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ニャン太郎がやってきた!
ニャン太郎がやってきた!
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だが、この女の次の言葉が、オレのこの女への思いを台無しにしてしまった。
「あんた、ちょっと、ちゃんと抱いていってね」
「服が汚れちゃうから」
やっぱりねぇちゃんだった。ちょっとガッカリするとともに、なんだか安心した。
こんな大変なときにもマイペースをキープできる姉に対して、なんだかコイツは大人物なのではないかと、オレは密かに、少しだけ、姉を見る目が変わった。
「あんた、いつもレジ袋、持ってたよね?あのゴミを入れておくやつ」
姉は何を言っているのだ?
オレはレジ袋を持ち歩いているが、ゴミを入れるためではない。
宝物を持ち帰るための大事なアイテム保管用の袋なのだ。
「早く出しな!」
「この子をその中に入れておかないと、この子大きいから、あんたとわたしじゃ、お爺ちゃんのところまで連れて行けないよ!」
姉の考えがやっと理解できた。ここから2キロくらい先に、オレ達のじいちゃんが動物病院をやっている。姉はこのニャン太郎をじいちゃんのところに連れて行こうというのだ。確かに今のオレや姉の腕力だと、10キロ近くありそうな、ニャン太郎のことを運ぶのは無理がある。袋に入れれば楽になるだろうな。
「さすが、亀の甲より年の功だな!姉ちゃん!」感心した心の声がつい口をついて出てしまった。
ゴン!と、拳骨で姉に頭を殴られた。
姉は将来きっと、格闘家か犯罪者だ!多分まともな結婚は出来ないし、結婚したとしても相手も真面じゃないだろう!と、姉に聞かれたら本当に殺されるであろう感想を胸に秘め、オレはニャン太郎を袋に入れて手にぶら下げた。ニャン太郎を入れるときに、ニャン太郎の顔が上を向くようにする事を忘れなかったのは、我ながらナイスな行動。ニャン太郎がいきが出来ないと可哀想だからな。
対面通行の道路がずっと真っ直ぐ続いている。
両脇に銀杏並木が続いているのだが、今はぎんなんの時期ではない。まだ青青とした葉っぱが茂っていて、ちょうど良く光を遮ってくれる。虫の季節ではないが、寒くも暑くもないちょうど良い温度が心地よかった。
木漏れ日に映し出される姉の横顔は、弟のオレから見ても可愛かった。性格を除くと、見た目だけなら、確かに可愛い。そう言えばこの女、よく告られるんだよな!現実を教えてやりたい!見た目に騙されるな、男子達よ!
「なに?」
姉と目が合ってしまった。
姉はアニメのメインキャラ女子のようにツインテールにしているから、男子が騙されるのだ。
それにコイツ、髪留めのゴムの飾りは、ピンクの大きめなバラだった。それが妙に似合っているから突っ込めないでいる。まあ、バラのようにトゲのある性格なのをあらわしているのだと、オレは納得している!
「いや、なんでもない」
オレは不覚にも顔の血流が多くなるのを感じた。
「わたしに見蕩れたの?」
「そんな分けねえだろ!」
「照れるなって」
「・・・」
「安心しなよ、あんただってわたしと同じ遺伝子持ってるんだから」
「???」
「女子にはそれなりの評判なのよ?」
「それなりって何だよ」
「それなりはそれなりよ」
といって姉は笑い出した。
姉なりに気を使っているのか?
そうは思わないけれど。
「あんた、ちょっと、ちゃんと抱いていってね」
「服が汚れちゃうから」
やっぱりねぇちゃんだった。ちょっとガッカリするとともに、なんだか安心した。
こんな大変なときにもマイペースをキープできる姉に対して、なんだかコイツは大人物なのではないかと、オレは密かに、少しだけ、姉を見る目が変わった。
「あんた、いつもレジ袋、持ってたよね?あのゴミを入れておくやつ」
姉は何を言っているのだ?
オレはレジ袋を持ち歩いているが、ゴミを入れるためではない。
宝物を持ち帰るための大事なアイテム保管用の袋なのだ。
「早く出しな!」
「この子をその中に入れておかないと、この子大きいから、あんたとわたしじゃ、お爺ちゃんのところまで連れて行けないよ!」
姉の考えがやっと理解できた。ここから2キロくらい先に、オレ達のじいちゃんが動物病院をやっている。姉はこのニャン太郎をじいちゃんのところに連れて行こうというのだ。確かに今のオレや姉の腕力だと、10キロ近くありそうな、ニャン太郎のことを運ぶのは無理がある。袋に入れれば楽になるだろうな。
「さすが、亀の甲より年の功だな!姉ちゃん!」感心した心の声がつい口をついて出てしまった。
ゴン!と、拳骨で姉に頭を殴られた。
姉は将来きっと、格闘家か犯罪者だ!多分まともな結婚は出来ないし、結婚したとしても相手も真面じゃないだろう!と、姉に聞かれたら本当に殺されるであろう感想を胸に秘め、オレはニャン太郎を袋に入れて手にぶら下げた。ニャン太郎を入れるときに、ニャン太郎の顔が上を向くようにする事を忘れなかったのは、我ながらナイスな行動。ニャン太郎がいきが出来ないと可哀想だからな。
対面通行の道路がずっと真っ直ぐ続いている。
両脇に銀杏並木が続いているのだが、今はぎんなんの時期ではない。まだ青青とした葉っぱが茂っていて、ちょうど良く光を遮ってくれる。虫の季節ではないが、寒くも暑くもないちょうど良い温度が心地よかった。
木漏れ日に映し出される姉の横顔は、弟のオレから見ても可愛かった。性格を除くと、見た目だけなら、確かに可愛い。そう言えばこの女、よく告られるんだよな!現実を教えてやりたい!見た目に騙されるな、男子達よ!
「なに?」
姉と目が合ってしまった。
姉はアニメのメインキャラ女子のようにツインテールにしているから、男子が騙されるのだ。
それにコイツ、髪留めのゴムの飾りは、ピンクの大きめなバラだった。それが妙に似合っているから突っ込めないでいる。まあ、バラのようにトゲのある性格なのをあらわしているのだと、オレは納得している!
「いや、なんでもない」
オレは不覚にも顔の血流が多くなるのを感じた。
「わたしに見蕩れたの?」
「そんな分けねえだろ!」
「照れるなって」
「・・・」
「安心しなよ、あんただってわたしと同じ遺伝子持ってるんだから」
「???」
「女子にはそれなりの評判なのよ?」
「それなりって何だよ」
「それなりはそれなりよ」
といって姉は笑い出した。
姉なりに気を使っているのか?
そうは思わないけれど。
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