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罪悪感という甘い罠。

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皇帝の部屋にある巨大なベッドの角を跨ぐ様に立ち上半身だけをベッドに突っ伏させられたガインは、怒張した己自身を暴発させぬよう強く握り締めたまま背後のキリアンに恨めしげな視線を送った。

剥き出しの恥部を高く上げて晒した状態のガインの尻肉の頂きをキリアンがペチペチと軽く叩き、楔を抜いたばかりの蜜孔の縁に指を当て、柔ヒダをクニュと引っ張った。


「ちょ…!!むやみにいじくり回すなよ!
………ッくせに……」


「ン?なぁに?クセにって言った?何のクセに?」


訊ねながらキリアンは、ガインの柔ヒダの中央にグプゥと揃えた中指と薬指を挿れた。


「ンあっ…!あぁっ!」


「何のクセにって言った?ねぇ。」


キリアンはガインの中に挿れた指をグッチャグッチャと数回出し入れし、グリンと中で回転させ、再び出し入れを続けた。

ガインの柔ヒダの縁がキリアンの指に縋り付く様にへばり付き、指の出し入れに合わせ伸び縮みする様を見たキリアンが口角を上げる。


「どうっ…どうせ、俺と一緒にイく気なんか無いクセによ!
俺を先にイかせ…約束を破らせ…んぁ!あっ!
あっ!ちょ…!…あヒァっ!も…無理ッ!出るっ…」


「先にイかせ?
ああ、俺がガインを先にイかせちゃうつもりだと言ってんの?なぜ、そう思う?」


ニコニコと笑むキリアンの張り付いた様な笑顔は変わらず、クキュッと内側で指先を僅かに曲げてガインの前立腺を擦り始めた。


「んおぉッッ!!ふぁあ!無理無理無理!!
もうッ出るから!出るから!!キリアンのを挿れてくれ!」


「今ガインの中に挿れても、俺はすぐ出せないけど?
俺がイくまで我慢するの?出来るの?」


「無理!先に出るっ!イくっ!
それでもイくなら、キリアンと繋がったままがいいんだ!
悪いかよ!」


暴れたがる自身の馬首を強く押さえ付け制御するも限界が近く、焦燥感からガインの口調がキレ気味になってしまう。

そんな悪態さえもガインらしさのひとつであり、キリアンは強く心を打たれてしまう。


「はぁ…俺と繋がったままイきたいなんて、ガインてば可愛いなぁ…
そんな、おねだりをされたら…聞かないワケにはいかないよね。」


ガインの後孔から指を抜く瞬間、ガインの身体がビクッとしなった。
指が抜かれる際の刺激で精を吐き出しかけた鈴口を強く押さえ、ガインが吐精を堪える。

ガインは巨躯をカタカタと小刻みに震わせ、泣きそうな顔でキリアンに哀願の眼差しを向けた。


「早く…も……限界ッ…」


その立派な体躯と人となり故に質実剛健を体現しているガインが、キリアンの前では肉食獣の前で怯えるウサギの様な姿を晒す。
ガインに対し独占欲の塊である事を自認しているキリアンには、誰も知らない素のガインの姿を自分一人が識っている事に歓びを隠せない。


「戦神、軍神とまで呼ばれたガインが、俺の手によってこんな姿を見せる様になっちゃって……もう最高だよ。」


指を抜かれて空虚となり、しおしおと悲しげに萎んでゆくガインの蜜孔の口に硬い雄根の頭をゴツッと押し付け、そのままズブッと一気に根元までを埋め込んだ。


「んぁぁ!あっ…!あっ!もっと…もっと擦って!
もっとナカっ…!」


既に限界であろう男性器を強く押さえ付け、ガインが吐精を堪える。
キリアンと共に絶頂を迎えたいと言うよりは、無意識下でただ貪欲にさらに強い快楽を欲して更に昇り詰めようとするガインは、滲み出る精液でヌラヌラになった手で自身の猛りを強く抑え込む。


「なんてスケベな奥さんなんだろうね。
こんな姿、誰にも見せられないね。
いや……ガインは見られたいのかな?
本音では、ドアを開いた状態で犯されたいって思ってたり?」


「ち、違っ……そんなの嫌だっ…あぁっ!
もっ…気持ちいい…!うぁ…!いいッ!気持ちいい…!」


ガインの後孔に深く楔を穿ったキリアンは、ガインの尻の頂きのガッチリした硬い肉を強く鷲掴んでムニムニとほぐす様に揉みしだきながら時に腰をグラインドさせ、ジュゴっジュゴっとガインの中心部を突いた。


「俺もねぇ、ガインのこんな姿を誰にも見せたくないと思う反面、見せびらかしたいって気持ちも沸々と湧いてきたりするんだよね。
俺だけが、ガインをこんな風にしてしまえるんだって、強い優越感もあるんだ。」


「あっあっ……ンぁあぁあ!出るッ!」


キリアンと繋がったまま、自身を握り締めるガインの指の隙間から、プシャッと四方に飛び散る様に白濁液の糸が飛び出した。

よほど溜め込んでいたのか長い間を掛けピュルピュルと断続的に精液を飛ばすガインはビクビクと身体をわななかせ、キリアンの雄茎に巻き付いた内側の壁肉もキュウっと収縮させた。


「おや、イっちゃったのか。よく頑張ったねぇ。
でも約束は約束だからね。」


キリアンはチラッとドアの方に目を向けたが、すぐにベッドに突っ伏した状態のガインに目を向けた。

絶頂を迎えたばかりのガインは半開きのトロンとした目で惚けた様な表情を見せているが、なおも貫かれているキリアンの律動に合わせ、半開きの口から小さな嬌声を漏らし続けていた。


「…ンあ……ぁ……んッ……はぅん…」


「ホント、打てば響く楽器の様だよね。
どんな状態でも無反応ではいられないなんて素晴らしいなぁ…。」


キリアンがクッチュクッチュと後孔を数回突き上げてからガインの中からズリュッと杭を引き抜くと、ベッドの角に立ち腰を突き出していたガインの膝が折れ、ベッドに頭を乗せた状態でへなへなとその場に尻をついて座り込んだ。


「……ドア……開けて続き……ヤるのか……?」


尋ねられたキリアンは、汗で髪を湿らせたガインの頭を「よしよし」とあやす様に撫で、クスッと笑みを溢した。


「嫌なんだろ?ドアを開けっ放しで誰に見られるかも分からない状況でヤるのは。
それにガイン、くたくただろう?
無理はさせたくないし、今日はもう終わっていいよ。」


先ほどまで、仮面の様な恐ろしい笑顔を見せていたキリアンが、ふわっと優しい笑みを見せてガインの頭を愛おしむ様に撫でている。
そんなキリアンの笑顔を見たガインは、逆に居たたまれなくなってしまった。


「みっ…見られるのは嫌だが……ドアを開けっ放しでヤるって言ったのは…約束を…その…耐えれなかった罰なワケだし…。
何より、キリアンがまだ……イってないし……。」


「ガインがくたくたなのに、続けていいの?
誰かに見られてしまっても、自分が悪いのだから受け入れると…そう言ってくれるんだね?優しいね。」


ガインを慈しむ様な優しい笑顔を見せながら、キリアンは更に上がる口角を笑顔で誤魔化した。

最初の方でガインが推察した通り、完遂させるつもりの無い「先に達する事を許さない」と理不尽な要求を突き付けられていたにも関わらず、ガインは先に一人で絶頂を迎えてしまった事を、自分を優しく慈しむキリアンに対して申し訳ないと心苦しく感じている。


「……キリアンが言った、約束を守れなかったのは俺だし……」


ガインの思考もまだ熱に浮かされた状態なのか、冷静であれば納得の出来る筈もない、押し付けられた罪悪感を素直に受け入れてしまっていた。


「そうだね…でも、今はこのままガインを愛したい…。
ドアを開けに行く間も惜しいんだ。
でも俺が、そうしてまで『公言しないけど周知はさせたい』ってのは理解してくれるよね?」


「……ぅん……何となく……」


頭を撫でられながら子どもみたいな返事をしてコクンと頷いたガインはキリアンに促されてベッドの上に乗り、仰向けで身体を寝かせた。

膝を立て足を開き、自身の出した精液で性器周りをベタベタにした身体を、キリアンの前で隠す事無く恥ずかしげもなく晒した。


「じゃあ、今日はドアを開けないけど約束は保留で。
誰かに見られるかも知れない様な状況でも俺を受け入れるのは、公言はせず皆に周知させる為には必要だからね。
今日の分は改めて、どこか別の場所で……」


「…………う…ん??……それドアの話か?……」


寝ぼけまなこの様にトロンとして頷きかけたガインの表情に、疑問を浮かべた様な表情が僅かに現れた。
疑問と共に冷静な思考が戻りつつある様だ。

言質を取ろうと理屈を並べたせいで、ガインが正常な判断を取り戻しかける時間を与えてしまった事に気付いたキリアンは、再びガインの思考力を奪う事にした。


「うん、そうだよ。」


キリアンはガインの両膝に手を置き、漏らした精液でグチュグチュになったガインの恥毛の上に自分の雄茎を乗せてから、ツルーっと下方に滑らせてコプっと蜜孔に楔を打ち込んだ。


「ンああっ!…あ!」


「ああ、まだ熟れた果実の様にグズグズじゃないか。
イってない俺の為と言うよりは、ガインがこのグチュグチュになった下の口で俺の精液を飲みたかったんじゃないの?」


キリアンを受け入れた状態での絶頂を迎えて間もない肢体は、その為の器として完成されたかの様に、キリアンを迎え入れた瞬間に順応してしまう。
思考が飛び、内側に注がれたキリアンと言う名の美酒の全てに意識が持っていかれる。
美しく靭やかで強い肉体も、愛を囁く声も、羞恥を煽る為の野卑な言葉も吐息も汗も精液も、キリアンの全てを何ひとつ取り零さぬ様に。


「そっ…欲しい…キリアンの、熱いのっ……
いっぱい注がれたい……ッ」


「おや、また先にイっちゃいそうな乱れ方だね。
今度は俺がイくまで、ちゃんと頑張って待っててよ?」


ガインがコクコクと何度も激しく頷く。
ベタベタな恥毛の中心で萎えていた馬首が頭をもたげ始め、律動に合わせユラユラと揺れ始めた。


「あ…ぅあ…気持ちい……いい……」


甘い声を漏らしたガインが、上気した顔で舌先を伸ばしてキリアンを欲しがる。
それに応えて顔を近付けたキリアンは、背を丸めたガインと舌先を絡ませ合った。
胸の尖りを指先で摘んでキュッと引っ張れば、ビクッと大きくしなるガインの内側がギュウッとキリアンを締め付ける。


「ふぁあっ!!」


━━この可愛いガインが、俺だけのモノであると早く周知させなければならない……
ガインは気付いてないみたいだが…最近はガインに注目している輩も男女共に増えて来てるようだとミーシャから聞いたし━━


「………今度はどこで、ガインを可愛がろうかね。
夢の中でしか会えなかったガインに、現実で会うのが楽しみだよ。」

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