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大海に沈み行く方舟。
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夕方が近くなり、ガインはカーキとフォーンにより貴賓室から連れ出された。
全裸のまま首輪に付いた鎖を引かれ、貴賓室から玉座の間に連行されていく間、城内にて誰ともすれ違う事も無く玉座の間に着いた。
あんなに多くの人が居た筈のこの巨城から、人の気配がほぼ消えてしまっている。
城の中を歩く侍女や使用人、兵士、誰ひとり城内の廊下を歩く者が居らず、城の中は閑散としていた。
玉座の間の中央、歴代皇帝が座した豪華な玉座の前にキリアンが立っている。
ガインは玉座の前に立たされ、裸のまま玉座に座らせられた。
「待て!やめろ!!こんな俺が玉座を穢すなど…!!
んグッ!!うおっ…!…ッあああっ!!」
両腕が背もたれの後ろに回され鎖で繋がれた。
両足が左右に大きく開かれて肘掛けに乗せられる。
大股を開いた腰を前に引き寄せられ晒されたばかりの秘孔の窄みが、玉座の前に立つキリアンの杭により無理矢理抉じ開けられた。
「そう吠えるな、ガイン…。
代々、この場に座してきた亡き先王達に不敬であろう?」
「んん……!!や、この場だけは……嫌だ!!
神聖なる歴代皇帝陛下の座を穢したくない……!勘弁してくれ!」
身体を強張らせたガインの窄まった狭い入口が、半分程飲み込んだキリアンを拒む様に更にきつく結ばれる。
「……たかが椅子だ。先王の霊魂?そんなもの在りはしない。
目の前に俺が居るのに、こんな物に意識を捉われるなど…
許しがたい。」
塞がれた幕を破る勢いで、グボッと最奥まで楔を穿たれる。
王衣を身に纏ったままのキリアンが、玉座に深く沈むガインに覆いかぶさる様に影を落とし、薄暗く陰になった場所でキリアンの顔がガインに近付いた。
「ふぐあァっ!あっ!あぁっ!や、やだ…嫌だ!!」
「さすがは忠義に厚いガインとでも言うべきか…。
男共に、その身を犯されるよりも玉座を穢す方が辛いとはな。
そう、泣くな…愛しているぞ。私のガイン。」
涙で顔を汚し、眉尻を下げて首をゆるゆると振るガインの頬を掴み顔を上げさせ、キリアンが唇を重ねる。
ガインの顔がキリアンの唇から逃れようと傾けられるのを許さず食む様に深く唇を重ねられ、ガインの腔内をキリアンの舌先が犯す様に蹂躙する。
歯列の裏側をなぞり、舌の裏側、舌根の筋を叩き、上顎を突く。
呼吸が続かずガインにクラリと目眩が起こる。
「や…んぐぅうっ!!」
「ふっ…上の口も下の口も、素晴らしい。ガイン。
……私のガイン……。」
唾液の糸を引いて離したガインの唇を、キリアンの舌先が舐める。
その間も絶え間なく抽挿は続けられ、柔くなったガインの後孔からはクッチュクッチュと小気味良い粘着質の音が奏でられていた。
「あふぁっ……や、キリアン……も、やめてくれ……」
「ガインのメスの孔はやめて欲しいとは言っていない。
もっともっとと、聞こえるが?」
ズルルっと引き抜き掛けた竿が、再びバチュンと根元まで深く埋められる。
互いの体毛が絡む程に肌を密着した状態で、グリグリと腰を擦り付けられ、雄茎の頭でトントンと最奥を叩かれる。
「さあ、存分に私を味わうがいい。ガイン。」
「ひぐぅっ!!や…やっ……!!ううっ!!」
入口から楔が出入りする音をクチュクチュと響かせながら、グッグッと腹底を突き上げられ、やがて胎内に熱の波がドッと押し寄せる。
その溢れんばかりの熱の波に圧される様に、ガインの性器の先端からキリアンの王衣の胸元に向けて、ビュルっと白濁液が飛んだ。
「ああ、可愛い私のガイン……ふふ……」
胸を汚したガインの精液を手の平で掬い上げ、満足げに笑んでヌルぅと見せつける様に舐める。
脱力し切ったガインは玉座の上で両腕を上げ両足を大きく開いたまま、身動きが取れなくなっていた。
深く埋められていた茎が抜かれ、ガインの孔からキリアンの立つ位置までボタボタと軌跡の様に床に一直線のシミが出来る。
「陛下、夕食の準備が整ったので食堂へとの事です。」
フォーンがキリアンに言い、その間にカーキが背もたれの後ろで拘束されたガインの手首を解放した。
「そうか。では、食堂へ向かうとするか……。
ガイン、激しい情欲を持つ若い男を喰らう準備をしておけよ?」
グッタリした身体を両脇からカーキとフォーンに支えられ項垂れたガインに、キリアンが囁やきほくそ笑む。
ガインは、先日の食堂での事を思い出した。
「…ま、また……あの青年に……?……い、イヤだ…!イヤだ!」
「クック…どうした、随分と幼く愛らしい反応を見せる様になって。」
項垂れたガインの顎先をキリアンが持ち上げて目線を合わせる。
憔悴し切ったガインは感情を偽る事が出来なかった。
無意識にキリアンに見せた顔は全くの素の状態で、口にした言葉も紛うこと無き本心からだ。
「ゆうべは、奴を解放してやれだの何だのとほざいていたが…。
今は我が身の方が可愛いかガイン。
ふふ…それでいい。
ガインが私以外の者の身を案ずるなど……胸糞悪い。」
ガインの訴えは届かず、ガインはキリアンの後を追う様に引き摺られて食堂に向かった。
広い食堂は薄暗く、キリアンが食事をする場所以外は空気が澱み、埃が溜まっている。
食堂の隅に設けられた食後の歓談用の長椅子には、長く使われなかった為に白いシーツが掛けられており、ガインはその場で料理人の青年を受け入れる事を強いられた。
「や、やめろ!!や……!!ンあぁ!!」
「陛下のを食べて来た後ですか?もう既にトロトロになってんじゃないですか。」
ベッドとしても使える大きさの長椅子に仰向けに寝かせられたガインは両腕を頭の上で拘束され、椅子の上で膝立ちしているエントの大腿部の上に開いた下肢を乗せられていた。
開かれた両足の間に在る、大きな性器と双珠を持ち上げられ、その下にある孔が晒されクニィと拡げられる。
「本当に、隊長サンの孔はヤラシイ孔なんですねぇ、食いしん坊だし。」
「ち、違う…!ちが…!くぅぅッ!!あっ…あっ!」
拡げられた後孔に指先が埋め込まれる。
中に残った液体を掻き出す様に、先を緩く曲げたエントの指がガインの孔を出入りし始めた。
チュプチュプと音が鳴り、尻の谷間を生ぬるい液体が流れ落ちる。
「ヒクヒクしてますよ、隊長サンの孔が。
タレ流しっ放しの孔に蓋をしてあげますね。」
指が抜かれ、すぐに性器の頭が押し当てられる。
クイクイと円を描きネジを回す様にグニィと咥え込まされた雁首は、その後に続く幹部分をズボンッと一気に孔に沈めた。
「ふぐぁあ!!ああっ…!」
「ああ!凄い締め付け…凄く良い具合ですよ、隊長サンの。
じゃあ、動きますよ?」
「ひ、ひぁ!!や、やめろ!動くな……!あああっ!!」
離れた場所で、絡み合う二人を見ながら食卓につくキリアンは黙々と食事を続ける。
空になったキリアンのワイングラスにカーキがワインを注いだ。
「……カーキよ。幾度となく味わったガインを……どう思う?」
ワインを注がれたキリアンが口元にグラスを運び、戯れにカーキに訊ねた。
「さすがは陛下のガイン隊長です。
私如きが味わうのは、身に余るほど素晴らしい物であるかと。」
「私の………か。」
「ええ。ガイン隊長は、キリアン皇帝陛下ただお一人の物で御座います。」
「我々は、陛下の温情により陛下の愛でる物を一時的に下賜されているに過ぎません。
この身に余る栄誉を頂いた我々は……いつ、この命を絶たれても悔いは御座いません。」
キリアンの後ろに控えていたフォーンが、キリアンとカーキの会話に自身の答えを口にする。
「そうか……」
キリアンは遠い目をしてガインを見た。
ガインを見ているのに、その目は遠くを見詰めており、キリアンの目にエントの姿は入ってなかった。
「隊長サン!スゴイよ、ネットリと絡み付いてきて…!
あー!隊長サンのナカがあったかくて、凄く気持ちイイ!」
玩具を与えられ興奮気味にはしゃぐ子供のように、エントは自分本位にガインを貪っていく。
子供が様々な方法で玩具を遊び尽くそうとするように、上げられた足や腕をその場に保つ事も出来ない程に憔悴したガインを前に、エントは責める事を止めなかった。
「う…ンく……あ……ンア……」
ジュゴッジュゴッっと何度も無遠慮に穿たれる楔の縁から白い液体がタラタラと溢れ出す。
抜かず状態で胎内に数回、精液を注がれたガインは自身は絶頂を迎える気力も体力も失い、ただ長椅子の上で凌辱される行為を受動するのみとなっていた。
「ああ…!ああ凄い!!隊長サン!!」
エントが身体を曲げ、ガインの顔に自身の顔を寄せる。
唇が触れる位置に寄せた顔で、エントが呟いた。
「凄い…素晴らしいよ…。アンタは俺のモンだ……。」
▼
▼
▼
気をやったガインが目を覚ました時、自身は貴賓室のベッドに運ばれていた。
身体は綺麗に拭き取られており、貴賓室のベッドシーツも新しい物に交換されていた。
それでも明日の朝には、またカーキとフォーンによって汚される行為が始まる。
既に深夜となった貴賓室の窓硝子の外には高い位置に小さな月が見える。
「……気を失ったのか……。俺とした事が……ハハッ……弱くなったもんだ。」
気をやる寸前、例えようも無く恐ろしい殺気が向けられたのを感じた。
それを確かめる術も無く、ガインは意識を落としてしまったのだが……。
その答えは翌朝になって知る事となった。
翌朝、ガインが囚われた部屋に訪れたのはカーキやフォーンではなくキリアンだった。
「き、キリアン……陛下……。」
ガインの部屋に来たキリアンは椅子に腰掛けて脚を組む。
カーキとフォーンの姿を探して目が泳ぐガインに、キリアンがポツリと呟いた。
「エントという青年。彼をクビにしたんだ。」
「……はぁ……そ、そうなんですか……。」
ガインの中で、もう彼に身体を嬲られる事が無くなった事に僅かに安堵の溜息が漏れた。
だが、それとカーキとフォーンが不在の理由は?
彼等がかわりに食事の仕度をしているとでも?
「ああ。今頃彼はカーキとフォーンによって、首だけにされている。」
「!!!何だと!!」
椅子に腰掛け、脚を組んだキリアンの表情は変わらなかった。
「何でそんな事を!!」
「ガインを自分の物だと言った。その唇に、汚い唇で触れた。
私の所有物を、自分の物だと言ったのだ。
賊以外の何者でもない。」
「こっ…!言葉の綾ってモンだろ!?興奮した成り行きで出た!!
そんなモンで斬首刑って!!今すぐやめさせろ!!
そんなんだったら、カーキやフォーンだってな!!」
言いかけてガインが口をつぐんだ。
二人は、ガインを自分の物だとは言わなかった。
口付けをする事も無かった。
その上で二人は、いつ命を差し出しても良いとキリアンに忠誠を誓っている。
「もう、この国は沈み行く船だ。多くのネズミが死に、そして船から逃げ出した。
もうじき全ての命が無くなり、俺とガインだけが残る。
最期は……ガインに俺の死を見て貰う……。」
「なんでだ!!何で…何でそんな!!!そん……」
━━陛下が私の事を好きだと?
ハッ…馬鹿馬鹿しい。そんなフザけた冗談など、聞きたくありませんよ。
陛下には、この国の為に早々に皇妃を娶って頂き、お世継ぎを育てて頂かないと。
それが、貴方の為であり、この国の為なのですから!━━
「……まさか……」
「俺も、この国も、もう存在する理由が無いからだ。」
▼
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▼
▼
「なんて……なんて悲劇なの!!ひどい……
ひどいわ……キリお兄ちゃん……。」
「ごめん……ミーちゃん……でも、仕方なかったんだ……
俺にはもう…止める事が出来なかった……。」
皇帝陛下の私室、テーブルに向かい合って座るミーシャとキリアンは互いに項垂れ小さく震えていた。
やがて、ミーシャが手の平をバン!とテーブルに叩きつけた。
「そりゃね!!夢を見ちゃったら目を覚まさない限りは、途中で止めたり出来ないわよね!
だからってね、私の新作小説、『新米コック、エントの冒険グルメ旅!』の主人公に、いきなりパパを食わせて処刑って、何なの!?
私の可愛い子供が、いきなりドスケベにされた挙げ句にクビちょん切られるとか!悲劇よ悲劇!!」
「ご、ごめん……俺も何で、こんな夢見たんだか……。」
プリプリと頬を膨らませたミーシャがテーブルをバンバン叩いてキリアンに抗議をする。
キリアンはただ、申し訳無さげに俯いた。
「しかも、ラストシーンの辺り、私のじゃなくて巷で人気の国王と奴隷である敵国の王女の悲恋小説、『大海に沈み行く方舟』のシーンだわね。
色々混ざってんのに……パパがエロい目に遭うのだけはブレてないって……何で?」
「うん…何でかな…。
ちなみに、それらの小説のどれにも、ラブシーンは一切無いよね……。」
エロスの部分の脚色は、全てキリアンの脳内にてされてしまった様だ。
「キリお兄ちゃん、ホントはパパにそーゆーの望んでるとか、無いでしょうね?寝取られとゆーか……。
私、それだけは容認できないわよ。」
「絶対、絶対あり得ない!!
つか、俺以外の誰かがガインに触れるなんて考えただけで……
俺の心臓止まる!ソイツの心臓も止める!」
色んなシチュエーションのガインが見たい余りに、実在しない架空の人物を使い妄想を膨らませたのだろうか…。
「だからって、私の可愛い子供達をオッサン喰いのドスケベ枠で勝手に出演させないようにして欲しいもんだわね。」
「そ、それはホント…ごめん!
俺の脳内脚本家に、そのように伝えておくよ…。」
キリアンの部屋を出たミーシャは、廊下で部屋に戻って来たガインと会った。
「おお、ミーシャ!これ、バネッサから貰ったクッキーだ。
半分やるぞ。
あと半分は陛下に差し上げるからな。レーズンが入ってるから、好きなハズだしな!」
一流の料理人でも無い、兵舎の大衆飯を任されている者が作ったモノを、畏れ多くも皇帝陛下に食べさせると言う。
ガインは良くも悪くも、素であれば自身が信頼する者の身分という垣根を無意識に取っ払ってしまう。
━━そんなパパだから、現実でのパパはキリお兄ちゃんの妄想の中のパパみたいに、キリお兄ちゃんの心を無視した受け答えなんてしなかったんだろうけど……━━
皇帝陛下の忠実な配下として国の為に正しい意見を言うのであれば、夢の中のガインの意見が正しい。
そして実際、その様に言われたとしても、キリアンは傷付くだろうが国を潰す程に心が壊れる様な弱い男ではない。
あくまで大袈裟に脚色された妄想劇ではあるが、キリアンの中でそれ程傷付いたかも知れない心を映像化して消化しているのかも知れない。
「それ、バネッサさんには内緒にした方がいいと思いますわよ。お義父様。
自分の作った菓子が皇帝陛下の御口に入ったなんて知ったら、バネッサさんがビックリしてひっくり返りますから。」
「え?何でだ?」
天然だなぁと思いつつ、ミーシャは貰ったクッキーを手に自室に戻った。
茶を入れて机に置き、隣にクッキーを置いて机についた。
原稿用紙を広げてペンを持つ。
「……今度の主人公は、女性にしよう……毎回、新しい主人公にパパを食わされても困るもの。」
小説家であるミーシャの、新作の方向性が決まった。
━━終━━
◆◆◆迷走したまま終わります
全裸のまま首輪に付いた鎖を引かれ、貴賓室から玉座の間に連行されていく間、城内にて誰ともすれ違う事も無く玉座の間に着いた。
あんなに多くの人が居た筈のこの巨城から、人の気配がほぼ消えてしまっている。
城の中を歩く侍女や使用人、兵士、誰ひとり城内の廊下を歩く者が居らず、城の中は閑散としていた。
玉座の間の中央、歴代皇帝が座した豪華な玉座の前にキリアンが立っている。
ガインは玉座の前に立たされ、裸のまま玉座に座らせられた。
「待て!やめろ!!こんな俺が玉座を穢すなど…!!
んグッ!!うおっ…!…ッあああっ!!」
両腕が背もたれの後ろに回され鎖で繋がれた。
両足が左右に大きく開かれて肘掛けに乗せられる。
大股を開いた腰を前に引き寄せられ晒されたばかりの秘孔の窄みが、玉座の前に立つキリアンの杭により無理矢理抉じ開けられた。
「そう吠えるな、ガイン…。
代々、この場に座してきた亡き先王達に不敬であろう?」
「んん……!!や、この場だけは……嫌だ!!
神聖なる歴代皇帝陛下の座を穢したくない……!勘弁してくれ!」
身体を強張らせたガインの窄まった狭い入口が、半分程飲み込んだキリアンを拒む様に更にきつく結ばれる。
「……たかが椅子だ。先王の霊魂?そんなもの在りはしない。
目の前に俺が居るのに、こんな物に意識を捉われるなど…
許しがたい。」
塞がれた幕を破る勢いで、グボッと最奥まで楔を穿たれる。
王衣を身に纏ったままのキリアンが、玉座に深く沈むガインに覆いかぶさる様に影を落とし、薄暗く陰になった場所でキリアンの顔がガインに近付いた。
「ふぐあァっ!あっ!あぁっ!や、やだ…嫌だ!!」
「さすがは忠義に厚いガインとでも言うべきか…。
男共に、その身を犯されるよりも玉座を穢す方が辛いとはな。
そう、泣くな…愛しているぞ。私のガイン。」
涙で顔を汚し、眉尻を下げて首をゆるゆると振るガインの頬を掴み顔を上げさせ、キリアンが唇を重ねる。
ガインの顔がキリアンの唇から逃れようと傾けられるのを許さず食む様に深く唇を重ねられ、ガインの腔内をキリアンの舌先が犯す様に蹂躙する。
歯列の裏側をなぞり、舌の裏側、舌根の筋を叩き、上顎を突く。
呼吸が続かずガインにクラリと目眩が起こる。
「や…んぐぅうっ!!」
「ふっ…上の口も下の口も、素晴らしい。ガイン。
……私のガイン……。」
唾液の糸を引いて離したガインの唇を、キリアンの舌先が舐める。
その間も絶え間なく抽挿は続けられ、柔くなったガインの後孔からはクッチュクッチュと小気味良い粘着質の音が奏でられていた。
「あふぁっ……や、キリアン……も、やめてくれ……」
「ガインのメスの孔はやめて欲しいとは言っていない。
もっともっとと、聞こえるが?」
ズルルっと引き抜き掛けた竿が、再びバチュンと根元まで深く埋められる。
互いの体毛が絡む程に肌を密着した状態で、グリグリと腰を擦り付けられ、雄茎の頭でトントンと最奥を叩かれる。
「さあ、存分に私を味わうがいい。ガイン。」
「ひぐぅっ!!や…やっ……!!ううっ!!」
入口から楔が出入りする音をクチュクチュと響かせながら、グッグッと腹底を突き上げられ、やがて胎内に熱の波がドッと押し寄せる。
その溢れんばかりの熱の波に圧される様に、ガインの性器の先端からキリアンの王衣の胸元に向けて、ビュルっと白濁液が飛んだ。
「ああ、可愛い私のガイン……ふふ……」
胸を汚したガインの精液を手の平で掬い上げ、満足げに笑んでヌルぅと見せつける様に舐める。
脱力し切ったガインは玉座の上で両腕を上げ両足を大きく開いたまま、身動きが取れなくなっていた。
深く埋められていた茎が抜かれ、ガインの孔からキリアンの立つ位置までボタボタと軌跡の様に床に一直線のシミが出来る。
「陛下、夕食の準備が整ったので食堂へとの事です。」
フォーンがキリアンに言い、その間にカーキが背もたれの後ろで拘束されたガインの手首を解放した。
「そうか。では、食堂へ向かうとするか……。
ガイン、激しい情欲を持つ若い男を喰らう準備をしておけよ?」
グッタリした身体を両脇からカーキとフォーンに支えられ項垂れたガインに、キリアンが囁やきほくそ笑む。
ガインは、先日の食堂での事を思い出した。
「…ま、また……あの青年に……?……い、イヤだ…!イヤだ!」
「クック…どうした、随分と幼く愛らしい反応を見せる様になって。」
項垂れたガインの顎先をキリアンが持ち上げて目線を合わせる。
憔悴し切ったガインは感情を偽る事が出来なかった。
無意識にキリアンに見せた顔は全くの素の状態で、口にした言葉も紛うこと無き本心からだ。
「ゆうべは、奴を解放してやれだの何だのとほざいていたが…。
今は我が身の方が可愛いかガイン。
ふふ…それでいい。
ガインが私以外の者の身を案ずるなど……胸糞悪い。」
ガインの訴えは届かず、ガインはキリアンの後を追う様に引き摺られて食堂に向かった。
広い食堂は薄暗く、キリアンが食事をする場所以外は空気が澱み、埃が溜まっている。
食堂の隅に設けられた食後の歓談用の長椅子には、長く使われなかった為に白いシーツが掛けられており、ガインはその場で料理人の青年を受け入れる事を強いられた。
「や、やめろ!!や……!!ンあぁ!!」
「陛下のを食べて来た後ですか?もう既にトロトロになってんじゃないですか。」
ベッドとしても使える大きさの長椅子に仰向けに寝かせられたガインは両腕を頭の上で拘束され、椅子の上で膝立ちしているエントの大腿部の上に開いた下肢を乗せられていた。
開かれた両足の間に在る、大きな性器と双珠を持ち上げられ、その下にある孔が晒されクニィと拡げられる。
「本当に、隊長サンの孔はヤラシイ孔なんですねぇ、食いしん坊だし。」
「ち、違う…!ちが…!くぅぅッ!!あっ…あっ!」
拡げられた後孔に指先が埋め込まれる。
中に残った液体を掻き出す様に、先を緩く曲げたエントの指がガインの孔を出入りし始めた。
チュプチュプと音が鳴り、尻の谷間を生ぬるい液体が流れ落ちる。
「ヒクヒクしてますよ、隊長サンの孔が。
タレ流しっ放しの孔に蓋をしてあげますね。」
指が抜かれ、すぐに性器の頭が押し当てられる。
クイクイと円を描きネジを回す様にグニィと咥え込まされた雁首は、その後に続く幹部分をズボンッと一気に孔に沈めた。
「ふぐぁあ!!ああっ…!」
「ああ!凄い締め付け…凄く良い具合ですよ、隊長サンの。
じゃあ、動きますよ?」
「ひ、ひぁ!!や、やめろ!動くな……!あああっ!!」
離れた場所で、絡み合う二人を見ながら食卓につくキリアンは黙々と食事を続ける。
空になったキリアンのワイングラスにカーキがワインを注いだ。
「……カーキよ。幾度となく味わったガインを……どう思う?」
ワインを注がれたキリアンが口元にグラスを運び、戯れにカーキに訊ねた。
「さすがは陛下のガイン隊長です。
私如きが味わうのは、身に余るほど素晴らしい物であるかと。」
「私の………か。」
「ええ。ガイン隊長は、キリアン皇帝陛下ただお一人の物で御座います。」
「我々は、陛下の温情により陛下の愛でる物を一時的に下賜されているに過ぎません。
この身に余る栄誉を頂いた我々は……いつ、この命を絶たれても悔いは御座いません。」
キリアンの後ろに控えていたフォーンが、キリアンとカーキの会話に自身の答えを口にする。
「そうか……」
キリアンは遠い目をしてガインを見た。
ガインを見ているのに、その目は遠くを見詰めており、キリアンの目にエントの姿は入ってなかった。
「隊長サン!スゴイよ、ネットリと絡み付いてきて…!
あー!隊長サンのナカがあったかくて、凄く気持ちイイ!」
玩具を与えられ興奮気味にはしゃぐ子供のように、エントは自分本位にガインを貪っていく。
子供が様々な方法で玩具を遊び尽くそうとするように、上げられた足や腕をその場に保つ事も出来ない程に憔悴したガインを前に、エントは責める事を止めなかった。
「う…ンく……あ……ンア……」
ジュゴッジュゴッっと何度も無遠慮に穿たれる楔の縁から白い液体がタラタラと溢れ出す。
抜かず状態で胎内に数回、精液を注がれたガインは自身は絶頂を迎える気力も体力も失い、ただ長椅子の上で凌辱される行為を受動するのみとなっていた。
「ああ…!ああ凄い!!隊長サン!!」
エントが身体を曲げ、ガインの顔に自身の顔を寄せる。
唇が触れる位置に寄せた顔で、エントが呟いた。
「凄い…素晴らしいよ…。アンタは俺のモンだ……。」
▼
▼
▼
気をやったガインが目を覚ました時、自身は貴賓室のベッドに運ばれていた。
身体は綺麗に拭き取られており、貴賓室のベッドシーツも新しい物に交換されていた。
それでも明日の朝には、またカーキとフォーンによって汚される行為が始まる。
既に深夜となった貴賓室の窓硝子の外には高い位置に小さな月が見える。
「……気を失ったのか……。俺とした事が……ハハッ……弱くなったもんだ。」
気をやる寸前、例えようも無く恐ろしい殺気が向けられたのを感じた。
それを確かめる術も無く、ガインは意識を落としてしまったのだが……。
その答えは翌朝になって知る事となった。
翌朝、ガインが囚われた部屋に訪れたのはカーキやフォーンではなくキリアンだった。
「き、キリアン……陛下……。」
ガインの部屋に来たキリアンは椅子に腰掛けて脚を組む。
カーキとフォーンの姿を探して目が泳ぐガインに、キリアンがポツリと呟いた。
「エントという青年。彼をクビにしたんだ。」
「……はぁ……そ、そうなんですか……。」
ガインの中で、もう彼に身体を嬲られる事が無くなった事に僅かに安堵の溜息が漏れた。
だが、それとカーキとフォーンが不在の理由は?
彼等がかわりに食事の仕度をしているとでも?
「ああ。今頃彼はカーキとフォーンによって、首だけにされている。」
「!!!何だと!!」
椅子に腰掛け、脚を組んだキリアンの表情は変わらなかった。
「何でそんな事を!!」
「ガインを自分の物だと言った。その唇に、汚い唇で触れた。
私の所有物を、自分の物だと言ったのだ。
賊以外の何者でもない。」
「こっ…!言葉の綾ってモンだろ!?興奮した成り行きで出た!!
そんなモンで斬首刑って!!今すぐやめさせろ!!
そんなんだったら、カーキやフォーンだってな!!」
言いかけてガインが口をつぐんだ。
二人は、ガインを自分の物だとは言わなかった。
口付けをする事も無かった。
その上で二人は、いつ命を差し出しても良いとキリアンに忠誠を誓っている。
「もう、この国は沈み行く船だ。多くのネズミが死に、そして船から逃げ出した。
もうじき全ての命が無くなり、俺とガインだけが残る。
最期は……ガインに俺の死を見て貰う……。」
「なんでだ!!何で…何でそんな!!!そん……」
━━陛下が私の事を好きだと?
ハッ…馬鹿馬鹿しい。そんなフザけた冗談など、聞きたくありませんよ。
陛下には、この国の為に早々に皇妃を娶って頂き、お世継ぎを育てて頂かないと。
それが、貴方の為であり、この国の為なのですから!━━
「……まさか……」
「俺も、この国も、もう存在する理由が無いからだ。」
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「なんて……なんて悲劇なの!!ひどい……
ひどいわ……キリお兄ちゃん……。」
「ごめん……ミーちゃん……でも、仕方なかったんだ……
俺にはもう…止める事が出来なかった……。」
皇帝陛下の私室、テーブルに向かい合って座るミーシャとキリアンは互いに項垂れ小さく震えていた。
やがて、ミーシャが手の平をバン!とテーブルに叩きつけた。
「そりゃね!!夢を見ちゃったら目を覚まさない限りは、途中で止めたり出来ないわよね!
だからってね、私の新作小説、『新米コック、エントの冒険グルメ旅!』の主人公に、いきなりパパを食わせて処刑って、何なの!?
私の可愛い子供が、いきなりドスケベにされた挙げ句にクビちょん切られるとか!悲劇よ悲劇!!」
「ご、ごめん……俺も何で、こんな夢見たんだか……。」
プリプリと頬を膨らませたミーシャがテーブルをバンバン叩いてキリアンに抗議をする。
キリアンはただ、申し訳無さげに俯いた。
「しかも、ラストシーンの辺り、私のじゃなくて巷で人気の国王と奴隷である敵国の王女の悲恋小説、『大海に沈み行く方舟』のシーンだわね。
色々混ざってんのに……パパがエロい目に遭うのだけはブレてないって……何で?」
「うん…何でかな…。
ちなみに、それらの小説のどれにも、ラブシーンは一切無いよね……。」
エロスの部分の脚色は、全てキリアンの脳内にてされてしまった様だ。
「キリお兄ちゃん、ホントはパパにそーゆーの望んでるとか、無いでしょうね?寝取られとゆーか……。
私、それだけは容認できないわよ。」
「絶対、絶対あり得ない!!
つか、俺以外の誰かがガインに触れるなんて考えただけで……
俺の心臓止まる!ソイツの心臓も止める!」
色んなシチュエーションのガインが見たい余りに、実在しない架空の人物を使い妄想を膨らませたのだろうか…。
「だからって、私の可愛い子供達をオッサン喰いのドスケベ枠で勝手に出演させないようにして欲しいもんだわね。」
「そ、それはホント…ごめん!
俺の脳内脚本家に、そのように伝えておくよ…。」
キリアンの部屋を出たミーシャは、廊下で部屋に戻って来たガインと会った。
「おお、ミーシャ!これ、バネッサから貰ったクッキーだ。
半分やるぞ。
あと半分は陛下に差し上げるからな。レーズンが入ってるから、好きなハズだしな!」
一流の料理人でも無い、兵舎の大衆飯を任されている者が作ったモノを、畏れ多くも皇帝陛下に食べさせると言う。
ガインは良くも悪くも、素であれば自身が信頼する者の身分という垣根を無意識に取っ払ってしまう。
━━そんなパパだから、現実でのパパはキリお兄ちゃんの妄想の中のパパみたいに、キリお兄ちゃんの心を無視した受け答えなんてしなかったんだろうけど……━━
皇帝陛下の忠実な配下として国の為に正しい意見を言うのであれば、夢の中のガインの意見が正しい。
そして実際、その様に言われたとしても、キリアンは傷付くだろうが国を潰す程に心が壊れる様な弱い男ではない。
あくまで大袈裟に脚色された妄想劇ではあるが、キリアンの中でそれ程傷付いたかも知れない心を映像化して消化しているのかも知れない。
「それ、バネッサさんには内緒にした方がいいと思いますわよ。お義父様。
自分の作った菓子が皇帝陛下の御口に入ったなんて知ったら、バネッサさんがビックリしてひっくり返りますから。」
「え?何でだ?」
天然だなぁと思いつつ、ミーシャは貰ったクッキーを手に自室に戻った。
茶を入れて机に置き、隣にクッキーを置いて机についた。
原稿用紙を広げてペンを持つ。
「……今度の主人公は、女性にしよう……毎回、新しい主人公にパパを食わされても困るもの。」
小説家であるミーシャの、新作の方向性が決まった。
━━終━━
◆◆◆迷走したまま終わります
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