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第一章【悪役令嬢ディアーナに転生】
3# 国外追放にならなかったけど旅に出ました
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国を出た私は、舗装されてない道を行く乗り合い馬車の荷台に乗っていた。
侯爵令嬢であった時に使っていた座席のある豪華な馬車とは違い、木で出来た荷台に幌が掛かっているだけの簡素なものだ。
当然座席なんてものも無く、他の乗客達や荷物と共に地べたに座るような感じだ。
私はドレス姿でなく、丈夫ではあるが質素な見た目の動きやすい服装に長いブーツ姿、旅人仕様である。
令嬢として生きてきた中では初めての格好だ。
ゲーム通りの令嬢ディアーナなら、金切声を上げて文句を言うだろうが…
今の私には別に服装なんてどうでも良いのだ……。
「ディアーナ、そこは揺れがひどいからこっちにおいで。」
金色の長い髪を下の方で緩く纏めた美しい青年が言う。
「…お静かになさって、わたくしは今考え事をしておりますの。」
「ディアーナ嬢、私の外套を貸すからこちらに来て腰の下に敷くと良い。」
なぜか旅人の出で立ちで、同じ乗り合い馬車に乗っているスティーヴン王子が言った。
「…殿下…お黙りになって…わたくしは今、考え事をし……」
わたくしの言葉を遮るように、金色の髪の青年が言う。
「尻、痛くなるだろう?揺れがひどいから俺の膝においでってば!」
「黙れ!!!!」
私は声を上げるのを我慢出来なかった。
どうしてこうなった……。
侯爵令嬢であった時に使っていた座席のある豪華な馬車とは違い、木で出来た荷台に幌が掛かっているだけの簡素なものだ。
当然座席なんてものも無く、他の乗客達や荷物と共に地べたに座るような感じだ。
私はドレス姿でなく、丈夫ではあるが質素な見た目の動きやすい服装に長いブーツ姿、旅人仕様である。
令嬢として生きてきた中では初めての格好だ。
ゲーム通りの令嬢ディアーナなら、金切声を上げて文句を言うだろうが…
今の私には別に服装なんてどうでも良いのだ……。
「ディアーナ、そこは揺れがひどいからこっちにおいで。」
金色の長い髪を下の方で緩く纏めた美しい青年が言う。
「…お静かになさって、わたくしは今考え事をしておりますの。」
「ディアーナ嬢、私の外套を貸すからこちらに来て腰の下に敷くと良い。」
なぜか旅人の出で立ちで、同じ乗り合い馬車に乗っているスティーヴン王子が言った。
「…殿下…お黙りになって…わたくしは今、考え事をし……」
わたくしの言葉を遮るように、金色の髪の青年が言う。
「尻、痛くなるだろう?揺れがひどいから俺の膝においでってば!」
「黙れ!!!!」
私は声を上げるのを我慢出来なかった。
どうしてこうなった……。
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