孤高の女王の国と狂戦士。そして傍若無人の若き王。

彼の国の狂戦士と孤高の女王。

この広大なる大陸には幾つかの国があり、それぞれが大なり小なりの国土を有している。



    中でも、大陸の中央に高くそびえる山の頂きに城をかまえる、孤高の女王と呼ばれる女王が治める「彼の国」は、広大な領土を有していた。



    孤高の女王。

　　その女王は、美しい若い女で独り身である。



    そんな根も葉も無い様な噂だけが一人歩きしており、だがそんな女王と「彼の国」を我が物にしようと愚かな男達が幾度となく「彼の国」に侵攻を試み、戦を仕掛けた。



    だが、誰一人生きて還れた者は無く。



    彼の国との国境に累々と積み上げられた屍の山が出来るだけであった。

    



    彼の国の軍隊が動いた様子は無い。

    兵器の類いが使用された形跡も無い。





 なのにいつも高々と無慈悲に積み上げられる屍の山。 

誰が、何が、どのようにその屍の頂きを作るのかも謎のまま他国からの侵略を許さない「彼の国」は、着々と国土を拡げていく。




 『女王のもとには狂戦士と呼ばれる化け物がいる』

    

  

 そう血で遺言が書かれた、ボロクズのような布を脚に付けた鳥が保護され、初めて「彼の国」の情報が僅かに外に漏れたのだ。