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地球滅亡
惑星衝突-2
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惑星衝突-2
園崎八子は、ネットでも情報収集を諦めて、逃げ惑ったり慌てふためいている人々を尻目に、手近にあった自販機から、缶コーヒーを購入して飲み始めた。
なぜだか、この事態でも、彼女の心は落ち着いていた。
一度は自殺を決意した身である。
矢でも鉄砲でも持ってこい。
彼女の心境だった。
恋人に手ひどく振られ、薬物に、アルコール中毒。
地獄の2年から脱却して、やっと社会復帰できる、そう思った第1日目がこれである。
もうどうにでもなれという気持ちだった。
故にもう、取り乱したりする事は無かった。
恐怖心はない。
自分の人生はそれまでなのだと思った時に、ほんの少しだけ、後悔が生じていた。
あの時ああやっていればとか、そんなちんけな考えでは無かった。
なぜあの時、あの男を殺して、自分も死ななかったのかという後悔が、フツフツと、彼女の心に湧き上がっていた。
人生の最後、一番憎い相手を殺しておけなかったという後悔だけが、彼女の脳裏にうかんだ。
殺したくても、元恋人の現在の住所さえも確認できていない。
彼は、確か両親が亡くなっていて、実家も無かったはずである。
分かれた後に引っ越してしまったらしく、2度と会う事も出来なかった。
また、会う気も無かった。
だが、今この期におよんで、心から会いたかった。
居間ならば殺せる。
わたしの願望、いや、切望か。
そう思った時に、光が辺りを包んだ。
赤でも青でもない、色のない、ただ”光”と湯部べきものが、辺りを包み、彼女を包み込んだ。
なんの感覚も無くなって、エレベーターとは違う感覚で、身体に感じる重力も無く、スーッと、景色だけが眼下へと流れてゆき、上体が上へと上がってゆく。
なんだろうこの感覚。
そして数瞬も立たないうちに、どこかへ招き寄せられていた。
まわりに人の気配がしたので、見回してみると、その人の気配達が光り輝いて見えた。
そして、辺りだけが暗かった。
なんだここは?
感覚が、まったくいつものものと違っていた。
光り輝く人たちは、視界に映るかぎり、12人いた。
さらに、自身の身体も輝いていたので、自分を入れて13人。
何か意味があるのかもしれないこの数字は、園崎八子には不吉な数字と言うくらいしか思いつかなかった。
-やっと揃ったね、最後の一人が-
頭の中に声が響いた。
誰?
-わたしが誰か、興味があるかね?-
大して興味は無かった。
だが、声は続けた。
-君たちのよく知る言葉で、”神”とでも名乗っておこうか-
神とは、また、大袈裟な。
どうせ催眠術の類いだろう。
園崎八子はそう思いながらも、この声に反抗できなかった。
-わたしとゲームをしないかい?君たちが勝ったら、この地球を救ってあげる。そして、君たちの願いを一つだけ叶えてあげるよー
八子はその誘いにも、なにも感じなかった。
嘘つきの、催眠術師、そう思っていた。
誰かの術にはまったのだ。
彼女はそう思っていた。
-断る事は出来ないよ-
-もうゲームは、始まっている-
-たのしもうよ-
次の瞬間、またスーッと地上に戻ったようである。
景色が、見覚えのあるものに変わっていた。
違ったのは、今まで地球を襲っていた、天変地異の痕跡が消えていた事だ。
八子のいるビルの窓から見える景色が、天変地異など無かったというような、これまでのような平穏なものに戻っていた。
どう言う事なのか、八子は混乱した。
そして、先ほどの夢中の声が、本当に神なのかと思えてきた。
それと同時に、薬物依存、アルコール依存の時に見た幻覚が戻ってきたのかとふるえてしまった。
どちらの方が正しいのか、八子には判断しかねた。
園崎八子は、ネットでも情報収集を諦めて、逃げ惑ったり慌てふためいている人々を尻目に、手近にあった自販機から、缶コーヒーを購入して飲み始めた。
なぜだか、この事態でも、彼女の心は落ち着いていた。
一度は自殺を決意した身である。
矢でも鉄砲でも持ってこい。
彼女の心境だった。
恋人に手ひどく振られ、薬物に、アルコール中毒。
地獄の2年から脱却して、やっと社会復帰できる、そう思った第1日目がこれである。
もうどうにでもなれという気持ちだった。
故にもう、取り乱したりする事は無かった。
恐怖心はない。
自分の人生はそれまでなのだと思った時に、ほんの少しだけ、後悔が生じていた。
あの時ああやっていればとか、そんなちんけな考えでは無かった。
なぜあの時、あの男を殺して、自分も死ななかったのかという後悔が、フツフツと、彼女の心に湧き上がっていた。
人生の最後、一番憎い相手を殺しておけなかったという後悔だけが、彼女の脳裏にうかんだ。
殺したくても、元恋人の現在の住所さえも確認できていない。
彼は、確か両親が亡くなっていて、実家も無かったはずである。
分かれた後に引っ越してしまったらしく、2度と会う事も出来なかった。
また、会う気も無かった。
だが、今この期におよんで、心から会いたかった。
居間ならば殺せる。
わたしの願望、いや、切望か。
そう思った時に、光が辺りを包んだ。
赤でも青でもない、色のない、ただ”光”と湯部べきものが、辺りを包み、彼女を包み込んだ。
なんの感覚も無くなって、エレベーターとは違う感覚で、身体に感じる重力も無く、スーッと、景色だけが眼下へと流れてゆき、上体が上へと上がってゆく。
なんだろうこの感覚。
そして数瞬も立たないうちに、どこかへ招き寄せられていた。
まわりに人の気配がしたので、見回してみると、その人の気配達が光り輝いて見えた。
そして、辺りだけが暗かった。
なんだここは?
感覚が、まったくいつものものと違っていた。
光り輝く人たちは、視界に映るかぎり、12人いた。
さらに、自身の身体も輝いていたので、自分を入れて13人。
何か意味があるのかもしれないこの数字は、園崎八子には不吉な数字と言うくらいしか思いつかなかった。
-やっと揃ったね、最後の一人が-
頭の中に声が響いた。
誰?
-わたしが誰か、興味があるかね?-
大して興味は無かった。
だが、声は続けた。
-君たちのよく知る言葉で、”神”とでも名乗っておこうか-
神とは、また、大袈裟な。
どうせ催眠術の類いだろう。
園崎八子はそう思いながらも、この声に反抗できなかった。
-わたしとゲームをしないかい?君たちが勝ったら、この地球を救ってあげる。そして、君たちの願いを一つだけ叶えてあげるよー
八子はその誘いにも、なにも感じなかった。
嘘つきの、催眠術師、そう思っていた。
誰かの術にはまったのだ。
彼女はそう思っていた。
-断る事は出来ないよ-
-もうゲームは、始まっている-
-たのしもうよ-
次の瞬間、またスーッと地上に戻ったようである。
景色が、見覚えのあるものに変わっていた。
違ったのは、今まで地球を襲っていた、天変地異の痕跡が消えていた事だ。
八子のいるビルの窓から見える景色が、天変地異など無かったというような、これまでのような平穏なものに戻っていた。
どう言う事なのか、八子は混乱した。
そして、先ほどの夢中の声が、本当に神なのかと思えてきた。
それと同時に、薬物依存、アルコール依存の時に見た幻覚が戻ってきたのかとふるえてしまった。
どちらの方が正しいのか、八子には判断しかねた。
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