蒼き英雄(旧)

雨宮結城

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第五章 過去編

Part2

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謎の魔力の反応が、村の方角と知ったミユは、それを伝える為、ゲータ達の方へと駆け寄る。

「ゲータ!」

「…ミユ」

「ゲータ、この反応」

「あぁ、この魔力反応、村に向かってる」

ゲータも、謎の魔力の反応をキャッチしていた。

「急いで戻りましょ!村の皆が」

「ああ、皆戻ろう」

ゲータ達は、急いで村へと戻った。

「ハァ、ハァ(父さん、母さん、どうか無事で)」

そう考えている内に、ゲータ達は村へと着いた。

「ハァ、ハァ、誰も、いない?」

「ゲータ、俺は自分の家の方へ行ってくる」

「分かった。気をつけてなカイン」

「ああ」

「俺も行く」

カインとメギドは、カインの家の方へと向かった。

ゲータとミユは、ゲータの家に向かいつつも、辺りの家を見て廻っていた。

「なんで、誰もいないんだ?」

「きっと、あの反応を感知して、逃げたのよ」

ゲータは村には着いたが、村に人がいない事に対して、疑問に思っていたが、ミユは、反応を感知し、村の人達は逃げたのだと考えていた。

「…なら、良いんだが」

ゲータとミユは、少しずつゲータの家の方へと近づいていた。

だが、近づいていく内に、ある匂いがした。

「…?何だ、この匂い……!」

「この匂い」

ゲータとミユは、その匂いがなんなのか気づいた。

「この匂いは、血だ」

「なんで血の匂いが」

「!父さん、母さん!」

ゲータは急ぎ、自分の家へと向かった。

「!待ってゲータ」

ミユもゲータを追いかける。

「(大丈夫、大丈夫、父さんと母さんはきっと逃げてる。何せ、反応を感知すれば、逃げられるし、連絡用のキューブだって貰ったんだ。大丈夫)」

ゲータは、二人が生きている事を信じながら、走り続けた。

そして、家へと着き、同時に別々の場所で扉を開けたゲータとカイン。

「父さん!かあ、さん…」

「母さん!おや、じ…」

二人は、扉を開け、信じたくない現実が待っていた。

それは、生きていると信じていた親の死体が、そこにあった。

「あ、あーーー!」

ゲータとカインは、絶望した。

そして、カインの後ろにいたメギドも。

「…嘘、だろ」

そしてミユは。

「ゲータ!どうし、た、の…」

ミユも、ゲータの両親の死体を見てしまう。

「いや!そんな……?」

ミユは、少し歩き、森の方へと向かい、衝撃の光景を見る。

「あ……そんな…」

それは、逃げていたと思われていた、村の人達の死体だった。

あまりの光景に、ミユは崩れる。

「あーあ、あーーー!」

絶望するミユ、メギド、カイン、そして、あまりの光景に叫ぶゲータ。

村の人間は、一人残らず、大人だけでなく、子供までも、何者かに殺されてしまっていた。

数分後、その村に魁平隊が駆けつけた。

魁平隊は、謎の魔力反応があると連絡が入り、その反応があった者を討伐に来たが、すでに手遅れだった。

だが、その村にいたゲータ、ミユ、カイン、メギドを保護した。

「君達、大丈夫…」

「…」

「…大丈夫、じゃないよな。すまない」

ゲータ達は、目の前の現実に絶望し、返事を返せなかった。

「…」

ゲータ達に声をかけた、魁平隊リーダーであるダインは、家の様子や、村の人間が逃げたとされる森、そして殺された人一人一人見ていた。

「(この殺され方、何者かに斬られて殺されている。しかも、急所を確実に、村の人達は、勝てないと悟り、逃げていたはずだが、逃げられなかった。唯一、たまたま村の外にいたあの子らは生きていた。我々としては、生きていた人がいてなりよりだが、あの子らからしてみれば、最悪の現実だ)」

「…」

「(絶望している、それも当然だ。帰ってきたら、この光景が待っていたのだからな。…俺も、そうだったように)」

魁平隊のリーダーであるダインも、小さい頃、何者かに村の人達を皆殺しにされた過去があった。

ダインが街へとおつかいを頼まれ、帰ってきた時には、村は全滅していた。

その時の自分と、ゲータ達を重ねていた。

だからこそ、かける言葉が難しかった。だがダインは、それでも、ゲータ達に声をかけた。

「君達、とても、辛いだろう。絶望のふちに立たされているのは分かる。かつては俺もそうだった。だからこそ、君達に何て言葉をかけるべきか、今でも考えている。だが、俺は君達に、これ以上の辛い思いはさせない。それは約束する。君達には選択肢がある、我々の保護の元、保護施設へ移るか、それとも、かつての俺が選んだ、魁平隊へ入り、我々と共に戦うか。見てわかる。君達の魔力はとても強い、修行を重ねていけば、将来は有望な戦士へとなるだろう。強制はもちろんしない、選ぶのは君達だ。だが俺としては、これ以上、君達のように、絶望に悲しむ人を増やさない為にも、力を、貸してほしいと思っている」

「…」

ゲータはその言葉を聞き、父の言葉を思い出す。「ゲータ、お前は強い。だからこそ、その力で皆を守り、助けるんだぞ?」そしてゲータが答えた「もちろんだよ、父さん」それを思い出し、うずくまっていたゲータは立ち上がる。

「…」

「?ゲータ?」

ゲータの名を呼ぶミユ。

「?」

ゲータが立ち上がり、ゲータの方を見るカインとメギド。

「入るよ、俺」

「!」

その判断の早さと、ゲータの言葉、そして目を見て驚くダイン。

「魁平隊に入って、俺は、誰も悲しませない世界を創る!」

「ゲータ、本気なの?」

「ああ」

「君は、それで良いのかい?」

ダインはゲータに、最後の確認をとる。

「ああ、迷いはない。父さんとの約束を、俺は果たす!」

「…分かった」

ゲータの言葉の重みを感じ、それを受け止めたダイン。

「ゲータが行くなら、私も行く」

「ミユ、いいのか」

「ええ、貴方の行く先に、私はついて行くわ」

「…分かった」

「…たく、そうだな。ゲータが行くなら」

「俺達も行く」

「カイン、メギド」

「一緒に創ろうぜ、その世界を」

「…ああ!」

「君達も、それで、良いんだな?」

「はい」

「ああ」

「迷いはない」

「…(この子らは、強いな)分かった!君達を仲間と認め、受け入れる」

「…(これから俺は、父さんとの約束の為、仲間の為、そして、俺らと同じ人を増やさない為に、俺は、戦う!)」

ゲータは心に、これから平和の為にこの力を使っていくと誓った。

そして今この瞬間、ゲータ、ミユ、カイン、メギドは、魁平隊へと入団した。

そしてこの日を堺に、ゲータ達は魁平隊で訓練を受けた。とても辛い訓練であったが、ゲータ達は諦めず、努力し成長を続けた。そして、早くして一年後には、魁平隊での戦士までも成長した。

そして、ボスであるスレイヤーから命令が下り、魁平隊リーダーダイン、隊員達、そしてゲータ、ミユ、カイン、メギドは、任務へと向かった。

「よし、行くぞ!」

「おおー!」
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