと名乗る青年を指差し、青ざめた表情で大声をあげるスティーヴンは、速足でこちらの方へ近付いて来る。
「俺が誰かなんて、お前に関係無いだろ?
それにオフィーリアなんて女は最初っから何処にもいやしないんだよ、王子サマ。」
レオンハルトという名の旅の剣士とやらはディアーナの手をとったまま立上がり、面倒そうに大きな溜息をつく。
「俺はディアーナ嬢に逢う為だけに、ここに居る。」
スティーヴン殿下の質問への答えになってません。
それに、一介の旅の剣士が王族に対し、かなり不敬。
わたくしは今回の断罪では被害者の筈なのに、何だか王子に対して申し訳無く、いたたまれなくなる。
だって、さっきまで二人愛を囁き合う関係だったのでは?
わたくしが殿下から元オフィーリアを奪い取った感じになってません?
「あ、言っとくけどオフィーリアの姿も、甘い会話も全て俺の幻覚魔法だから!」
トドメを刺すようにさらり暴露するレオンハルト。
殿下があまりにも不憫!!
「その方は、何者だ!どうやってこの場に現れた!」
魂抜けかけている息子に替わってか、国王陛下の怒気を含んだ声がホールに響く。
陛下の声に、剣を構えた衛兵達がレオンハルトとわたくしを囲む。
「どうやってって…オフィーリアをこの場にエスコートしたのは、あんたの息子じゃないか。」
勝手に侵入したんじゃないよ?的な、人を馬鹿にしたような表情でレオンハルトがスティーヴンを顎で指す。
レオンハルトの不遜な態度に、激昂した王が命令を下した。
「無礼な!その者を捕らえよ!」
取り囲んだ衛兵達がジリジリと距離を詰め寄ろうとする中でレオンハルトは私を庇うように抱き寄せた。
わたくし、巻添え!?
衛兵に捕らえられる様な事はしてないんだけど!
レオンハルトは焦る様子も無く、ニッと不敵な笑みを溢した。
「王よ、俺は勇者だ……と言っても分からないか、修復人と言えば分かるか?」
━━勇者?このゲームに勇者なんて居たっけ?
聖女なら居るらしいけど……
て言うか修復人の方が意味が分からんわ!修理屋さんか?━━
彼の腕の中から、私を抱き寄せる彼の顔を見上げる。
レオンハルトは揺るぎ無い信念を持っているかのような強い眼差しを王に向け、その眼差しを受けた王もまた、畏怖にも似た眼差しを此方に向けている。
「…!!修復……創造主の御子……此度の戯れは一体……。」
主賓席の椅子から立上がった王が、自らの脚でレオンハルトの前に赴く。
ダンスフロアを埋めつくす人達が海が割れるように王とレオンハルトの間に道を作った。
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