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Another Story(2025)4話
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「いゃ…!イヤだっ…!もう…!やめてくれ!…」
行為そのものより、肉体的な快楽に堕ちて理性を手放してしまう事に恐怖を覚えたガインは自我を保とうと抗い続ける。
身体の中心を満たす肉欲の塊に嫌悪感は無く、それが愛しい者達のものであるならば身震いする程の心地良さを感じるのも少なからずある。
だが義理とは言え父親と息子が交わるなどといった背徳的な行為をガインは受け入れる事が出来ない。
自身を解放し、息子達に貫かれて悦び痴態を見せる父親の姿という醜態を晒す事は………
たとえ、もう父親ではないと…見限られた後だとしても。
「あああっ!院長、そんな悲しそうな顔しないで!
泣かないで院長、可哀想!可哀想で可愛くて…!
俺、ハメてコスるのが止まんない!」
ガインの狭い筒の中をフォーンの長い管が出入りする、ジュッポジュッポと空気を孕んだ音が食堂に響く。
ガインは抽挿の度に小さく「うっ」と呻く様な声をあげるが、制止の声も善がる声も出なくなっていた。
嵐が過ぎ去るのを待つのと同様に、意味の分からないまま続くこの行為が終わるのをただ虚ろな表情をして待つ。
「院長ー!感じてるでしょ?
もっとさっきまでみたいにアンアンって可愛くてやらしい声聞かせてよー!」
「お前が下手なんじゃないのかフォーン。」
カーキはフォーンをからかう台詞を吐いたがテーブルの上でほぼ無反応になったガインに目をやり、キリアンに向けて呟いた。
「殻に閉じ籠もったな。
院長の事だ、俺達を責める事も出来ずに自分が全て悪いんだとか自責の念に囚われてしまったようだ。」
「ふふ、感じる必要の無い罪悪感に苛まれているみたいだしね。自分から父親である事を捨てたって言ったのに、まだ父親であろうとするから……」
キリアンはテーブルの上で置物の様に無反応になりつつあるガインの頬をそっと撫で、耳元に唇を運び囁いた。
「あのね…ガイン…ガインが俺達に親離れしろって言うより先に、俺達はとっくに親離れしていたよ。
ガインをね、父親として見れなくなっていた。
父親である事を見限ったワケじゃなく…その枠で収まりきらなくなったと言うか………
もっと深く繋がりたいって思った。分かる?」
「…………………?」
天井を見上げていたガインが首を傾け、虚ろに宙を彷徨っていた目線をキリアンに向ける。
にわかには信じがたい告白は、すぐには理解が及ばずに大きな反応は見せない。
「それが俺達3人とも院長に対して同じ感情をいだいていると知り誰もがその想いを譲れなかった。
院長、あんたが俺達を多額の負債から守る為に奴隷に身を落とすと考えていた事も俺達のあんたへの想いをより強くし、俺達は同じ想いを共有する事にした。
愛するあんたを手離したくたくないと。」
カーキはガインの手を取り指先に口付け、ガインの爪先に軽く歯立て指先を噛んだ。
戸惑う表情のガインの身体が思わずビクッと強張る。
「父親の役を自ら捨ててまで愛する俺達の為に奴隷に身を落としたガイン…
ガインが奴隷となった今、俺達が愛するガインを買っても良いだろう?再び家族になる為に。」
「そうそう、もうお父さんしなくていいよ院長、かと言って奴隷として扱うつもりもなくて!
これからは家族、そう、俺達のお嫁さん!」
「嫁!?ナニ馬鹿な事を言ってやがる!!」
虚ろだったガインの目に生気が宿った。
ガインはカーキに取られた手を拳に変えて振り払い、その拳でダン!とテーブルを叩いて大きな声で怒鳴り散らした。
「ふざけるのも大概にしろ!!」
「ふざけてないし、馬鹿な事じゃないよガイン。
これは俺達が決めて準備に取り掛かり、数年掛けて今日やっと実現した、俺達が描いた最高の未来なんだ。
剣士になり実績を上げ騎士となり、資金を貯め、貴族とのコネを作り…まぁ多少は汚いやり方もしたけど、ガインの爵位も取り戻して売り払われた邸も買い戻した。
正直な所、俺達が奔走してる間にガインが居なくなってるとは思わなかったけど…まぁ、ガインの行方なんて簡単に知れたから焦りはしなかったけどね。
これからも俺達は家族のままだよ。父親でなくていい。
ガインが納得する形で良いから、俺達の大切なこの邸で、俺達に愛され続けるガインで居て。」
激昂するガインに微笑みながら平然と返すキリアンは、ガインの唇にフワリと花びらを乗せる様な口付けをした。
「愛しているよガイン。だからガインも俺達を受け入れてうんと愛して?」
キリアンの柔らかな口付けはガインの脳裏に花びらが舞い、水の上に落ち波紋を拡げる様なイメージを一瞬で湧かせた。
それは何かを壊し、胸の内側に燻っていた感情を解放させる心象を表しているかの様で。
頑なに守ろうとした常識と言う名の枷を外し、理性と言う名の箍を外せば、こんなにも楽になれる━━
そう自身を解き放つ引き鉄となった。
「うっわ、ナニ、急に中が………あ、何かスゴイ!
息を吹き返したみたいな!ジュワッて潤って!!
なにコレ、さっきまでより気持ちいい!」
フォーンがググッと腰を前に出しては大きく引き、その行程を何度も繰り返す。
キュウキュウと段階を置いて締め付けてくる内側の肉壁を突き進むフォーンの雄茎は最奥にて、搾られるかの様に強く握り締められた。
「あっ…!ぅ…あっ!あぁッ!ンあぁあッ!」
「ちょ…!!いきなりそんな、スゴイ締め付け…!
ダメだって!で、出るッ!」
ビクッビクッとわななく様に震えながら精を放出するガインの内側で、フォーンは意図せぬままに絶頂を迎えさせられた。
ショックを受け「ウソだぁ」と呟きながら肩で大きく息をするフォーンの肩に手を掛けたキリアンがニコリと微笑む。
「交代。」
「えっ!ちょ、納得いかない!もう一回…!
せめて、もう少し余韻に浸らせ……あああっ!」
キリアンに肩をグィッと強く引っ張られたフォーンの長い楔がガインから引き抜かれた。
「ひどい!」と不満を漏らすフォーンに替わってガインの脚間に来たキリアンは、白濁を纏いトロトロになったガインの馬首と双珠を持ち上げ蜜口を覗く。
ガインの後孔はまだ収縮の途中で、柔くなった窪みの中央からフォーンの出した白濁液を垂らしながらヒクヒクと物欲しげに誘う様に蠢いていた。
「やらしくて美味しそう…ガイン、俺達は若いからね…それに、今まで我慢していた分の情慾が有り余ってる。
これから先、たくさん愛してあげるから全て受け止めてね。」
ヒクヒクと蠢く孔のヒダに、キリアンがニチュと雄根の頭を当てる。
クチクチと入り口のヒダをめくる様に切っ先を挿れ、そのままヌプンと全ての幹をガインの中に収めた。
「ふぁぁっッ!」
「ガイン、たくさん愛してあげる…もう父親の顔なんて取り繕わなくていいよ、ガインはガインのままで全てを曝け出して俺達に見せて。」
グプゥと楔を引き抜かかけ、グチュンと根元まで楔をうずめる。
その行為が繰り返され、内側から滲み出る飛沫を飛ばしながらガインの蜜壺はチュッコチュッコと卑猥な水音を響かせた。
「ああっ…!あっ!い、…気持ちいい…!中ッ…そこ、いい!」
「どこ?ここ?」
「そこぉ!!いい、いい!はっ…はぅ…き、気持ちいい…すご…!すごぃイイ!」
上気して来たガインの顔からは険が取れ、乙女が恥じらう様に赤く染まりながらも淫婦の様に甘く蕩けて歪む。
かなぐり捨てた理性の殻の中から出て来た、初めて見る淫らなガインの姿にフォーンがゴクリと生唾を飲んだ。
「院長、俺まだコスリ足りなかったんだーだから院長のオクチで慰めて。」
フォーンはテーブルに乗り、萎え掛けた自身の茎の根元を持ちガインの口の前に運んだ。
無意識にか、ガインの唇が僅かに開きフォーンの性器の先端を咥内に迎え入れる。
「ほう…躊躇無しにか。」
感心する様に呟いたカーキの前で、ガインの唇がフォーンの雄茎の頭を咥え、たどたどしく舌先でチルチルと鈴口を舐め始めた。
「あ、やばー…院長の口も気持ちいい。
ね、もっと深く咥え込んで飴玉みたいにしゃぶってよ」
ガインは返事をせず、それでも口を開きフォーン自身を深く咥え込み舌を絡ませ始めた。
ガインの中心に巨樹を穿った状態でそれを見ていたキリアンはほくそ笑む。
「ガイン、いい子だね…そうやって俺達が与える愛を全て受け入れて、もっと俺達を識ってね。
そうしたら俺達も、もっとガインを気持ち良くしてあげる。」
キリアンはガインの片足を担ぐ様に持ち上げて角度をつけ、ガインが好いと言った腹の裏側をノックする様に叩き始めた。
テーブルから左半身が浮いたガインは、フォーンを咥えたままで唇の端に粘ついた白い泡を溜めながら大きな身体をクネらせ、呻く声にも似た嬌声を上げる。
「うぅ…ンん…ン……ぅ」
快楽を享受する事を受け入れたのか、甘さと色気を帯びた蕩けそうなガインの表情に、3人共が同時にゾクっと身震いをした。
「これは予想以上だな……可愛いだのキレイだの…
そんな事を思うより先に、ただただ美味そうだとしか…喰らい尽くしたくなる色気だ。」
カーキはテーブルに乗るとフォーンの竿を咥えたガインの口の上に、自身の雄茎をヌウッと乗せるように出した。
フォーンが「は!?今、俺がして貰ってんのに!?」と不満一杯の表情を見せるが、ガインはフォーンの茎を口から出し、左右から出されたカーキの茎の頭とフォーンの茎の頭を交互に舐め始めた。
「なにソレ、二本同時にしゃぶるの!?エッロ!」
「優劣付けずに平等に……と言うよりは快楽に貪欲なんだな院長。
堅物なあんたが、そんなタイプだとは思いもしなかったが…最高だよ。」
「じゃあ、頭の部分は可愛いオクチで慰めて貰ってー、茎の部分は手でコスって慰めてー………」
「んく…!…あ!あ!ひゃ…ふぁ!あ!あ!ああ!」
ガインが2人の茎の頭から唇を離し、開いた口から唾液と精液に塗れた舌先を覗かせながら抑えきれないと声を上げ始めた。
「ガインの大好きな熱いのを中にいっぱい出してあげるよ、だからガインも一緒に気持ちいい処にイこうね。」
ニッとほくそ笑むキリアンの楔が連打するかの様にジュブブブとガインの蜜孔を出入りし、絶頂を促しガインを激しく追い上げる。
食堂に響くジョブジョブと卑猥な結合音に合わせガインは泣きそうな上擦った声で喘ぎ、テーブルの上でのたうつ様に巨躯を何度もバウンドさせた。
「イくっ…もう!もう!また出るッ出ちまうぅ!」
「イっていいよ、俺もまたガインの中に……ッ」
打ち止めとばかりにキリアンはグンッと腰を大きく突き出しガインの最奥を突き上げて中に精を放った。
ガインは身体を大きくのけ反らせ、キリアンに担がれた足の爪先をキュウっと丸めさせた。
「あ!あ!熱い…気持ちぃ…イく!出る!でっ……!」
ガインの馬首の口から栓を抜かれた瞬間の様に、ドピュッと白濁液が勢い良く飛び出す。
目尻に涙を滲ませつつ恍惚とした表情で辺りに精を撒き散らしたガインは、痙攣した様にヒクヒクと小刻みに震えながらクタリと気をやり、キリアンと繋がったそのまま意識を失った。
「ちょ…!気を失ったよ院長!すんごいエロい顔して!」
「あー……色々あり過ぎて頭の中が混乱したのだろう。
キリアンとの性交で絶頂を迎えて、思考に限界が来たみたいだな。」
「まだまだ可愛がってあげるつもりだったけど、無理をさせ過ぎるのもね…。
まぁ、これからは毎日好きなだけ…愛し合えるワケだから。」
クスクスと満足げに微笑むキリアンに不服そうな顔を向けるフォーンだったが、全身汗ばんだ状態でテーブルに横たわるガインを見て「そうだね」と頷く。
「これからも家族として、俺達がたくさん愛してあげるよ…ガイン。」
・
・
「ガイン様、お久しぶりでございます。
旅に出られたと聞いておりましたが、お戻りになられたのですね!」
邸の庭園に立ち、大門近くで綺麗に調えられた庭を懐かしむ様に眺めていたガインが不意に声を掛けられ、ゆっくりとそちらに目を向けた。
大門の前の道にガインと同じ年頃の中年の男が立っており、ガインに頭を下げ挨拶をした。
男には、かつて邸に勤めていた老執事の面影があり、ガインは「ああ」と、男が亡くなった執事の息子である事に気付いた。
挨拶を交わして他愛もない話をしていると、生前の父を思い出したのか男がしんみりと呟いた。
「父が亡くなる直前までガイン様の事を心配しておりました…孤児院の運営や資産の事、伯爵家の存続などについても、もっとお役に立てたならばと…」
男の話を聞きながらガインは軽く頭を掻いて苦笑を漏らした。
「いや…見ての通り、孤児院は廃業した。
頼りになる息子達に俺の後を引き継いでもらい、これからは伯爵家として国に仕えるつもりだ。
まぁ…俺は隠居したので息子達が、な。」
「院長!読書の時間!」
邸から庭先に出た場所を飾る鮮やかな花のアーチの前から、ガインの方に向けキリアンとカーキ、フォーンが並んでおり、フォーンが手を振りながらガインに声を掛けた。
孤児であったキリアン達の話を父から聞いていたであろう男は、キリアン達の洗練された貴族の青年らしい佇まいに感心した表情を見せた。
「おう、今行く。
……ははは、まだ院長って呼ばれてるんだ。
近い内、息子達と共に父君の墓前に花を手向けに行くよ。」
ガインは自ら説明をしてから男に向かい軽く手を上げ挨拶とし、その場を離れた。
3人が立つ花のアーチをくぐり邸に入りドアを締める。
ガインはその場でキリアンから深い口付けを受けた。
「ガイン…妬くから俺達以外の誰かと仲良さそうに話したりしないでよ。」
「妬くって……あれは孤児院に居た執事の息子だ、お前らも執事の爺さんには世話になったろ?」
「爺さんには世話になったが、キリアンだけでなく俺も妬く。
あんたには俺達だけ見ていて欲しい。」
「今、痴話喧嘩なんかしなくていいじゃん!
は、や、く!」
フォーンに急かされ4人は書庫に向かう。
整然と多くの本が並べられた書庫で、読書家のキリアンはよく本を読む。
玉座の如く肘掛け付きの椅子にゆったりと座するキリアンの前に膝をつき、足の間に顔を運んだガインは舌の上にキリアン自身を乗せ上唇を被せる様に咥内に迎え入れる。
ガインは読書中のキリアンの性器を舌先と口で慰めるのが常となった。
キリアンに奉仕するため椅子の前に膝をつき、後方に尻を突き出したガインのトラウザーズが静かに降ろされる。
剥き出しになった双丘の谷間をフォーンの指先が上下に行き来し、やがてクプンと真ん中の窪みに指が沈められた。
「ンッ…」
口淫の最中に詰まった声を出したガインは目線を後方に向けフォーンを見た。
ガインの視線に気付いたフォーンは指を抜き、ニッと微笑むとガインの淫孔に雄根を捩じ込む。
「ンンッ…!クプゥ…!」
「院長、おねだり上手なんだから!指じゃ物足りないって催促されちゃ…!突っ込むしかないよね!で、俺の次はカーキ?」
四つん這いになったガインの大きな臀部を叩く様に腰を打ち付けながらフォーンがカーキに訊ねれば、カーキは首を傾けてから緩く振り、バチュバチュ音を立て尻孔でフォーンの雄根を食むガインを見て残念そうに溜め息をついた。
「俺は今から仕事で城の兵舎に向かわなくてはならん。
が……今夜は俺が院長を独占する番だからな、朝まで存分に戴くさ。
夜に使い物にならなくなるほど壊さないでくれよ?」
身支度を整えドアに向かうカーキにキリアンとフォーンが微笑しながら見送った。
カーキが部屋を出てドアが閉まるとキリアンは読んでいた本を閉じ、キリアン自身を深く咥え込んだガインを見下ろして頭を撫でた。
「善処はするつもりだけれど難しいかもね。
何しろガインの全てが美味で……若い俺達は滾る欲望のままに貪るのを止められなくなる。」
頭を撫でていた手でガインの後頭部を掴んで押さえつけ、キリアンは激しく腰を前後に動かしガインの咥内に溢れ出す程の精を吐き出した。
「ッッぷぁ……!ケホッ…ゲホッ…」
「上の口でも、ちゃんと飲み干してねガイン。
フォーンの次は、俺がガインの子宮の中を掻き回してあげる。」
「下の口がクッチョクッチョやらしい咀嚼音出して、俺のを美味そうに食ってんの最高。
カーキに譲る前に、もう数回突っ込みたいよね。
あ、出る…院長のスケベ孔の外にもぶっ掛けたい!」
「んあぁあ!あ!あ!奥が…!ひぁ…!あ!い、イ…!」
グッと一瞬身体を強張らせたフォーンはガインの蜜孔の奥に精液を放ちながらズルっと雄根を抜き、塞がり切ってないガインの秘部に残滓をビュクッと飛ばした。
下半身だけ剥き出しの半裸状態のガインは白濁液に塗れた姿で脱力しガクリと顔と肩を床に付け、精液まみれの尻だけ上げた格好になった。
ガインはハァハァと大きく呼吸をしながら、高く上げた臀部に手をやり、白濁を纏いヒクつく蜜口を指先でクニュと開いて見せた。
「次……キリアン、ほら……早く俺の中に来い……。」
ガインは週に3回、一人に独占された夜を明かす。
決められたその晩以外はいつ、どこででも3人を受け入れる様になった。
今のガインの表情には不安や不満を匂わす僅かな憂いも感じられない。
我が身が置かれた状況を悲観する事も無く、ガインは今を本当に幸せだと思っている。
自身を縛っていた常識という枷を外し、全てを受け入れ箍を外せば、息子として愛しいと思っていた者達と前以上に深い繋がりを持って愛を分かち合える様になった。
今はもうそれが当然の様に幸せだと感じる。
毎夜の様に息子達と交わる行為が、神の教義に背く事だとしても。
「キリアンもカーキもフォーンも…愛してる。
この先もずっと俺の中を…心も身体もお前達で満たしてくれ…」
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「………言うまでもないと思うのだけれど。
これは、めでたしめでたしで終わる様な話しじゃないわ。」
「………でも、ガインも最後は納得して受け入れてくれたし。
毎年、何か悲壮感漂う夢が多かったじゃない?
今年はみんな幸せムードで丸く収まったとゆーか……。」
皇帝であるキリアンは、闘技場に設けられた王族専用の貴賓席に腰掛け、新年の催しとして恒例行事である御前試合を観覧していた。
そんなポーズを取っていた。
キリアンはガイン以外の試合にはほとんど興味が無い。
御前試合とは所詮は新春のお祭りイベントであり、騎士や剣士達が皇帝に自分を売り込む場でもあるのだが、最終的には毎年ガインが一人勝ちしてしまうので、あまり真剣に見てはいない。
なので試合を見ているポーズを取りつつ、専属侍女であるミーシャだけを側に置き、これまた毎年恒例行事の2人だけの初夢暴露大会を開いているのである。
「和姦だからとか言わないでね。
最初は結局、強姦じみた事やってるし…って言うか、今年は去年の初夢の別バージョンなのね。」
ミーシャは汗臭い男共のムンムンむれむれな試合には興味が無いのだが、本日の御前試合の審判は許婚者のノーザンがやっているため、時折闘技場に目を向けては互いの視線を合わせて、「うむ」と小さく頷いていた。
「色気無いなぁ…頑張ってって、もっと派手に手を振ってやれば?
そうしたらノーザン喜ぶだろ。」
「審判を応援してどうすんのよ。周りも引くしノーザン様も困るでしょ。
それより……困ってるのよねぇ……
カーキとフォーンの初夢無断出演については諦めてるし、今更文句も無いのだけれど…。
今、あの2人の出る『王国騎士物語』の続編を書いて欲しいって言われてるのよね……。
あまりにも、お兄ちゃんの夢でエロ出演され過ぎて、私の作った彼らの性格設定が分かんなくなっちゃって。」
「アハハハ、エロくなっちゃった?」
困り顔で頬に手を当てたミーシャは、恨めしそうにキリアンを睨んだ。
幼馴染の王女への恋心を隠したまま成長した2人の青年は、親友であり恋敵でもある。
恋焦がれても手の届かない身分違いの恋に苦しみ、互いに相手に向ける羨望と嫉妬、それでも友情という名の強い絆で結ばれた2人…そんなキャラだった。
ミーシャの代表作、王国騎士物語……これは性的な要素のまったく無い純愛だったハズ。
「………駄目だわ、王女が脳内でパパに変換された時点でエロ展開しか浮かばない……。」
「それは今、俺の話を聞いたばかりだからだよ。
時間が空けば大丈夫だって。
あ、もう決勝戦か。ガインの出番だな。」
キリアンは席を立ち、バルコニーの様な造りの貴賓席の前に進むと手摺りに手を掛け観客席や闘技場の舞台に向け手を上げた。
新年早々に眩いばかりに美しい皇帝の姿を見た観衆がワアッと声を上げる。
騎士服に身を包み大剣を手に颯爽と舞台に現れたガインは貴賓席の方を向き、皇帝のキリアンに対して騎士の礼を取った。
距離もあり群衆の歓声に掻き消されて互いの声は届かないが、キリアンはガインに向けゆっくりと口を動かした。
━━昨夜のガインは素敵だったよ。
今夜もたっぷりと可愛がってあげるから勝っておいで。
愛してるよ、ガイン━━
遠く離れた舞台の上で、キリアンの口の動きを読んだのかガインの顔がボッと火が点いたように赤くなった。
キリアンの隣でキリアンの唇の動きを読んでしまったミーシャの顔は白けたように白くなった。
見事な紅白状態。
「昨夜散々ハメまくって、夢の中でもハメまくって…
で、今夜もハメ倒すのね。呆れたわ。」
と言いつつも、隣のキリアンのガインに向ける愛に満ちた優しい眼差しと、照れと恥ずかしさから顔を真っ赤にしつつもチラチラと何度もキリアンを見るガインの眼差しを見れば、ミーシャは文句を言う気にもならず。
「はいはい、愛し合ってますからってね。
キリお兄ちゃん、私もう行くわよ。」
ガインの方に意識を集中させており聞こえてないだろうキリアンの背に声だけ掛け、ミーシャは貴賓席を後にした。
「試合が終わったら私もノーザン様を部屋に連れ込んでイチャイチャしようかしら。
……本来のカーキとフォーンの性格、私の作品の愛読者であるノーザン様なら教えてくれそう。」
自分達にはまだまだ性的なイチャイチャとやらが難しいなと思いながら、ミーシャはノーザンを迎えに向かった。
後書き
今年も読んで下さり、ありがとうございます!
行為そのものより、肉体的な快楽に堕ちて理性を手放してしまう事に恐怖を覚えたガインは自我を保とうと抗い続ける。
身体の中心を満たす肉欲の塊に嫌悪感は無く、それが愛しい者達のものであるならば身震いする程の心地良さを感じるのも少なからずある。
だが義理とは言え父親と息子が交わるなどといった背徳的な行為をガインは受け入れる事が出来ない。
自身を解放し、息子達に貫かれて悦び痴態を見せる父親の姿という醜態を晒す事は………
たとえ、もう父親ではないと…見限られた後だとしても。
「あああっ!院長、そんな悲しそうな顔しないで!
泣かないで院長、可哀想!可哀想で可愛くて…!
俺、ハメてコスるのが止まんない!」
ガインの狭い筒の中をフォーンの長い管が出入りする、ジュッポジュッポと空気を孕んだ音が食堂に響く。
ガインは抽挿の度に小さく「うっ」と呻く様な声をあげるが、制止の声も善がる声も出なくなっていた。
嵐が過ぎ去るのを待つのと同様に、意味の分からないまま続くこの行為が終わるのをただ虚ろな表情をして待つ。
「院長ー!感じてるでしょ?
もっとさっきまでみたいにアンアンって可愛くてやらしい声聞かせてよー!」
「お前が下手なんじゃないのかフォーン。」
カーキはフォーンをからかう台詞を吐いたがテーブルの上でほぼ無反応になったガインに目をやり、キリアンに向けて呟いた。
「殻に閉じ籠もったな。
院長の事だ、俺達を責める事も出来ずに自分が全て悪いんだとか自責の念に囚われてしまったようだ。」
「ふふ、感じる必要の無い罪悪感に苛まれているみたいだしね。自分から父親である事を捨てたって言ったのに、まだ父親であろうとするから……」
キリアンはテーブルの上で置物の様に無反応になりつつあるガインの頬をそっと撫で、耳元に唇を運び囁いた。
「あのね…ガイン…ガインが俺達に親離れしろって言うより先に、俺達はとっくに親離れしていたよ。
ガインをね、父親として見れなくなっていた。
父親である事を見限ったワケじゃなく…その枠で収まりきらなくなったと言うか………
もっと深く繋がりたいって思った。分かる?」
「…………………?」
天井を見上げていたガインが首を傾け、虚ろに宙を彷徨っていた目線をキリアンに向ける。
にわかには信じがたい告白は、すぐには理解が及ばずに大きな反応は見せない。
「それが俺達3人とも院長に対して同じ感情をいだいていると知り誰もがその想いを譲れなかった。
院長、あんたが俺達を多額の負債から守る為に奴隷に身を落とすと考えていた事も俺達のあんたへの想いをより強くし、俺達は同じ想いを共有する事にした。
愛するあんたを手離したくたくないと。」
カーキはガインの手を取り指先に口付け、ガインの爪先に軽く歯立て指先を噛んだ。
戸惑う表情のガインの身体が思わずビクッと強張る。
「父親の役を自ら捨ててまで愛する俺達の為に奴隷に身を落としたガイン…
ガインが奴隷となった今、俺達が愛するガインを買っても良いだろう?再び家族になる為に。」
「そうそう、もうお父さんしなくていいよ院長、かと言って奴隷として扱うつもりもなくて!
これからは家族、そう、俺達のお嫁さん!」
「嫁!?ナニ馬鹿な事を言ってやがる!!」
虚ろだったガインの目に生気が宿った。
ガインはカーキに取られた手を拳に変えて振り払い、その拳でダン!とテーブルを叩いて大きな声で怒鳴り散らした。
「ふざけるのも大概にしろ!!」
「ふざけてないし、馬鹿な事じゃないよガイン。
これは俺達が決めて準備に取り掛かり、数年掛けて今日やっと実現した、俺達が描いた最高の未来なんだ。
剣士になり実績を上げ騎士となり、資金を貯め、貴族とのコネを作り…まぁ多少は汚いやり方もしたけど、ガインの爵位も取り戻して売り払われた邸も買い戻した。
正直な所、俺達が奔走してる間にガインが居なくなってるとは思わなかったけど…まぁ、ガインの行方なんて簡単に知れたから焦りはしなかったけどね。
これからも俺達は家族のままだよ。父親でなくていい。
ガインが納得する形で良いから、俺達の大切なこの邸で、俺達に愛され続けるガインで居て。」
激昂するガインに微笑みながら平然と返すキリアンは、ガインの唇にフワリと花びらを乗せる様な口付けをした。
「愛しているよガイン。だからガインも俺達を受け入れてうんと愛して?」
キリアンの柔らかな口付けはガインの脳裏に花びらが舞い、水の上に落ち波紋を拡げる様なイメージを一瞬で湧かせた。
それは何かを壊し、胸の内側に燻っていた感情を解放させる心象を表しているかの様で。
頑なに守ろうとした常識と言う名の枷を外し、理性と言う名の箍を外せば、こんなにも楽になれる━━
そう自身を解き放つ引き鉄となった。
「うっわ、ナニ、急に中が………あ、何かスゴイ!
息を吹き返したみたいな!ジュワッて潤って!!
なにコレ、さっきまでより気持ちいい!」
フォーンがググッと腰を前に出しては大きく引き、その行程を何度も繰り返す。
キュウキュウと段階を置いて締め付けてくる内側の肉壁を突き進むフォーンの雄茎は最奥にて、搾られるかの様に強く握り締められた。
「あっ…!ぅ…あっ!あぁッ!ンあぁあッ!」
「ちょ…!!いきなりそんな、スゴイ締め付け…!
ダメだって!で、出るッ!」
ビクッビクッとわななく様に震えながら精を放出するガインの内側で、フォーンは意図せぬままに絶頂を迎えさせられた。
ショックを受け「ウソだぁ」と呟きながら肩で大きく息をするフォーンの肩に手を掛けたキリアンがニコリと微笑む。
「交代。」
「えっ!ちょ、納得いかない!もう一回…!
せめて、もう少し余韻に浸らせ……あああっ!」
キリアンに肩をグィッと強く引っ張られたフォーンの長い楔がガインから引き抜かれた。
「ひどい!」と不満を漏らすフォーンに替わってガインの脚間に来たキリアンは、白濁を纏いトロトロになったガインの馬首と双珠を持ち上げ蜜口を覗く。
ガインの後孔はまだ収縮の途中で、柔くなった窪みの中央からフォーンの出した白濁液を垂らしながらヒクヒクと物欲しげに誘う様に蠢いていた。
「やらしくて美味しそう…ガイン、俺達は若いからね…それに、今まで我慢していた分の情慾が有り余ってる。
これから先、たくさん愛してあげるから全て受け止めてね。」
ヒクヒクと蠢く孔のヒダに、キリアンがニチュと雄根の頭を当てる。
クチクチと入り口のヒダをめくる様に切っ先を挿れ、そのままヌプンと全ての幹をガインの中に収めた。
「ふぁぁっッ!」
「ガイン、たくさん愛してあげる…もう父親の顔なんて取り繕わなくていいよ、ガインはガインのままで全てを曝け出して俺達に見せて。」
グプゥと楔を引き抜かかけ、グチュンと根元まで楔をうずめる。
その行為が繰り返され、内側から滲み出る飛沫を飛ばしながらガインの蜜壺はチュッコチュッコと卑猥な水音を響かせた。
「ああっ…!あっ!い、…気持ちいい…!中ッ…そこ、いい!」
「どこ?ここ?」
「そこぉ!!いい、いい!はっ…はぅ…き、気持ちいい…すご…!すごぃイイ!」
上気して来たガインの顔からは険が取れ、乙女が恥じらう様に赤く染まりながらも淫婦の様に甘く蕩けて歪む。
かなぐり捨てた理性の殻の中から出て来た、初めて見る淫らなガインの姿にフォーンがゴクリと生唾を飲んだ。
「院長、俺まだコスリ足りなかったんだーだから院長のオクチで慰めて。」
フォーンはテーブルに乗り、萎え掛けた自身の茎の根元を持ちガインの口の前に運んだ。
無意識にか、ガインの唇が僅かに開きフォーンの性器の先端を咥内に迎え入れる。
「ほう…躊躇無しにか。」
感心する様に呟いたカーキの前で、ガインの唇がフォーンの雄茎の頭を咥え、たどたどしく舌先でチルチルと鈴口を舐め始めた。
「あ、やばー…院長の口も気持ちいい。
ね、もっと深く咥え込んで飴玉みたいにしゃぶってよ」
ガインは返事をせず、それでも口を開きフォーン自身を深く咥え込み舌を絡ませ始めた。
ガインの中心に巨樹を穿った状態でそれを見ていたキリアンはほくそ笑む。
「ガイン、いい子だね…そうやって俺達が与える愛を全て受け入れて、もっと俺達を識ってね。
そうしたら俺達も、もっとガインを気持ち良くしてあげる。」
キリアンはガインの片足を担ぐ様に持ち上げて角度をつけ、ガインが好いと言った腹の裏側をノックする様に叩き始めた。
テーブルから左半身が浮いたガインは、フォーンを咥えたままで唇の端に粘ついた白い泡を溜めながら大きな身体をクネらせ、呻く声にも似た嬌声を上げる。
「うぅ…ンん…ン……ぅ」
快楽を享受する事を受け入れたのか、甘さと色気を帯びた蕩けそうなガインの表情に、3人共が同時にゾクっと身震いをした。
「これは予想以上だな……可愛いだのキレイだの…
そんな事を思うより先に、ただただ美味そうだとしか…喰らい尽くしたくなる色気だ。」
カーキはテーブルに乗るとフォーンの竿を咥えたガインの口の上に、自身の雄茎をヌウッと乗せるように出した。
フォーンが「は!?今、俺がして貰ってんのに!?」と不満一杯の表情を見せるが、ガインはフォーンの茎を口から出し、左右から出されたカーキの茎の頭とフォーンの茎の頭を交互に舐め始めた。
「なにソレ、二本同時にしゃぶるの!?エッロ!」
「優劣付けずに平等に……と言うよりは快楽に貪欲なんだな院長。
堅物なあんたが、そんなタイプだとは思いもしなかったが…最高だよ。」
「じゃあ、頭の部分は可愛いオクチで慰めて貰ってー、茎の部分は手でコスって慰めてー………」
「んく…!…あ!あ!ひゃ…ふぁ!あ!あ!ああ!」
ガインが2人の茎の頭から唇を離し、開いた口から唾液と精液に塗れた舌先を覗かせながら抑えきれないと声を上げ始めた。
「ガインの大好きな熱いのを中にいっぱい出してあげるよ、だからガインも一緒に気持ちいい処にイこうね。」
ニッとほくそ笑むキリアンの楔が連打するかの様にジュブブブとガインの蜜孔を出入りし、絶頂を促しガインを激しく追い上げる。
食堂に響くジョブジョブと卑猥な結合音に合わせガインは泣きそうな上擦った声で喘ぎ、テーブルの上でのたうつ様に巨躯を何度もバウンドさせた。
「イくっ…もう!もう!また出るッ出ちまうぅ!」
「イっていいよ、俺もまたガインの中に……ッ」
打ち止めとばかりにキリアンはグンッと腰を大きく突き出しガインの最奥を突き上げて中に精を放った。
ガインは身体を大きくのけ反らせ、キリアンに担がれた足の爪先をキュウっと丸めさせた。
「あ!あ!熱い…気持ちぃ…イく!出る!でっ……!」
ガインの馬首の口から栓を抜かれた瞬間の様に、ドピュッと白濁液が勢い良く飛び出す。
目尻に涙を滲ませつつ恍惚とした表情で辺りに精を撒き散らしたガインは、痙攣した様にヒクヒクと小刻みに震えながらクタリと気をやり、キリアンと繋がったそのまま意識を失った。
「ちょ…!気を失ったよ院長!すんごいエロい顔して!」
「あー……色々あり過ぎて頭の中が混乱したのだろう。
キリアンとの性交で絶頂を迎えて、思考に限界が来たみたいだな。」
「まだまだ可愛がってあげるつもりだったけど、無理をさせ過ぎるのもね…。
まぁ、これからは毎日好きなだけ…愛し合えるワケだから。」
クスクスと満足げに微笑むキリアンに不服そうな顔を向けるフォーンだったが、全身汗ばんだ状態でテーブルに横たわるガインを見て「そうだね」と頷く。
「これからも家族として、俺達がたくさん愛してあげるよ…ガイン。」
・
・
「ガイン様、お久しぶりでございます。
旅に出られたと聞いておりましたが、お戻りになられたのですね!」
邸の庭園に立ち、大門近くで綺麗に調えられた庭を懐かしむ様に眺めていたガインが不意に声を掛けられ、ゆっくりとそちらに目を向けた。
大門の前の道にガインと同じ年頃の中年の男が立っており、ガインに頭を下げ挨拶をした。
男には、かつて邸に勤めていた老執事の面影があり、ガインは「ああ」と、男が亡くなった執事の息子である事に気付いた。
挨拶を交わして他愛もない話をしていると、生前の父を思い出したのか男がしんみりと呟いた。
「父が亡くなる直前までガイン様の事を心配しておりました…孤児院の運営や資産の事、伯爵家の存続などについても、もっとお役に立てたならばと…」
男の話を聞きながらガインは軽く頭を掻いて苦笑を漏らした。
「いや…見ての通り、孤児院は廃業した。
頼りになる息子達に俺の後を引き継いでもらい、これからは伯爵家として国に仕えるつもりだ。
まぁ…俺は隠居したので息子達が、な。」
「院長!読書の時間!」
邸から庭先に出た場所を飾る鮮やかな花のアーチの前から、ガインの方に向けキリアンとカーキ、フォーンが並んでおり、フォーンが手を振りながらガインに声を掛けた。
孤児であったキリアン達の話を父から聞いていたであろう男は、キリアン達の洗練された貴族の青年らしい佇まいに感心した表情を見せた。
「おう、今行く。
……ははは、まだ院長って呼ばれてるんだ。
近い内、息子達と共に父君の墓前に花を手向けに行くよ。」
ガインは自ら説明をしてから男に向かい軽く手を上げ挨拶とし、その場を離れた。
3人が立つ花のアーチをくぐり邸に入りドアを締める。
ガインはその場でキリアンから深い口付けを受けた。
「ガイン…妬くから俺達以外の誰かと仲良さそうに話したりしないでよ。」
「妬くって……あれは孤児院に居た執事の息子だ、お前らも執事の爺さんには世話になったろ?」
「爺さんには世話になったが、キリアンだけでなく俺も妬く。
あんたには俺達だけ見ていて欲しい。」
「今、痴話喧嘩なんかしなくていいじゃん!
は、や、く!」
フォーンに急かされ4人は書庫に向かう。
整然と多くの本が並べられた書庫で、読書家のキリアンはよく本を読む。
玉座の如く肘掛け付きの椅子にゆったりと座するキリアンの前に膝をつき、足の間に顔を運んだガインは舌の上にキリアン自身を乗せ上唇を被せる様に咥内に迎え入れる。
ガインは読書中のキリアンの性器を舌先と口で慰めるのが常となった。
キリアンに奉仕するため椅子の前に膝をつき、後方に尻を突き出したガインのトラウザーズが静かに降ろされる。
剥き出しになった双丘の谷間をフォーンの指先が上下に行き来し、やがてクプンと真ん中の窪みに指が沈められた。
「ンッ…」
口淫の最中に詰まった声を出したガインは目線を後方に向けフォーンを見た。
ガインの視線に気付いたフォーンは指を抜き、ニッと微笑むとガインの淫孔に雄根を捩じ込む。
「ンンッ…!クプゥ…!」
「院長、おねだり上手なんだから!指じゃ物足りないって催促されちゃ…!突っ込むしかないよね!で、俺の次はカーキ?」
四つん這いになったガインの大きな臀部を叩く様に腰を打ち付けながらフォーンがカーキに訊ねれば、カーキは首を傾けてから緩く振り、バチュバチュ音を立て尻孔でフォーンの雄根を食むガインを見て残念そうに溜め息をついた。
「俺は今から仕事で城の兵舎に向かわなくてはならん。
が……今夜は俺が院長を独占する番だからな、朝まで存分に戴くさ。
夜に使い物にならなくなるほど壊さないでくれよ?」
身支度を整えドアに向かうカーキにキリアンとフォーンが微笑しながら見送った。
カーキが部屋を出てドアが閉まるとキリアンは読んでいた本を閉じ、キリアン自身を深く咥え込んだガインを見下ろして頭を撫でた。
「善処はするつもりだけれど難しいかもね。
何しろガインの全てが美味で……若い俺達は滾る欲望のままに貪るのを止められなくなる。」
頭を撫でていた手でガインの後頭部を掴んで押さえつけ、キリアンは激しく腰を前後に動かしガインの咥内に溢れ出す程の精を吐き出した。
「ッッぷぁ……!ケホッ…ゲホッ…」
「上の口でも、ちゃんと飲み干してねガイン。
フォーンの次は、俺がガインの子宮の中を掻き回してあげる。」
「下の口がクッチョクッチョやらしい咀嚼音出して、俺のを美味そうに食ってんの最高。
カーキに譲る前に、もう数回突っ込みたいよね。
あ、出る…院長のスケベ孔の外にもぶっ掛けたい!」
「んあぁあ!あ!あ!奥が…!ひぁ…!あ!い、イ…!」
グッと一瞬身体を強張らせたフォーンはガインの蜜孔の奥に精液を放ちながらズルっと雄根を抜き、塞がり切ってないガインの秘部に残滓をビュクッと飛ばした。
下半身だけ剥き出しの半裸状態のガインは白濁液に塗れた姿で脱力しガクリと顔と肩を床に付け、精液まみれの尻だけ上げた格好になった。
ガインはハァハァと大きく呼吸をしながら、高く上げた臀部に手をやり、白濁を纏いヒクつく蜜口を指先でクニュと開いて見せた。
「次……キリアン、ほら……早く俺の中に来い……。」
ガインは週に3回、一人に独占された夜を明かす。
決められたその晩以外はいつ、どこででも3人を受け入れる様になった。
今のガインの表情には不安や不満を匂わす僅かな憂いも感じられない。
我が身が置かれた状況を悲観する事も無く、ガインは今を本当に幸せだと思っている。
自身を縛っていた常識という枷を外し、全てを受け入れ箍を外せば、息子として愛しいと思っていた者達と前以上に深い繋がりを持って愛を分かち合える様になった。
今はもうそれが当然の様に幸せだと感じる。
毎夜の様に息子達と交わる行為が、神の教義に背く事だとしても。
「キリアンもカーキもフォーンも…愛してる。
この先もずっと俺の中を…心も身体もお前達で満たしてくれ…」
▼
▼
▼
「………言うまでもないと思うのだけれど。
これは、めでたしめでたしで終わる様な話しじゃないわ。」
「………でも、ガインも最後は納得して受け入れてくれたし。
毎年、何か悲壮感漂う夢が多かったじゃない?
今年はみんな幸せムードで丸く収まったとゆーか……。」
皇帝であるキリアンは、闘技場に設けられた王族専用の貴賓席に腰掛け、新年の催しとして恒例行事である御前試合を観覧していた。
そんなポーズを取っていた。
キリアンはガイン以外の試合にはほとんど興味が無い。
御前試合とは所詮は新春のお祭りイベントであり、騎士や剣士達が皇帝に自分を売り込む場でもあるのだが、最終的には毎年ガインが一人勝ちしてしまうので、あまり真剣に見てはいない。
なので試合を見ているポーズを取りつつ、専属侍女であるミーシャだけを側に置き、これまた毎年恒例行事の2人だけの初夢暴露大会を開いているのである。
「和姦だからとか言わないでね。
最初は結局、強姦じみた事やってるし…って言うか、今年は去年の初夢の別バージョンなのね。」
ミーシャは汗臭い男共のムンムンむれむれな試合には興味が無いのだが、本日の御前試合の審判は許婚者のノーザンがやっているため、時折闘技場に目を向けては互いの視線を合わせて、「うむ」と小さく頷いていた。
「色気無いなぁ…頑張ってって、もっと派手に手を振ってやれば?
そうしたらノーザン喜ぶだろ。」
「審判を応援してどうすんのよ。周りも引くしノーザン様も困るでしょ。
それより……困ってるのよねぇ……
カーキとフォーンの初夢無断出演については諦めてるし、今更文句も無いのだけれど…。
今、あの2人の出る『王国騎士物語』の続編を書いて欲しいって言われてるのよね……。
あまりにも、お兄ちゃんの夢でエロ出演され過ぎて、私の作った彼らの性格設定が分かんなくなっちゃって。」
「アハハハ、エロくなっちゃった?」
困り顔で頬に手を当てたミーシャは、恨めしそうにキリアンを睨んだ。
幼馴染の王女への恋心を隠したまま成長した2人の青年は、親友であり恋敵でもある。
恋焦がれても手の届かない身分違いの恋に苦しみ、互いに相手に向ける羨望と嫉妬、それでも友情という名の強い絆で結ばれた2人…そんなキャラだった。
ミーシャの代表作、王国騎士物語……これは性的な要素のまったく無い純愛だったハズ。
「………駄目だわ、王女が脳内でパパに変換された時点でエロ展開しか浮かばない……。」
「それは今、俺の話を聞いたばかりだからだよ。
時間が空けば大丈夫だって。
あ、もう決勝戦か。ガインの出番だな。」
キリアンは席を立ち、バルコニーの様な造りの貴賓席の前に進むと手摺りに手を掛け観客席や闘技場の舞台に向け手を上げた。
新年早々に眩いばかりに美しい皇帝の姿を見た観衆がワアッと声を上げる。
騎士服に身を包み大剣を手に颯爽と舞台に現れたガインは貴賓席の方を向き、皇帝のキリアンに対して騎士の礼を取った。
距離もあり群衆の歓声に掻き消されて互いの声は届かないが、キリアンはガインに向けゆっくりと口を動かした。
━━昨夜のガインは素敵だったよ。
今夜もたっぷりと可愛がってあげるから勝っておいで。
愛してるよ、ガイン━━
遠く離れた舞台の上で、キリアンの口の動きを読んだのかガインの顔がボッと火が点いたように赤くなった。
キリアンの隣でキリアンの唇の動きを読んでしまったミーシャの顔は白けたように白くなった。
見事な紅白状態。
「昨夜散々ハメまくって、夢の中でもハメまくって…
で、今夜もハメ倒すのね。呆れたわ。」
と言いつつも、隣のキリアンのガインに向ける愛に満ちた優しい眼差しと、照れと恥ずかしさから顔を真っ赤にしつつもチラチラと何度もキリアンを見るガインの眼差しを見れば、ミーシャは文句を言う気にもならず。
「はいはい、愛し合ってますからってね。
キリお兄ちゃん、私もう行くわよ。」
ガインの方に意識を集中させており聞こえてないだろうキリアンの背に声だけ掛け、ミーシャは貴賓席を後にした。
「試合が終わったら私もノーザン様を部屋に連れ込んでイチャイチャしようかしら。
……本来のカーキとフォーンの性格、私の作品の愛読者であるノーザン様なら教えてくれそう。」
自分達にはまだまだ性的なイチャイチャとやらが難しいなと思いながら、ミーシャはノーザンを迎えに向かった。
後書き
今年も読んで下さり、ありがとうございます!
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