ミニミニ探偵物語

こみつ

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冷蔵庫の事件

庫内から消えた消えた-1

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オレの名前は斎藤 隆さいとう たかし13歳。
ご覧の通り、男だ。

炎天下の中、学校からの帰り道、なけなしのお小遣いを握りしめて、駅前の大型スーパーで、コーラの1.5L入りペットボトルを購入した。
冷蔵庫に入っていて、よく冷やされた状態で、お店に陳列されていた。
手に取った時は、ヒンヤリした感触が、とても気持ちよく、飲んだ時の爽快感を期待させた。
家に帰って飲むのが楽しみである。

オレは買い物時に袋の用意がなかったので、レジ袋を3円で購入する羽目になってしまった。
なけなしのお小遣いが、さらに少なくなるばかりか、一円玉と五円玉が増えて、後に自動販売機で缶ジュースを購入する時に使えない小銭が、財布の中に増えてしまった。
小銭を財布に流し込んで、ポケットに押し込んだ。

レジを済ませたら、ペットボトル一本だけだったので、店員が袋詰めまでやってくれて、オレはそのレジ袋を左手にさげて、店を後にした。

店内はエアコンが効いていたので、外に出るとまた、汗が滲み出てきた。
家まで近いとは言え、一キロはあるし、木陰すらない一本道だった。
帽子も被っていないオレには、日差しがたまらなく強烈に感じられた。

風があったために、体感温度が少しだけ下がったが、それでも汗が引くほどではなかった。
オレは風を受けながら、家に向かって歩いた。
せっかく冷えているコーラも、この熱気で、暖かくなってしまわないかと、余計な心配もしなければならなかった。

林の奥の、木漏れ日の射す家が、オレの住処だった。
オレは天下の鍵っ子で、ポケットから鍵を取り出すと、家の玄関のドアを開けた。

広めの玄関で靴を脱ぐと、廊下の奥にある台所にむかう。
水滴の垂れるペットボトルの蓋を開けると、まだ冷気の残る中身を、コップ二注ぎ込む。
そして、満を持して一気に喉へ流し込んだ。
まだ冷たい液体と、心地よい炭酸が、喉を軽く刺激して、至高の瞬間が訪れた。
オレはゴクリと音を立てて飲み込むと、やっと人心地着いた。

居間でエアコンのスイッチを入れて、テレビを見る。
しばらくすると、父親が帰宅した。
父親も、暑がり、冷蔵庫から何かを取り出したようである。
父親が自分の部屋に行ってしまったのを確認して、台所へと足を運ぶ。

オレは自分のコーラが飲まれていやしないかと心配になって、冷蔵庫を確認するが、コーラの残量に異常はない。
安心して、居間に戻り、テレビの続きを見た。

次に母親が帰宅した。
母親は、何か機嫌が悪そうで、ブツブツと、非確定大きな声で文句を言いながらも、やはり台所で冷蔵庫のドアを開いたようである。
やはりコーラが心配だったが、この時テレビ番組が佳境に入り、目が離せなくて、台所に行って確認する事が出来なかった。
母もやはり、奥へと引っ込んだ。

間髪入れずに姉が帰宅。
コイツもやはり台所へ行った。
冷蔵庫のドアが開く音。
そして、姉はオレの居るところへとやってきた。
オレは姉に、「ネーチャン冷蔵庫のコーラ飲まないでよ!」と釘を刺したが、ヤツは、「え!飲んでも良かったの?」と言って来やがったものだから、オレは目をつり上げて、「絶対に飲まないでよ!」と言ってやった。
姉のヤツは、「あんたの飲んだ飲みかけなんて、汚ぇから飲まないわよ!」と言って来やがって、オレはあかんべーをしてやった。
この時も、やはり、テレビから離れられなかった。

そして最後に、オレの下僕、訂正、大事な弟が帰宅した。
コイツは途中で500ミリの清涼飲料を買ってきたので、オレの隣に来て、その蓋を開けて、盛大に喉を鳴らして飲んでいる。
ちょうど30分のアニメ番組が終わったので、喉を潤そうと、台所へ行って、冷蔵庫のドアを開けた。
ラベルの位置まであったコーラが、かなり下まで減っていた。
オレの怒りはマックス頂点!誰が飲んだのか、調査が始まる!
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