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一章

一日目-イチニチメ-

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-翌日-


朝。ぽかぽかと暖かい日の光を浴びながら
この金持ちが住むようなホテルの部屋を歩いていた。

まだ眠気があるものの寝起きは良い方なので
苦に越したことはない。


「ふぁ……」


ひとつ、小さな欠伸をしてコーヒーを入れるべく
キッチンへ向かうと、自室の扉をドンドンと叩く音がした。


時刻は6:30。しかも朝の。こんな時間にこんな迷惑行為を
してくるのは彼奴しか居ないと思い扉を開けに行く。


「いーぶーきー!!起きろぉお!!」


-ドンドンドンドン


「朝だぞー!あと速報だぞーーー!!!」


-ドンドンドンドン


「いーぶーk(ガチャリ)ぐはっ!?」




そこで扉を叩く音はしなくなり代わりに何かが倒れる
ドサッという音が聞こえた。

まぁ、当たり前だろう。俺が開けた扉に顔を強打したろうから←

倒れているであろう相手を拝見するべく扉の外を見ると
そこには予想していた相手、聖がいた。


「おい。これでクレーム来たら寮長に説教されんの俺なんだよ。
 あの精液くせぇ部屋に誰が行くか。」


聖「せ、精液なんて朝から言っちゃいけません!!
     あと部屋に行くのがやなのねwwwwww?」


寮長。俺達が住んでる部屋の長みたいなモンなんだが
いつも誰かしら連れ込んでヤってるらしい。

生モンはキメェから見てねぇけど声なら聞こえたから
単に噂とかでは済まされなさそうだ。


「はぁ……もういい。でも……次やったら…殺す」



ーそう。俺に逆らうやつは…誰であろうと許さない。
   それがお前等三人の内の一人だとしても……


癌をとばすと聖は少しびくついてから頭を下げた

聖「ゴメンナサイ」


「おぅ。素直な奴は嫌いじゃねぇ」

フッと思わず笑を零すと、聖の顔がみるみる真赤になった。
んだよ。風邪ひいてんのか?近寄んねぇでくれるかな←


でも、こんなことしている内にだんだん脱線してきたな
話を戻すとするか。


「…で、お前は俺に何の用だ?」

聖「あ、そうだった!聞いて驚け!良いか?今日!
     転校生が来るらしいんだよ!!」


「………ほぉ」


突然の発表に口の骨格が上がる気がして口元を手で覆う。
俺のなかにあるナニカが騒いでいる気がした。


聖「その転校生がもう思いっきし王道でさぁ!!
     先生に言って快く(無理矢理)見せて貰ったんだよ!」


「……へぇ。そうか。」


ー王道転校生


聖が言うには、良い方と悪い方…どちらかがあるんだと。
そんで悪い方の事を『アンチ王道転校生』と呼ぶらしい。

オタルックに変装しているがその実態は美少年らしく
色々な言動でたくさんの人気者達を落としていくらしい。


………面白くなりそうだ。



-桐原  聖夜side-


「っ………!」

あの、いつも無表情で感情が全く読めない威吹が
口の骨格をあげ、まるで楽しそうにニヤリと笑った。


その途端、心臓のあたりがモヤッとして
締め付けられる感覚に陥っていた。



(この表情をさせているのは……転校生なんだ)

そう考えると目頭が熱くなって色々溢れだしそうになる


俺が初めて威吹と出逢ったのは入学式で席が隣になったとき
周りがたくさん話している最中彼だけは凛と前を向いていた。

最初は


「(これは良い総受け対象だなhshs!)」

なんて腐の思考を巡らしていた。
そんなで仲良くなろうと思い声を掛けて話を盛り上げる様にしたら

途端に相手がフッて初めて笑ったんだよ。


その時思った。あ。これは完全に落とされたって。

その後、俺はノンケな筈なのにぃぃぃぃい!って
自室に戻ってから転げ回ったけどもう意味なかった。


同じ教室だったのが嘘みたいに嬉しくて…
いつも追いかけ回してたら、やっとグループみたいに
入ることが出来た。


一緒に飯食って、行動して、喋って

そんな全てが楽しかった。なのに…………


俺が落とされた表情を今、威吹はあの転校生を考えながら
している。気分が良い訳がなかった。


聖「……威吹…あの、転校生の事…気になるの?」


俺が思わずそう切り出すと威吹は一瞬きょとんとしたあと
プッ…と吹き出した。

それほど大きくはなかったけど初めてだ


目を見開いていると威吹がぽんと頭に手をのせてきた。

「あぁ。気になるぜ?けどな……友達にはならねぇつもりだ」


ニヤリとまた悪戯笑顔で言うと威吹は
「どうせ校門まで見に行くんだろ?一緒に行こうぜ」と
誘ってくれた。

それが嬉しくて「おう!」と子供みたく笑ってしまった
自分を恥ずかしく思うがそれ程までに嬉しかったのだ。



やはり、威吹は俺の好きな人だった。
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