蒼き英雄(旧)

雨宮結城

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最終章 The Future

Part5

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ユキと分断され、ダリムと森に移動させられたアスタ。

「一対一か」

「あぁ、お前を倒した後、まだ生きていたなら、ユキという女を倒しにいく」

「そうか、なら、尚更負けられない。ダリム、お前をここで倒す」

アスタとダリム、二人は剣を握り、構え、戦いが今、始まろうとしていた。

「…」

二人は、相手がいつ動くか、様子を伺っていた。

「……!」

先に動いたのは、ダリムだった。

「ハァ!」

「っ!」

ダリムの振り下ろした剣を、アスタは剣で防いだ。

その剣の威力は、アスタが立っていた地面を割くほどの力だった。

「やるなあアスタ、だが!」

「んお!」

アスタに剣での攻撃を防がれたダリムは、アスタの脇腹に蹴りを入れ、アスタを遠くへと蹴り飛ばした。

「っ!」

吹っ飛ばされるアスタ。ダリムは瞬間移動で先回りし、ダリムの方へ吹っ飛んできたアスタを、今度は別の方向へ、次はまた別の方向、そして空、最後に地上へと蹴り飛ばした。

「…ふん」

地上へと降り立ったダリム。

「かなり力を加えたが、どうかな」

アスタが蹴り飛ばされた場所は、土煙が起きていた。その中から、立ち上がり姿を現したアスタ。

「これで終いか?」

「!?ふふ、面白い、そうこっなくっちゃな」

ダリムは、アスタの力をダリムなりに理解した。そしてダリムは、戦いの楽しさに、思わずニヤけた。

「…余裕そうだな」

「!…これはすまない、つい楽しくてな」

「そうか」

「ふふ、では、続きといこうか!」

ダリムはアスタの元へと全力で迫り、真正面から剣を振り、下ろすと見せかけ、アスタの後ろへと移動し、剣を振り下ろした。

「ぬあ!」

「…」

「…!」

アスタは、ダリムの方を見ない状態で、剣を止めた。

「やるな、ならこれはどうだ!」

ダリムは、アスタがこちらの方を見えないからこそ、アスタに剣の攻撃を何度も、連撃を与えた。

アスタは、その連撃を、ダリムの方を見ない状態で、全て防いだ。

「くっ、バケモノか貴様」

ダリムは連撃を止め、アスタにゼロ距離で、魔力砲をぶちかました。

「ならこれで、消えろー!」

ダリムの魔力砲の威力は、中々のものだった。その攻撃により、周りの木は吹き飛び、ダリムのいた場所の風は、強風へと変わった。

「ハァ、これで、ヤツも」

「なるほどな」

「なっ!」

「これがお前の全力か」

「バカな、今の俺の全力を」

「…(今の?)」

「くっ、なら、奥の手を使うしかないようだな」

「奥の手だと」

「ふん!ハァーーーアァ!」

ダリムは雄叫びを上げ、魔力を溜めた。そして、ダリムの姿は、レイの時と同じく、人の姿へと変化した。だが、ダリムの場合は、少し違った。

「…んっ」

「ハァー、ハッハッハ」

「この魔力の反応、お前、他の魔物の力をコピーできるのか」

「ふふ、よく分かったな。だが惜しいな。正確には、魔力をコピーし、その力を自身の魔力にプラスできるんだよ」

「なるほど、それが奥の手か」

「あぁ」

「なら」

「ん?」

「…」

ダリムの奥の手を見せられたアスタも、集中し、アスタの奥の手を解き放つことにした。

「…」

「なっ!」

アスタの姿は、白髪に赤眼へと変化した。

「なんだ、その姿は。それに、その魔力量」

「これが俺の奥の手さ」

「…つくづくバケモノだな、貴様は。だが、勝つのは…」

「俺だ」

「っ!」

アスタは一瞬でダリムの間合いに入り、剣でダリムを吹き飛ばした。

「ぐおっ!ぬあー!」

ダリムが蹴り飛ばした時より、アスタの攻撃は、遥かに上回った。

「ぐっ!んーんっ!」

ダリムは、かなりの距離を吹き飛ばされた。

「ヤツめ、これほどの力を持っていたとは。くう、かなり吹き飛ばされたな。早く戻って…」

「戻る必要ねーぜ」

「なっ、なに!?」

アスタはダリムの後ろに、既に待ち構えていた。

「くっ」

「エンシャント・ストリーム!」

「(マズイ!防げ…)」

「ハァーーア!」

アスタの十連撃技である、エンシャントストリーム。九連撃を与えた後、最後の一連は、自身の魔力を全て剣に込め、相手を倒すという技だ。

「ぐっ!ぬおー!」

「…」

九連撃を与え、最後の一連。

「ハァーーア!」

「アーーー!」

覚醒の力も込めたアスタの全魔力の攻撃に、ダリムは敗れ、消滅した。

「…ハァ、ハァ。…たお、した」

全魔力を込めた為、残りの魔力は当然無く、気力もやられ、覚醒状態も解け、アスタは地面に倒れる。

「…(初めて、この技を試したけど、やっぱこの技は、緊急用だな)よっと」

アスタは立ち上がった。

「…ダリム、戦いを楽しんでいたあの様子、悪じゃなきゃ、仲良くしたかったな。なんせこの世界じゃ、人と魔物が共存してるんだから」

「アスター」

「ん?」

アスタの元に、アスタの少し上がった魔力を頼りに、探しにきたユキ。

「アスタ!」

「ユキ」

「良かった、無事で」

「…ユキの方も、無事で良かったよ」

「…終わったんだね」

「あぁ」

「…あ、戻った」

ダリムが倒されたことにより、ダリムが創った世界から抜け出し、城へと戻ってきたアスタとユキ。

「じゃあ、カリム団長を助けて、ミサキさんの所へ帰るか」

「うん、そうだね、アスタ」

その後アスタとユキは、覚醒状態を解き、城の地下牢に閉じ込められていたカリム団長を助けだし、ミサキとサム達が待っていた村へと帰った。

「…あ、…父上!」

こうして、ミサキは父であるカリム団長と再会を果たした。

「…」

アスタは、ミサキとカリム団長を見て、ふと思った。

「ん、どうしたの?アスタ」

「え?いや、なんていうか、家族、親子って良いなって、思ってな」

「…そうだね。ミサキちゃんとカリムさんを見てると、確かにボクもそう思う」

「ユキ」

「ん?」

アスタはユキにある事を話した。そして、時が過ぎ、二年後。

とある病院で、二人の夫婦から子供が生まれた。

「え、えーん、えーん」

「ほらほら、良い子ですねー。結生さん、大丈夫ですか?元気な女の子ですよ」

そう、その夫婦とは、アスタこと宮村雄也と、その妻の、ユキこと宮村結生の事だった。

赤ちゃんが落ち着いて眠っていた時、雄也は結生がいた病室で一緒にいた。

「ほら雄也、女の子だよ」

「女の子か、可愛いな」

「そうだね。ねえ、名前だけど」

「あぁ、ちゃんと考えてきたよ」

「そうなの、実はボクも」

「そうなのか?じゃあせーので」

「うん、せーの」

「愛結(あゆ)!」

「…考えてる事は一緒か」

「うん!雄也もその名前だったんだね」

「あぁ、俺と結生の子、そして女の子だからな」

「…これからよろしくね。愛結」

それから六年後、その少女、愛結は、雄也と結生に連れられ、施設へと来た。

その施設で、少女は見た、ソウルワールドを。

「…ねえパパ、この絵なに?」

「あぁ、この絵、世界は、パパとママが生きた、もう一つの世界だ」

「へぇー、そうなのママ?」

「うん。ママとパパは、ここで出会ったんだよ」

「…ねえパパ、ママ」

「ん?」

「どうしたの?」

「アユも、この世界に行きたい」

「…そうだな、行けるか試してみるか」

「良いの?雄也」

「まあ、試すだけだしな」

「…そうだね。じゃあ行こうか、愛結」

「うん!」

そして、愛結をカプセルの中に入れ、それに続き、雄也と結生も、ソウルワールドへとダイブした。

そして、ソウルワールドへとやってきた、アスタ、ユキ。そして、アユ。

「…!」

アユは初めて、その世界へと降り立ち、ソウルワールドに興奮を覚えた。

「わあー、スゴい!」

「アユ」

「ん?」

「スゴい、アユがいる」

「成功したんだな」

「…誰?」

「…この姿じゃ分かりにくいかな。パパとママだよ。よっと」

アスタはアユを抱っこした。

「え!?ホントにパパと、ママなの?」

「あぁ、こっちじゃ、パパはアスタって名前だけどな」

「そうなの、ママは?」

「ママはユキのままだよ」

「あれ?」

「アスタ、それにユキちゃん」

「お、ミユキにサオリ」

「あれ、もしかしてその子」

「あぁ、ほらアユ」

「あ!ミユキお姉ちゃんとサオリお姉ちゃん!」

「アユちゃん、可愛い」

「どうやって連れてきたの?お姉ちゃん」

「カプセルにアユを入れたら、何とか来れたの」

「へぇー、それにしても、こっちでもアユちゃんに会えるなんて」

「パパ、ママ」

「ん?」

「どうしたのアユ」

「もっと、この世界を案内して!」

「あぁ」

「もちろん!」

「ありがとう!」

「じゃあ」

「私達も」

「ヤッター!」

こうして、アスタ、ユキ、サオリ、ミユキは、四人でソウルワールドの中を、アユに案内した。

こうして、ソウルワールドにまた新たな歴史の一ページが刻まれた。

最終章 The Future 完
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感想 7

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みんなの感想(7件)

ラーメン
2022.01.14 ラーメン

本当に面白いです☺

2022.01.14 雨宮結城

ありがとうございます!

解除
ラーメン
2022.01.14 ラーメン

今2章のPart1です面白いです

2022.01.14 雨宮結城

早いですね!
楽しんでいただいているなら、良かったです!

解除
ラーメン
2022.01.13 ラーメン

今1章のPart8です

2022.01.13 雨宮結城

はい!引き続きお楽しみください!

解除

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