ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず

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ヴァリエンテ領・大規模氾濫掃討戦編~街(前哨基地)建設~

阿羅亀噛→荒鬼神→荒鬼神ノ化身→?

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~カース(呪い)武器仕分け中~


ガシャッ。カシャン、ガシャッ…

「準魔、準魔、クズ、無難、準魔、無難…(デオ)」

「クズ、クズ、無難…
クズが溜まってきたから解体してくれ。(ガーラ)」

「「「はい!(技術職達)」」」


(((何か芋の選別やってるみたい…(サキュバス3人組))))


ノアと戦闘職数パーティはモンスターの乱獲に向かい、デオとガーラ、手の空いた技術職は武器商人が残していったカース(呪い)武器の選別作業を進めていた。

そのわきでは、暇をもて余したサキュバス3人組が作業を眺めていた。


「あの、その選別作業、私達も手伝いましょうか?(ラハラメ)」
「意外とここに集まった人達の身持ちが堅くて性処理(精気回収)の仕事があまりなくて…(ミダラ)」

「手伝って貰いたいのはやまやまなんだが、こういうヤバいものもあるからなぁ…(ガーラ)」

ガシャ…(その辺のカース(呪い)武器を取る。)


手が空いてるサキュバス3人組から手伝いを願い出て来たのだがガーラはやんわりと断る。
その理由を、その辺の武器で説明してくれた。



『独特な長剣→″毒毒(ブスブス)の長剣″
品質:7  耐久値:80

所有者を中心としてランダムに状態異常を発生させる。勿論″所有者″も食らう。

ランダム状態異常→″毒(大)″。』



「「「ひぇぇ…」」」

「これは″クズ″の部類に分けて鋳潰す訳だが、不用意に触られちゃ危ないだろ?
こういった類いのモンが10本中1本紛れてんだよな。
だから手伝ってくれるのは嬉しいが、手伝わせられねぇんだ。(ガーラ)」





トボトボ…

ガシャガシャ…

手伝いが出来ずにトボトボと建設地へ戻っていく3人を眺めつつ選別作業は続く。


「デオさん、これ準魔ですかね?(技術職1)」

「ん?(デオ)」



『瀬戸際の槍→″窓際の槍″
品質:7  耐久値:1→″2″

絶大な一撃を叩き込める槍

筋力2割上昇。』



「いや、そりゃクズだな。
筋力2割上昇はデカいが耐久が″2″しかねぇ。
鋳潰して素材に戻すとしよう。(デオ)」

「了解です。(技術職1)」



「ガーラさん、これは無難ですかね?(技術職2)」

「あん?(ガーラ)」



『堕落のナイフ→″蘇りのナイフ″
品質:7  耐久値:100

豪華さ、華やかさの無い普通のナイフ。

攻撃時耐久値常時2減少→″5回攻撃時、耐久値1回復″。』



「無難だな。(ガーラ)」

「無難ですよね。(技術職2)」


カース(呪い)武器が1200本あるのだから変な性能な物も紛れており、準魔、クズ、無難の3種に分けている。

準魔というのは″準魔剣″の事。
魔剣とまではいかないが、そこそこ良い性能を持つ武器。

無難は文字通り無難な性能、普通の効果無しの武器より頭1つ出た程度の武器の事。

クズはそのままクズ性能な武器。
効果だけみれば準魔相当はあるものの、品質だったり耐久値、効果の面でクズであればそちらに割り振っていた。



~準魔剣~

『つむじ風→″鎌威太刀(かまいたち)″
品質:7  耐久値:100

風属性を持つ太刀。

自身を中心にランダムに風の刃を発生。→″前方に風の刃を発生させる。″』



「…デオさん。
この準魔、こんな性能でも魔剣には程遠いのですか?(技術職1)」

「そうだな。
言っちまえば、技術とスキルがありゃ風の刃を発生させるのは何ら難しくはねぇ。(デオ)」

「坊主(ノア)なら手刀で木ぃ位ぶった斬れるんじゃねぇか?(ガーラ)」


選別作業を続けていた技術職の1人が準魔剣を手にしつつ疑問を口に出す。


「ってか皆魔剣は見た事無いのか?(ガーラ)」

「「「はい。」」」

「魔剣っつーのは謂わば″デタラメな性能″を持つ武器だ。
″武器から大型の魔法を放つ″とか″武器から召喚獣を出現させる″とかだ。
言っちまえば坊主の持つ武器なんかが魔剣と言えるな。(デオ)」

「「「そうなのですか?」」」


魔剣の例としてノアの持つ荒鬼神ノ化身を差すと、皆一様に疑問の声を上げた。

彼らがここにやって来て数日経つが、ノアの持つ武器の性能を見た者は居ない。
先日のハーピー族との戦闘では、ガントンファーと持ち前の戦闘力で圧倒し、最終的には荒鬼神ノ化身を使用したが能力までは使用しなかった。


「俺もこの目で見た訳じゃねぇが、噂に聞く能力はどれも信じられないモノばかりだ。
やれ″超高温の炎を発生させた″だの″光輝く龍を召喚″しただの様々だ。(デオ)」

「作った時はまさかそんな代物になると思わなかったよなぁ?(ガーラ)」

「あぁ。(デオ)」

「え?あの剣はお二人が作ったのですか?(技術職2)」

「元になった剣は確かに俺達が作ったが、その後の派生は俺達のモンじゃない。
聞いた事あるだろ?『亀王の鉄(くろがね)』、阿羅亀と言う名のモンスターの素材だ。(デオ)」

「え?あの阿羅亀ですか?(技術職2)」

「でも『亀王の鉄(くろがね)』って″魔力を通さず、高重量で強固″だからあの様な業物に仕上げる事は到底難しいのでは…?(技術職3)」

「良く知ってんじゃねぇか。
だかそれを可能にしたんだよ、″ドワーフ族″がな。(デオ)」

「先のフリアダビア奪還戦でドワーフ族と友好関係をとなったらしく、その際に手を加えたらしい。
人族には無理でも、ドワーフ族なら『亀王の鉄(くろがね)』を加工する事位容易だからな。(ガーラ)」

「ドワーフ族…
あまりの技術力に、魔剣の年間製造数を制限されている種族が【鬼神】の為に…(技術職1)」

「でもドワーフ族って変わり者で、例え王様から魔剣製造を依頼されても、″気に入らない″の一言で拒否する事で有名ですよね?(技術職3)」

「つー事は気に入られたんだろうぜ。
ドワーフ族は武力に対して絶大な賛辞を贈る種族でもあるからな。(デオ)」


ノアと接していたドワーフからは考えられないだろうが、本来ドワーフ族は義に厚いが仲良くなるまでが難しく、自身の武力を上回る相手には賛辞と共に魔剣を贈る事があるらしい。


「とは言え坊主の魔剣は度が過ぎている。
能力を聞いたが、どんな魔剣よりも抜きん出ているからな。
原因としてはやはり″相棒の龍″が影響しているだろう。
なんでも『鬼神』の力が籠った武器を″龍の炎″で鋳潰してドワーフの力であの剣に再構成したとか…
規格外と規格外の力を最高の技術で形にしたんだ、そりゃ凄まじい性能になる訳だ。(ガーラ)」

「″最終形″がどうなるか楽しみだぜ。(デオ)」

「「「え?あれで完成形じゃないんですか?」」」

「アホみたいに熟練度の上がった俺達ですら″最終形″の姿は分からない。
剣としての形状を保っているかも知れないし、内包されている2つの力が解放されて別の形になっているかも知れない。
それは坊主次第だな。(デオ)」  
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